2017.2.21
ENN2月25日号 特 集:柔軟性が求められるエンジニアリングIT
3次元CAD使用でアヴィバが躍進
クラウド使用禁止企業は45%、引き続き多い慎重派 |
毎年、1~2月に実施している「エンジニアリングITツール」に関するアンケートだが、今年は3次元CADでアヴィバが最大シェアに躍り出るという変化があった。この分野はこれまで、インターグラフが最大シェアを誇ってきたが、中規模から大規模プロジェクトまで幅広く対応できるアヴィバが躍進した。また昨年から尋ねているクラウド環境の使用についてだが、今年のアンケートでも慎重派が45%を占めた。情報セキュリティへの懸念がその最大理由だが、昨年「検討中」と回答した企業が活用を始めている状況も浮かび上がった。 |
小誌では毎年、エンジニアリング業界の主要企業に対して、エンジニアリングITツールの使用状況に関するアンケートを実施している。昨年は、エンジニアリングITの周辺で使用する機器について改めて尋ねたが、今年はソフトの使用契約に関する質問も加えて尋ね、59社62事業部から回答を得た。
Q1:現在御社では、どの種類の2次元CADを使用していますか? 複数回答可 |
この質問では毎年、オートデスクが高シェアを占める。今年も「AutoCAD」が33%、「AutoCAD LT」28%で、オートデスク社製品が全体の61%
を占めた。
2次元CAD として構成比を上昇させているのが、「Microsoft Visio」(マイクロソフト社製)で18%。昨年の16%から2ポイント上昇した。
簡単に図面を作成できる点が評価されて、シェアを増加させているものと見られる。またCAD のファウンデーションとして、世界的には「AutoCAD」と肩を並べるのが、ベントレーシステムズの「MicroStation」だが、わが国ではシェア7%にとどまっている。
Q2:どの種類のP&IDソフトを使用していますか? 複数回答可 |
「AutoCAD P&ID」が36%で最大シェアとなった。一昨年38%、昨年30%と減少したが、今年は36%と持ち直した。
また、「SmartPlant P&ID」(インターグラフ社製)は26%、「AVEVA P&ID」(アヴィバ社製)が11%で続いた。
その他が19%と高シェアを占めたが、回答には「CATIA System Routing」(ダッソーシステムズ社製)、AutoCAD、「CAD Worx」(インターグラフ社製)などが含まれた。
Q3:どの種類の3次元CADを使用していますか? 複数回答可 |
最大シェアとなったのは、「PDMS」(アヴィバ社製)で22%。「PDMS」がこの分野で最大シェアとなったのは今回が初。ゼネコン以外の業種で満遍なく使われており、シェアを拡大した。昨年まで最大シェアだった「EyeCAD」(インターグラフ社製)は21%で昨年の23%から2ポイント落とした。
またインターグラフ社は「SmartPlant3D」が8%、「PDS」が9%となった。
「PDS」は、数年前の主力製品だが、すでに「SmartPlant3D」に入れ替わっており、「PDS」のシェアは下落している。昨年の12%から9%へと3ポイント落とした。
一方、アヴィバの「PDMS」の後継製品である「E3D」は、5%とまだ低シェアだ。
Q3-1:使用中の3次元CADで、最も使用頻度の高いCADを一つだけ、
教えてください。 |
「EyeCAD」が29%で最大シェア。工事会社、ユーザー系エンジニアリング企業での使用が多いが、こうした業種での使用が多くシェアを拡大した。
次いで高シェアとなったのが「PDMS」で25%。近年、国内では「伸長著しい」という評価があるが、他社の3次元CADから乗り換えた企業が数社ある。このことがシェアを拡大している要因と見られる。
次いで「AutoCADPlant3D」が7%で続いた。反面、インターグラフ社の「P DS 」と「SmartPlant3D」はいずれも5%と低シェアとなった。後継製品とかつての主力製品がシェアを食い合っている可能性があり、トータルでは10%に達している。
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