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 2024.2.25
 ENN2月25日号 特集:連携強化を図るエンジニアリングIT
 連携強化を図るエンジニアリングIT
 求められる、効率向上と高コストパフォーマンス
今年の「エンジニアリングITアンケート」でも、高コストパフォーマンスのソリューションへの支持が高かった。その背景には、世界的に超大型プロジェクトが減少し、中小型プロジェクトが増加傾向にあるという状況がある。プロジェクトの規模が縮小するのに伴い、求められるのは、低価格のソフトだ。低価格のソフトであれば、幅広い設計サブコンでも使用でき、発注側の元請においても、新たなソフトウェアの購入が求めやすくなる。こうした中で、ベテランの引退に伴う、技術ノウハウの伝承の課題が浮かび上がる。ベテランの技術ノウハウをアルゴリズム化して自動ルーティング機能を搭載した「PlantStream」への支持は今後、高まりそうだ。

小誌では毎年1~2月に、プラントおよび建設エンジニアリング業界を対象に、エンジニアリングITツールの使用状況に関するアンケートを実施している。今年も1月に業界各社にアンケートを配布し、2月の上旬に締め切り、60社から回答を得た。

配管設計では「AutoCAD Plant 3D」が最大シェア

Q1:プラント設計用として、どの3次元CADを使用していますか? 複数回答可














今年も最大シェアとなったのが、「AutoCAD Plant 3D」(オートデスク社)だ。シェアは23%。年間サブスクリプション契約22~23万円で設定されており、競合する他ソフトウェアよりもかなり安価だ。

また拡張子が「DWG」で、オートデスク社の機械設計CAD「Autodesk Inventor」、BIM設計用の「Autodesk Revit」と同じ拡張子であるため、データ共有しやすい。

また最近は、かつてのように総額数千億円の大型プロジェクトが減少しており、中小型案件に効率よく対応できる「AutoCAD Plant 3D」のニーズは高まっている。

第2位のシェアとなったのは、「EyeCAD」(ヘキサゴンALI社)で、20%を占めた。「AutoCAD Plant 3D」と同様に、中小案件で使用されることが多い。また配管設計に強く、配管工事会社などでも使用されている。

第3位のシェアとなったのは、「AVEVA E3D」(AVEVA社)で18%を占めた。「E3D」の「E」は「Everything」を意味するが、様々な3次元設計に対応できる。ごみ焼却プラントなどのように機械設計と配管設計が求められるプラントでの使用実績が比較的に多い。

またAVEVA社は、プラント業界に根強いユーザがあり、「E3D」の前身の3D CAD「PDMS」は今年3月にエンド・オブ・ライフを迎えるが、今年のアンケートでも10%のシェアを持っており、第4位のシェアを誇る。

第5位となったのは、「Smart 3D」(ヘキサゴンALI)と「PlantStream」(Plant Stream社)で、いずれもシェア5%だ。

「Smart 3D」は大規模プラントで使用実績が多いが、世界的に大型プラントが減少傾向にあり、それに伴い、日本企業による受注も減少傾向にある。こうしたことが低シェアに甘んじる結果になった。

一方「PlantStream」は、千代田化工建設とスタートアップのアレント社の合弁企業PlantStream社が開発した3D CADソフト。FEEDなどの上流設計用に開発された。ベテラン配管エンジニアの設計ノウハウをアルゴリズム化して開発され、自動ルーティング機能を持つ。2020年に設立された若い会社だが、スタートアップ企業の技術を武器に急成長している。

その他の回答には、Rebroなどが挙がった。RebroはBIM対応の設備設計CADで、ゼネコンなどで使用しているケースが多い。


Q2:機械設計用として、どの 2 / 3次元CADを使用していますか? 複数回答可

今年も「Autodesk Inventor」
(オートデスク社)が31%の最大シェアを占めた。オートデスク社製品で、拡張子「DWG」で使用できる点が評価されている。

第2位のシェアとなったのが、22%の「Solid Works」だ。バルブメーカーなど、小型機器の設計用で使用されている。設計データから、鋳物の製造に活用でき、小型機器の設計では、利便性が高い。

このほか、プラントエンジニアリング業界では、「Creo」(PTC社)、「CATIA」(ダッソーシステムズ社)も使用されているが、シェアは低い。


Q3:構造の詳細設計用として、どのCADを使用していますか?  複数回答可

「Autodesk Revit」(オートデスク社)がシェア29%、「Tekla Structures」(トリンブルソリューションズ)が25%で、これら2社が双璧となった。

元々、「Autodesk Revit」はBIM設計CADとして開発されているが、構造設計にも対応できる。この点が評価されての高シェアとなった。

また「Tekla Structures」は、構造設計3D CADのデファクトスタンダードでもあり、根強い支持者がいる。


Q4:BIMソフトとして、どの3次元CADを使用していますか?  複数回答可

「Autodesk Revit」が構成比41%を占め、圧倒的な強さを示した。

第2位は「Tekla Structures」でシェア15%だ。構造設計CADとして普及しているが、BIM用途で使用されるケースも多いことが反映されたと言える。

また「ARCHICAD」(グラフィソフト社)がシェア4%で続いた。

建設業では、多く使用されているBIM設計用3D CADだが、配管設計の構成比が高いプラント設計では、シェアは低位にとどまる。



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