2025.2.25
ENN2月25日号 特集:エンジニアリングITソフト選択で重視される「機能」と「価格」
プラント設計3D CADでは「EyeCAD」と「Plant3D」が双璧
ソフトウェアの選択で重視される「機能」と「価格」 |
プラント設計用3次元CADでは、「EyeCAD」と「Plant3D」の構成比が今年も高かった。しかし、「E3D」や「Smart3D」は、ハイエンドユーザーからの支持も強い。今回のアンケートでは、ソフトウェアを選択する際に重視している要素についても聞いた。その結果、上位の判断基準となったのは「機能」と「価格」。しかしプラント・施設の設計データは、ライフサイクル管理にも活用されるケースも増加傾向にある。「プラント・施設のライフサイクルに関する有用性」も今後、重視されるべきではないか。 |
小誌では毎年1月後半に、プラントおよび建設エンジニアリング業界を対象にエンジニアリングITソフトウェアの使用状況に関するアンケートを実施しており、今年も50社から回答を得た。
50社の業態は、専業エンジニアリング(専業大手3社+ユーザー系エンジニアリング)、総合重機(総合重機メーカー+重電メーカー)、ゼネコン、機械、工事および設計。設計は主に大手企業のサブコンとして、設計を提供している企業だ。
アンケートを配布した企業は、いわゆるハイエンドユーザーから一般ユーザーまで幅広い。ただ、一般ユーザーと言える企業数は、ハイエンドユーザーの企業数よりも多いため、一般ユーザー向けソフトウェアの構成比が高い傾向がある。ただ、ハイエンドユーザーは、限られたソフトについては、数多く使用する傾向がある。
本アンケートでは、あくまでも使用している企業数をカウントしており、実際に使用されている本数は掴むことは企業秘密でもあり、オープンにされないため、カウントしていない。これらの点を考慮して、記事をお読みいただきたい。
プラント設計CAD、今年も「EyeCAD」と「Plant3D」が双璧 |
Q1:現在御社では、プラント設計用として、どの3次元CADを
使用されていますか? 複数回答可 |
ここで最大シェアとなったのは、「EyeCAD」(ヘキサゴンALI)で構成比は36%、これに続いたのが「Plant3D」(オートデスク)で構成比は29%。両ソフトとも、ここ数年のアンケートで首位の座を競っており、今年のアンケートでも同じ傾向が示された。
Q1.3次元CADの製品別シェア |
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両ソフトともに、一般ユーザー向けで、普及しやすい。「EyeCAD」はプラントの配管工事を行う工事会社や大手エンジニアリング企業の設計サブコンでの使用が多い。
一方「Plant3D」は、オートデスクが他の製品とともにスイート製品として提供しているが、年間サブスクリプション価格が20万円台の前半と低価格だ。このため、大手企業の中には、「安価であるため、小規模な設計サブコンでも利用できる。設計外注費を下げるのに有効」という意見があり、最近、使用が増加傾向にある。
一方、「E3D」(AVEVA)、「SMART3D」(ヘキサゴンALI)は、ハイエンドユーザー向けの3D CADだ。
「E3D」は構成比18%に対して、「Smart3D」は6%。いずれも、大型プラントの設計に対応しているが、「E3D」が専業エンジニアリングと総合重機の二つの業態で多く使用されているのに対して、「Smart3D」は専業エンジニアリング企業の使用に限定される。特に、「E3D」は、ごみ焼却プラントを手掛けるプラントメーカーの使用が多い。
「E3D」は、大型プラントの設計用3DCADとして普及した「PDMS」の後継製品だが、AVEVAは「PDMS」の時代からプラントメーカーの支持が多かった。その傾向は「E3D」にも引き継がれている。また「PDMS」は2024年にサポートが終了したため、今回のアンケートでは、4%となったが、今後、シェアを下げ、ユーザーは「E3D」にシフトするはずだ。
またこれらハイエンド製品については、「10本以上」の使用が多い。いずれも大型プラントに対応しているため、数多くの本数を持たないと設計に対応できない状況が反映されている。
一方、この分野では、オートルーティング機能を持つ「PlantStream」(PlantStream)のシェアが4%となったが、オートルーティング機能については、AVEVAが今年の夏に予定している「E3D」のヴァージョンアップでオートルーティング機能を搭載されることが発表されており、これがどのように影響するか、今後注視する必要がある。
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