2021.11.22
ENN11月25日号 特集:「プラントライフサイクルをカバーする、エンジニアリングIT」
[Autodesk]
ライフサイクル管理に活用できるForge プラットフォーム
クラウドベースで互換性を確保、様々なソフトとの連携が可能に |
「働き方そのものは、コロナ禍以前の元の常態に戻ることはない。貴重なデータを含む“ファイルへのアクセスのしやすさ”がよりいっそう望まれるようになる」 今年10月にオンラインで開催された、オートデスク社のユーザーイベントAutodesk Universityにおいて、アンドリュー・アナグノスト社長兼CEOは、こう言い切った。
同時に「われわれは、Forgeプラットフォームが提供する価値をさらに拡大し、クラウドのアクセスのしやすさや、拡張可能でオープンなデータフローを提供することによって、エコシステム全体を一つにつなげて、経営層から製造現場まで、すべての関係者が連携できるデータフローの実現を目指す」とも付け加え、Forge上で展開される様々なソリューションの連携を重視する方針が強調された。
オートデスク社では、アマゾンが提供するIaas(Infrastructure as a service)上に、Paas(Planform as
a service)としてForgeを設定して、様々なソフトウェアを連携させながら活用するためのプラットフォームの提供に力を入れている。Forgeは、互換性が低くても様々なシステムとつなぐことが可能で、クラウド上で連携させることで、新たな価値を創出できる。
Forgeプラットフォームとオートデスクのソリューション |
Forge上では、クラウド上でサービスの要素がAPI化されることにより、ソフトウェアの機能が個々の製品の枠を超えて利用可能になり、多数の単体製品を提供する代わりに単一プラットフォーム上で、あらゆるユーザーのワークフローを支援できる。単一の環境で、複数のソフトウェアを使用することができ、あらゆるパートナーとの共同作業が柔軟に行えるようになる。設計と製造が単一環境で作業を進められ、経営層から製造現場まで、すべての関係者が同じプロジェクトデータにアクセスして、利用できる。
オートデスク社が提唱するForgeは、ユーザーのニーズに応じて、自由に活用できるクラウド環境になる。この自由に活用できる環境をユーザーが活用することで、プラントや施設の設計、そしてそのライフサイクルの管理に至るまで、幅広い機能の提供が可能になる。
オートデスク社以外の数多くのソリューションがForge上での使用を可能にするプラグインを用意している。オートデスク社のオープンスタンダードの取組を支持するエンジニアリングITベンダーも少なくない。
Forgeは予測される使用料に応じて、オートデスク社が提供するクラウドクレジットで購入でき、これにより、ForgeAPIとサービスにアクセスできる。そのうえでAPIへのアクセス量に応じて、使用量が差し引かれる。
Forgeの活用による、生産性の向上は、様々な事例によっても裏付けられる。
英国のあるエンジニアリング企業は、ジョイントベンチャーパートナーとForgeを活用、プラットフォーム上のレビューソフトウェアNavisworksを活用して、社内外から、AutoCAD、Plant3D、Inventorのデータを集め、4Dシミュレーションを実現。現場では、アップル社のiPadでBIM360を活用してデータを確認した。
また米国のある建設会社は、Forgeの2D/3Dビューアをベースに独自のビューアを開発し、IBMMaximoと連携した。これにより、設備投資プロジェクトで作成されるデータを再利用し、新たな価値を創造することに成功した。
Forgeにより、設計データを設備や施設の管理に活用できるようになるが、オートデスク社はこのところ、ライフサイクルを視野に入れた事業展開を積極的に推進している。
オートデスク社は2020年に、設計から運営に至るまでのアセットデータからデジタルツインを作成してトラッキングできる「Autodesk Tandem」を発表した。建設業界では、プロジェクトが完工した後に、デジタルデータが整理されずに使われないままになることが多いが、プロジェクトで活用したデータが有効に活用できる。
また今年6月には、PLM(製品ライフサイクル)ソリューション/PDM(製品データ管理)ソリューションのプロバイダーであるUpchain社を買収した。この買収により、コラボレーションの障壁が取り除かれ、効率性や柔軟性が高まり、ユーザーに新たな価値を提供することが可能になった。
次世代の設計・製造ソフトウェアのプラットフォームを提供するオートデスク社の事業戦略は今後も継続される。
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