2024.2.25
トリンブル・ソリューションズ
加工・組立工程の完全無人化のサポートなど、時代ニーズに即した
機能を拡充
サブスクリプション契約の増加にも情報セキュリティ強化で対応 |
構造設計用3D CADのデファクトスタンダートとも言える、トリンブル・ソリューションズの「Tekla Structures」だが、このところ、加工・組立工程の完全無人自動化や工場の24時間稼働へのニーズが高まり、積極的に対応している。
その背景には、今年4月から施行される改正労働基準法に伴う残業時間規制や労働力不足といった、建設エンジニアリング業界が直面する問題がある。
加工・組立工程の完全無人化をサポートする機能が充実 |
工場の完全無人自動化では、ある国内ユーザが外国製の自動梁組立ロボットである「SBA」、自動梁溶接ロボットである「SBW」、および梁の無人搬送システム「AGV」の24時間稼働に、「Tekla
Structures」のデータが活用された。
正確にモデリングされた「Tekla Structures」の3次元モデルを活用することで、ロボットによる加工と本格的な溶接が行われた。
そのユーザは組立ロボットをすでに導入済みだったが、昨年夏に溶接工程に自動化ロボットと自動搬送装置が導入した。これにより、完成品を人が運ぶ必要が無くなり、完全無人化に一歩近付くことができた。
また別のユーザは、「Tekla Structures」のデータを活用した梁溶接システムを開発。CADデータを加工データに変換して取り込み、3Dシミュレーションで干渉チェックや動作確認を行った。予め手作業により仮溶接が必要だが、プログラム入力不要のティーチングレスで梁の自動溶接を可能にした。
一方、3Dスキャナとの連携による、モデリングも効率化された。
3Dスキャナを活用して、空間の物理的な形状データを3次元状の点の集合として取得。既存構造物の形状を取得でき、可視化が可能になる。「Tekla
Structures」で直接読み込みを行い、点へのスナップが可能になった。主要な点群データのファイルフォーマットに対応している。
3Dスキャナとの連動によるモデリングの効率化には、インポートしたデータ容量の軽量化、複数データの一括インポートが必要だが、これにも対応した。
点群は一般にデータ容量が大きい。このため、大規模な点群データでも容易に操作できるようにするには、データ容量の軽量化が必要になる。軽量化を実現することで、大規模な点群データでも容易に操作が可能になる。
また複数データの一括インポートにより、別々に計測した点群データファイルを一括で取り込み、作業性が向上した。
さらに機能性も向上した。新規拡張ツールとして搭載された「水平ブレースツール」機能を活用すれば、格子状に配置されている梁材を複数指定して、格子内にブレースを一括配置でき、作業工数が削減できる。
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IFCオブジェクトの変換 |
このほか、他ソフトで作成したIFCデータを「Tekla Structures」のネイティブオブジェクトに変換する機能も搭載され、モデリングの精度が向上するとともに効率化された。
こうした機能面での生産性向上もあるが、サブスクリプションによるライセンス管理により効率が向上している。
従来のライセンス管理は、オンプレミスライセンスで行われていた。この場合、「Tekla Structures 2023」に対応したエンタイトルメントでライセンス認証を取得し、エンタイトルメントおよび認証取得に関する資料をライセンス担当者にメールで送付していた。
しかしサブスクリプションによるラインセンス管理を行えば、オンライン上のライセンスにアクセスして「Tekla Structures」を起動、更新作業なしで「Tekla
Structures」を利用できる。
サブスクリプション契約が増加するのに伴い、オンラインサービスの提供やクラウドサービス利用が頻繁に行われるようになるが、トリンブル・ソリューションズは、情報セキュリティのマネジメントの国際規格「ISO
/ IEC 27001」の認証を更新した。
「ISO / IEC 27001」の認証は、情報セキュリティマネジメントに関する国際規格で、情報の機密性・完全性・可用性の3つをバランス良くマネジメントし、情報を有効活用するための組織の枠組みを示すものだ。
ソフトウェアサービスの提供がオンプレミスからオンラインによるサブスクリプション契約に移行するのに伴い、ユーザが安全に使用できるように、情報セキュリティの強化が図られた。 |
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