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 2024.2.25
AVEVA
 ポートフォリオの拡大で強化されたライフサイクルへの展開
 プラントの建設・操業に関わるすべてのデータを同一プラット
 フォームで共有

昨年11月に開催された、AVEVA社による「AVEVA DAY JAPAN 2023」。そこでAVEVAが強調した一つが「Unified Engineering」だった。

AVEVAは2019年にシュナイダーエレクトリック社のインダストリアル・ソフトウェア部門が統合された時にも「Unified Engineering」を打ち出した。


新たなUnified Engineering

2019年と昨年の「Unified Engineering」では、表現は同じだが、その内容は異なる。

2019年は、3D CADなどを保有するAVEVAとプロセスシミュレータを持つシュナイダーの双方のソフトウェアの機能面の統合が意図されていた。

ところが昨年打ち出された「Unified Engineering」は、プラントの建設・操業に関わるすべてのデータをクラウド上に置き、そのデータをプラントの関係者で共有し、必要に応じて修正する。つまり、設計ツールを連携しながら、そのデータをグローバルにシェアすることが意図された。

AVEVAは「御客様の大事なデータをお預かりするプラットフォームを目指している」と説明するが、様々なツールを活用して行われるプラントの設計・建設および維持管理・操業だが、そのデータを効率よく使うための仕組みとして、「Unified Engineering」がある。

「Unified Engineering」を構成するのは、ダイナミックシミュレータを含む「プロセスエンジニアリング」、「メカニカルエンジニアリング」「エレクトリカルエンジニアリング」「計装エンジニアリング」などだが、各要素の1/2/3Dエンジニアリングが同じプラットフォーム上に置かれる。このプラットフォーム上のデータを、調達、建設、プロジェクトマネジャー、プラント運転員がシェアして、活用する。

AVEVA Unified Engineering

「Unified Engineering」の構成するツールの一つにAVEVAの3次元CAD「E3D」がある。「E3D」の「E」は「Everything」の意味で、配管およびそのサポートの設計を一つのツールで済ませる機能が搭載されている。

「E3D」は、長年に渡り、AVEVAのプラント設計を支えてきた3D CAD「PDMS」の後継製品だが、その役割はプラント設計の構成要素の一つだ。

しかしプラント設計は、配管を中心とした設計だけで完結するものではない。電気・計装設計、機器設計などの様々な設計データが連携することで、それぞれの要素設計がどのように影響し合うかなどを確認しながら設計すれば、「ワンプロジェクト、ワンエンジニアリング」という理想が実現され、高い精度の設計が効率的に実現できる。


「AVEVA PIシステム」の取得でポートフォリオが拡大

AVEVAは2020年8月に、OSIソフトを買収し、プラントのオペレーションデータをリアルタイムで記録できる「AVEVA PIシステム」を取得した。このシステムを製品ラインナップに加えたことで、ユーザがオーナー・オペレータにも広がり、ユーザはオペレーション情報として、プラントの設備情報を求めるようになった。

このため、それまで散乱していた設備情報を一つのプラットフォームで扱えるAIM(アセット・インフォメーション・マネジメント)システムの需要が高まっている。

AIMは複数の情報源やシステムのデータを信頼できる実用的な考察に変え、設備、文書、図面など、様々なデータフォーマットの情報を特定、相互参照して提示するものだ。

このシステムが情報確認スピードを加速し、分散したユーザグループに共通のデータ資産を提供する。そして、このソリューションがデータに基づいた意思決定を促進し、プロジェクト計画、オペレーションパフォーマンス、および安全性の最適化と同時に、リスク低減を実現する。

例えば、機器・塔槽類であれば、検索して、その情報を開くと、その機器などの属性情報が分かる。仕様書やP&IDなどの図面、プロットプランの開示図など、タグをベースに必要なデータを検索して、飛んで行くことができる。

AVEVAはOSIソフトの買収により、ポートフォリオがプラントのライフサイクルに拡大した。ポートフォリオの拡大に伴い、エンジニアリングツールの役割が変わったと言えるだろう。そうした中、昨年、新たに「Unified Engineering」が強調された。

AVEVAがライフサイクルに関わるエンジニアリング情報の効率的な活用に向かっている。







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