2021.11.22
ENN11月25日号 特集:「プラントライフサイクルをカバーする、エンジニアリングIT」
[Hexagon PPM]
O&Mへ傾斜するポートフォリオ
EPCとO&Mでプラントライフサイクルをカバー |
Hexagon PPMの前身であるインターグラフ社は、プラント設計用3次元CAD「PDS」や「Smart3D」で、EPC業界に最も浸透したエンジニアリングITベンダーの一社だ。
2 0 1 0 年7 月、Hexagon ABがインターグラフを買収し、インターグラフのエンジニアリングIT事業は、HexagonPPMとなった。
Hexagon PPMが提供するライフサイクルソリューション |
HexagonPPMは引き続き、プラント建設に必要なEPCのエンジニアリングITソリューションを提供しているが、この数年は、事業ポートフォリオをEPCを基点として、オペレーション&メンテナンス(O&M)へと事業領域を拡大している。
2019年1月、Hexagon ABは、運転管理システムの世界的なリーダーであるj5インターナショナル社を買収した。これに伴い、その事業はHexagonPPMが承継した。
j5インターナショナルのソリューションは、石油、ガス、電力、その他の産業分野で、コミュニケーションとデータ収集を改善し、事故、損傷、効率的な業務の調整を無くすことで、生産性の損失への懸念を解決するために使用される。
Webベースの包括的なアプリケーションは、散在する書類、スプレッドシート、データベースなどを集める煩雑な手作業を、構造化されたデジタル運転管理システムに置き換え、ログブックの記録、運転指示、巡回点検、申し送り帳、インシデント管理、安全な運転手順などに使用される。
Hexagpn PPMにとって、j 5 インターナショナルの買収は、プラントのライフサイクルに係るためのポートフォリオの拡充の発端となった。
その後、Hexagon ABは2020年11月に、PASグローバルの買収に踏み切った。
PASグローバルは、製造、石油・ガス、ユーティリティなどの設備集約型産業におけるサイバー脅威を防止・検出・修正し、プロセスの安全性リスクの軽減を図り、意思決定のための信頼性の高いデータを提供するオペレーショナル・テクノロジー(OT)の大手プロバイダーだ。
この買収により、米ヒューストンに本社を置くPASグローバルは、Hexagon PPMのディビジョンの一部門として、運営されている。
さらに今年9 月、Atlas RFIDソリューションズから、Jovixソフトウェアおよびサービス事業を買収した。
Jovixは、建設業界向けに開発された資材追跡ソフトウェアで、資材の状態や位置に関するリアルタイムで実用的なデータをプロジェクトの意思決定に提供する。具体的には、クラウドベースでIoTに対応し、モバイルで設定できるワークフロープラットフォームは、EPCのライフサイクル全体を通して、資材の状態や位置を可視化し、トレーサビリティを提供する。この機能により、建設作業員が必要な資材を遅滞なく入手して、計画通りに作業を完了できるようにする。
プラント建設からプラント資産価値の向上に向かうHexagon |
Hexagon ABによるO&Mへの事業買収は、10月に完了したインフォア社のEAM(企業資産管理)システムの買収で一区切りではないか。
SaaSベースの設備管理ソリューションであるインフォアEAMは、設備資産の追跡、保守作業のデジタル化に使用され、ほぼすべての業界の顧客が最適な運用効率を達成できるように支援する。
インフォアEAMは、元々、EAMシステムの専業ベンダーであった、データストリーム社の製品だった。2006年にERPベンダーであるインフォアがデータストリーム社を買収し、インフォアEAMとして扱うようになった。
同時の顧客には、石油メジャーのシェルも名を連らねた。
EPCに伴うソリューションで、実績を築いてきたHexagon PPMだが、この数年のポートフォリオの広げ方は、O&Mに傾斜している。
HexagonPPMの日本法人である日本インターグラフ社も、「新規顧客は、O&Mに関係する顧客の方が多い」と言う。
すでに、先進国では、プラントなどの資本財の投資の需要は一巡しており、これからはプラントと言う資産の効率的運用が重視されている。
HexagonPPMは、EPCデータをO&Mに活かすポートフォリオを確立しており、今後は、EPCに関するソリューションでプラント設計・建設の効率を上げ、O&Mソリューションにより、プラントと言う資産価値の向上を図る。
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