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 2023.2.25
 ENN2月25日号 特集:汎用化に向かうエンジニアリングIT
 汎用化に向かうエンジニアリングIT
 背景にはプロジェクトの変化、重視される建屋と設備の融合
今年のエンジニアリングITアンケートでは、高いコストパフォーマンスを持つ製品の支持が増えた。特に、オートデスク社の製品は、コストパフォーマンスが良好なうえに、プラント配管、機械、建屋の設計用CADを同じ拡張子で使用できる。これにより実現されるデータ連携が、このところ需要が高まっている医薬品製造プラントなどのエンジニアリングに適している。これに対し、かつて大型プロジェクトで活躍したハイエンドの3次元CADの支持は下がった。エンジニアリングITの使用状況は、最近の市場環境を反映している。

小誌では毎年1~2月に、プラントエンジニアリング業界を対象に、エンジニアリングITツールの使用状況に関するアンケートを実施している。今年も1月に、業界各社にアンケートを配布し、2月の上旬を締切として、57社から回答を得た。

プラントエンジニアリング業界はかつて、大型のオイル&ガスや石油化学プロジェクト、大規模発電プラントなどの大型プロジェクトに対応することが多かったが最近は、世界的な脱炭素化の流れの中で、化学プラントでは高機能樹脂、医薬品製造プラントなどに対応する機会が増えている。

つまり、対象となるプロジェクトが中小型化しており、この傾向は今回のアンケート結果にも反映された。


プラント設計CADでは、「AutoCAD Plant3D」が最大シェア

Q1:プラント設計用として、どの3次元CADを使用していますか? 複数回答可

最大の回答となったのが、「AutoCAD Plant 3D」(オートデスク社製)で、構成比23%だった。このところ、小誌アンケートのプラント設計用CAD分野においても、確実に構成比を上げてきたが、今回は最大構成比となった。

オートデスク製品は、拡張子「DWG」で活用でき、プラント設計用の「AutoCAD Plant3D」、機械設計用の「Autodesk Inventor」、BIM設計用の「Autodesk Revit」との併用がしやすい。

こうした特徴は、最近のように、医薬品製造プラントの需要が高まりを見せる状況では優位性となる。その理由は建屋の中に、プラントが設置され、それに伴い、機器も組み込まれるため、同じ拡張子で併用できれば、設計の生産性も向上する。

プラントが中小型化するのと同時に、建屋との親和性が求められるようになっている状況も、「AutoCAD Plant 3D」を上位に押し上げる要因になったと言えるだろう。

また価格的にも、コストパフォーマンスが高い。プラント設計、機械設計、BIM設計に対応できるCADをまとまたパッケージ製品の年間サブスクリプション契約の金額は47万9,600円(2023年2月15日現在)と廉価だ。業界内でも「小規模の設計サブコンでも購入できるレベル。コストパフォーマンスが良い」という評価は根強い。

こうした中で、昨年首位だった「EyeCAD」(ヘキサゴンALI社製)は第2位の21%となった。プラント工事会社から高い支持を得ているが、現場に強いうえに、元々、日本で開発されており、日本人には使いやすいという点は、他のプラント設計用CADには無い要素だ。ただ価格的に、オートデスク社製品よりも高い点は、新規ユーザーを獲得しにくい要素になる。

第3位となったのは、「E3D」(AVEVA社製)で、構成比は16%。長年に渡り、プラント業界で親しまれた「PDMS」が2024年にエンド・オブ・ライフを迎えるのに伴い、その後継製品として開発された。点群処理に強みを持つなどの特徴がある。

第4位となったのは、「PDMS」(AVEVA社製)で構成比は15%。2024年以降、バージョンアップされることは無い製品だが、引き続き、根強い支持がある。ただまもなく、エンド・オブ・ライフを迎えるのに伴い、この製品の代替市場が、競合他社に狙われている。今回のアンケートで15%の構成比を占めたが、今後、この構成比が他の製品に吸収される。

第5位となったのは、「Smart3D」(ヘキサゴンALI社製)と「BricsCAD」(Bricsys社製)で、いずれも構成比4%だ。「Smart3D」は大規模プラントの設計に適したプラント設計用3次元CADだが、大規模プロジェクトが減少傾向にある昨今、構成比が下がるのは致し方ないところだ。この状況から、ヘキサゴンALI社では最近は、中規模プラント向け3次元CAD「CADWorxs」やヘキサゴングループのBricsys社の「BricsCAD」の営業に注力している。

またプラント設計用3次元CADとして一世を風靡した「PDS」(ヘキサゴンALI社製)は今回のアンケートでは回答がゼロだった。後継製品である「Smart3D」が浸透するのに伴い、「PDS」のユーザーが移行した状況を反映したと見られる。


Q1-1:使用している3次元CADに満足していますか?

結果は、「満足」41%に対して、「不満」59%で、約6割の回答が「不満」としている。







Q1-1-1:「不満」の理由は何ですか? 複数回答可

最大の構成比となったのが「価格が高い」の43%。Q1で、コストパフォーマンスが高いオートデスク社の製品が第1位となったが、コストパフォーマンスが良好であれば、設計のパートナーを募りやすいという面もある。価格はエンジニアリングの生産性においても、重要なファクターとなりうる状況が反映された。

次いで高い構成比となったのは、「社内で活用しているシステムとの連携が悪い」が構成比14%、「他のソリューションとの互換性が悪い」が12%で、いずれも連携の悪さが問題視されている。


Q1-2:新型コロナウイルス感染拡大で、エンジニアリングITの活用について、
     どのような意識を持ちましたか?
 複数回答可

最大の構成比となったのは、「エンジニアリングITは、在宅で活用できて非常に重要だと再認識した」が35%、次いで「コロナをきっかけに、在宅でもエンジニアリングなどの業務に対応できるようにした」が31%で、コロナの感染拡大をきっかけに、エンジニアリング業務は、在宅で実施される傾向が高まったと言って間違いないだろう。







   


















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