2019.2.22
ENN2月25日号 特集:「エンジニアリングITアンケート、常識になった3次元CAD使用」
常識になった3次元CAD使用
相変わらず多い、クラウド使用禁止企業 |
小誌では今年も、毎年2月に行っているエンジニアリングITに関するアンケートを実施した。今年もクラウドに関するアンケートを実施したが、引き続き、4割以上の企業で使用が禁止されている。しかし、最近のITソリューションの中には、クラウド環境で使用するものも少なくない。もちろん、ITベンダーはセキュリティ面での安全性にも万全を期している。この状況が続けば、わが国の産業界の生産性がいつまでも低水準で推移する可能性もある。アンケートでは、あらたな課題が浮かび上がった。 |
小誌では毎年1月後半から2月初旬にかけて、プラントエンジニアリング業界とその周辺の企業に対して、エンジニアリングITの使用状況に関するアンケートを実施している。
今年も1月下旬にアンケート用紙を配布し、61社64事業部から回答を得た。
Q1:プラント設計用として、どの3次元CADを使用されていますか? 複数回答可 |
最も多い回答を得たのが「EyeCAD」で21%、以下、「PDMS」(アヴィバ社製)19%、「AutoCAD PLANT 3D」(オートデスク社製)12%と続いた。
「EyeCAD」は、施工図面の作成に適しており、プラント工事会社では、ほぼ必携のソフトになっている。こうした背景にもあり、ユーザの裾野が広く、数字を伸ばしたと見られる。
「PDMS」はアヴィバ社が長年に渡って提供している3次元CADだが、ごみ焼却プラントを手掛けるプラントメーカーの支持が多い。
「AutoCAD PLANT3D」は、2 次元CADで最も普及している「AutoCAD」と同じ「.DWG」ファイルで、2次元CADとの互換性が確保されていることや比較的に価格が安いことも支持につながったと見られる。
以下、「AVEVA E3D」(アヴィバ社製)10%、「PDS」8%、「SmartPlant3D」6%(いずれも、ヘキサゴンPPM社製)と続く。
「AVEVA E3D」は「PDMS」の後継製品で、今後、普及してくるものと見られる。またヘキサゴンPPMの「PDS」は、わが国プラント業界で最も普及したソフト、また「SmartPlant3D」は「PDS」の後継ソフトで、専業エンジニアリングでは、かなり普及しているが、アンケートにはなかなか反映されていないようだ。
また回答の中には、「AutodeskRevit」「AutoCAD」も少数だが、含まれている。ゼネコンでは、「.DWG」ファイルの使用例は多い。
Q1-1:最も使用頻度の高い3次元CADを一つだけ、お答えください |
「EyeCAD」26%、「PDMS」23%が上位を占めた。反面、「PDS」2%、「SmartPlant3D」5%でハイエンドソフトの使用頻度は、比較的に低い。
Q1-2:最も多い3次元CADの活用開始時期はいつですか? |
「初期設計から」が49%、「詳細設計から」が41%となり、「施工図面製作から」8%。初期設計から3次元CADを使用するケースがほぼ半分を占め、詳細設計以降の41%を上回っている。設計の早い段階から、3次元CADを使用している状況が浮かび上がった。
Q2:機械設計用CADとして、どの種類の2/3次元CADを使用していますか?
複数回答可 |
「Autodesk Inventor」(オートデスク社製)が20%で最も多くの回答を集めた。次いで
「SolidWorks」(ダッソーシステムズ社)18%、「CATIA」(ダッソーシステムズ社製、「CREO」(PTC社製)がいずれも7%で続いた。「Autodesk Inventor」は製鉄プラントの設計にも使用されており、比較的大きな機械設計に使用される傾向が強く、「SolidWorks」はバルブやパーツの設計に使用されることが多い。また「CATIA」は自動車メーカーや航空機メーカーが使用しており、複雑な形状を設計するのに使用されることが多い。
Q2-1:最も使用頻度の高い機械設計用CADを、一つだけお答えください |
「AutodeskInventor」が21%で最も使用頻度が高い。次いで「SolidWorks」13%、「CATIA」「CREO」はいずれも5%にとどまった。
Q3:架構設計用CADとして、どのソフトを使用していますか? 複数回答可 |
「TeklaStructures」(トリンブルソリューションズ社製)が24%で最多となったが、「AutodeskRevit」が21%で肉薄している。「TeklaStructures」は架構設計用CADのデファクトスタンダードと言われているが、長年に渡るソリューション提供により改良が繰り返さ
れており、「使い勝手が良い」という評判は高い。「AutodeskRevit」は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトという位置付けで、架構設計用CADという認識は少ないはずだ。しかしBIMと同時に、架構設計が可能で支持を集めたと言える。「TeklaStructures」を使用しなくても、「AutodeskRevit」で対応できる設計が少なくない状況を反映したと言える。
また「ProSteel」(ベントレーシステムズ社製)が5%だが、比較的に価格的な優位性により、徐々にシェアを拡大しているようだ。
Q3-1:最も使用頻度の高い架構設計用CADを、一つだけお答えください |
「TeklaStructures」が21%で最多、以下「AutodeskRevit」が16%で続いた。
Q4:BIMのソフトとして、どの3次元CADを使用していますか? 複数回答可 |
最も多い回答が「AutodeskRevit」で19%だが、これに次いだのが「TeklaStructures」15%だった。これに「ARCHICAD」4%と続いた。Q3の回答と反対の回答が出た。プラン
トエンジニアリング業界においては、架構設計とBIMに大きな区別が無く、BIMの領域で「TeklaStructures」が使用されたり、架構設計で「AutodeskRevit」が使われることが珍しくない状況が浮かび上がった。その他回答においては、「CAD
We'll Tfas」のほか、「PDMS」も事例として上がった。プラントの配管設計を中心とした3次元CADでも、BIMに使用できる状況が浮かび上がった。
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