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【連 載】CSTが提案するプラントライフサイクルデータマネジメント     
  第4回 プラントオペレーションサポート事業の紹介とプラント予備費の
      調達に貢献するPLDM
    千代田システムテクノロジーズ株式会社 大山 悦男、岩井 昭博 2015.10.25

1. はじめに 

本稿では、千代田化工建設のグループ会社であるアローヘッドインターナショナル(AIC)より2015年7月に千代田システムテクノロジーズ(CST)へ移管されたプラントオペレーションサポート(POS)事業を紹介し、プラントライフサイクルデータマネジメント(PLDM)におけるPOS事業を基盤とした「予備品の調達サービス」事業への展開構想について紹介していく。



2. プラントオペレーションサポート(POS)事業の紹介

2-1.CSTとしてのPOS事業の展開
プラント建設後、長期間に渡ってプラントを安定して稼働させるためには、定期的な保全業務が不可欠である。いわゆる継続的なメンテナンス業務が重要となる。そのため、建設時に利用した機器資材に加えて、保全や更新のため、継続して部品や資材が必要となる。特に重要機器類の故障など、即対応する補修に絡む部品類はあらかじめ重要予備品として建設後もストックされている。

さらには、定期的な保全修理を行うためにはメーカの技術支援も必要となる。その多岐に渡る部品や資材の、調達から検査・納入および関連の技術サービスを一括して提供していくのが、プラントオペレーションサポート(POS)事業のコンセプトであった。

これまでは千代田化工建設が建設したプラントを中心に、運転、保全活動に必要な各種資材、機器を提供してきたが、今後は、千代田化工建設が建設したプラントだけではなく、各国のLNG、石油精製、石油化学、産業設備分野の各種プラント向けに部品、資材、機器の提供、点検や修理を含む技術的支援に加え、スペアパーツマネジメントへの支援など、包括的なサービスを提供していく構想である。

また、新設のプロジェクトにおいては、プラントの試運転、運転中に使用する2年間予備品の選定と調達業務に携わり、プロジェクト遂行段階から顧客やEPCコントラクタと密に連携し、総合的なプラントアセットマネジメントシステムの構築をサポートしている。

2-2.バーチャルウェアハウス
近年、プラントを運転するオーナーは、汎用と個別用途向けの予備品在庫を適切に管理し、余剰品を減らし、在庫の最適化を図るニーズがある。これに対応し、部分的または一括して受託在庫として、保管・管理をするサービスを提供するビジネスが出始めている。

一般に、新規プラント建設時、同様なサービスを提供することはこれまで行われてきたが、既設プラント向けには例を見ない。既設プラントにおいては、特に個別用途の予備品は各エリア、装置ごとに保管・在庫される例が多く、重複した在庫や過剰な在庫となる。

「バーチャルウェアハウス」はこうしたプラントオーナーの複数拠点を、あたかも一つのウェアハウスとして汎用予備品と個別用途予備品の在庫を整理・統合し、余剰在庫の防止や長納期品の欠品による装置の停止を防ぐことができる。

CSTでは、これまでのPO事業の発展形としてバーチャルウェアハウス構想をベースに顧客のみならず、予備品メーカに対してもインターネットを利用したマーケットプレイスを設けた事業モデルを提案していく予定である。


3. PLDMコンセプトに則った予備品と予防保全

3-1.予備品調達履歴と予防保全
プラントオーナーに納入した予備品の調達履歴のデータを活用し、調達サイクル、調達数量の変化と機器、設備の整備頻度・点検修理頻度の間に何らかの関係性が見出せないかと考えている。

予防保全技術の世界では、各種センサーやプロセスデータを活用して、機器・設備の劣化予測を試みる取り組みが行われているが、これらは建設初期に設備投資を伴うもので、建設後に装備するとなると、さらにコストがかかることになる。

しかしながら、前述の調達履歴のデータをもとにした調達データを活用することで、予防保全に活かせないかと考えている。

3-2.タブレット端末を用いた予備品管理
予備品の入出庫や在庫管理は、CSTのタブレットソリューションである「CeSMO®」を活用することで、在庫や使用頻度のデータを抽出することが可能となる。

次号で詳しい説明を行うが、CeSMO®は機器や計器をタグ単位で管理し、工事計画、点検や保全情報など様々なデータの管理および位置情報を用いた設置場所の特定を行う事が可能である。

予備品の管理を同一システムの中で扱うので、不具合箇所の特定から交換計画の管理、予備品在庫管理など関連する作業が一気通貫で行う事が出来る。

 図1. CeSMO® を使った予備品管理の例

また、設置されている機器・計器に二次元バーコードの札を下げておけば、それを読み込む事で瞬時に必要な予備品の在庫状況が分かり、さらに各予備品単体にも同様に二次元バーコードの札を付けておく事で選定間違いを防ぎ、出庫管理を容易に行う事が可能となる。

3-3.運転データを活用した予防保全
予防保全を行う上で装置の稼働分析、故障分析はもちろん、これら分析に基づく保全計画の策定とこれに則ったメンテナンスの実行および、その実績記録が重要となる。

稼働状況については、PIMS(リアルタイム操業管理システム)の運転実績データを活用し、稼働時間、運転状況の変化や状態と部品の劣化の関係を分析し、活用する事が期待できる。

また、これらのデータ収集には弊社のタブレットソリューションCeSMO®を使った巡回点検を行うことにより、発見した異常個所を記録する事で、CMMS(設備保全管理システム)へ点検記録として登録する事が可能である。

これらの様々な情報や3.1項目で述べた購入頻度の情報などを総合的に判断し、適切な時期に部品の交換時期の情報を提供し長納期品の前広な発注に結び付けることが可能となる。

3-4.テクマスナビ、予防保全、予備品管理
前項目までに述べてきた各種データは、プラント内各所や、各システムに散在している。これを容易に一元的に可視化出来るプラットホームとしては、ほとんどの機器、計器、配管が記載されているP&ID(Pipingand Instrumentation Diagram)を活用することが考えられ、前号で紹介したテクマスナビ®を活用する事が有効である。

テクマスナビ®のDFD®(DynamicFlow Diagram)で、各装置の属性として、予備品の種類、個数、仕様、前回の交換実績、交換周期の変化などのデータと関連付けておき、閲覧可能とすることで運転、保全の間で情報の共有が可能となる。

 図2. テクマスナビ® より機器・計器の様々な情報にアクセス

4. まとめ

これまで海外のプラントオーナーを中心に培ってきたプラントオペレーションサービスを基に、事業所を拠点として地域に根差してきた電気・計装の工事やメンテナンスでお世話になってきた国内の設備産業のお客様に対して、PLDMコンセプトというICT(情報技術)を活用して、予備品管理だけではなく、予防保全のもととなるデータの提供ソースとして貢献していきたい。

次号は本稿でもふれた「タブレットソリューションCeSMO®による安全への取り組み」について紹介する。





             















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