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 2023.10.06
 【高田工業所】
  建設・メンテナンスの施工で蓄積されたノウハウをEPCに展開
  今年4月にEPC本部を設置、デジタル技術の活用で事業の拡大を目指す

高田工業所(TAKADA)は今年4月、EPC本部を設置した。これまで、プラントの建設やメンテナンスの施工を中心に展開してきた高田だが、今後、メンテナンスの市場が縮小することが予想されるため、プラント建設のEPCに対応することで、事業を拡大。EPC事業に本格的に参入し、メンテナンス市場の縮小を補い、成長へと展開する計画だ。

TAKADAは、EPC本部の設置以前から、これまでの事業を通じて蓄積してきた技術・工事運営ノウハウのDX化を図ってきた。

こうして構築されたTAKADAのDXには、BIMプラットフォームや設備診断などがある。

 高田工業所のDX

またBIMプラットフォームや設備診断におけるDX以外にも、溶接技術をデジタル化した「溶接DX化」も整備されている。ここでは、溶接に必要な電圧、電流データを取得できるほか、溶接部外観自動判定のシステム、また溶接スピード、溶接順序などによる熱解析、変形、応力を解析する溶接シミュレーションも揃えつつある。

さらに、BIMプラットフォームでは、VR(仮想現実)を取り入れ、対応しており、今後に向けてMR(複合現実)の取り組みも進めている。



使い慣れたソフトでEPCを展開

建設やメンテナンスの施工を中心に展開してきたTAKADAだが、これまでにも建設やメンテナンスを行うために、3DCADによる設計に対応してきた。プラントの設計においては、応力解析、耐震性評価、ノズル局部応力、固有値解析、耐圧計算などを独自に行う必要があり、いずれの解析にも各種ソフトウェアを活用してきた。

こうして、3DCADなどにより作成されたモデルには、配管3Dモデル、架構・土建3Dモデル、機器3Dモデルがあるが、これらをBIMモデルに集約し、整合性を確認する。配管3Dモデルの作成にはEYECAD、架構・土建3DモデルにはReal4、機器3DモデルにはInventorやSolidWorksがそれぞれ使用される。いずれの3DCADも、TAKADAにとっては、使い慣れたCADだ。

これらの3DCADを、NavisWorksを使って整合性を確認する。NavisWorksは、オートデスク社の3Dモデルレビューソフトで、ソフトウェアに依存することなくレビューできるのが特徴だ。この整合性確認では、操作性やプラント内部の通行確認、またクレーンシミュレーターによる施工上の問題が確認できる。

こうしたモデルの作成には、必要に応じて、3Dレーザースキャナーにより得られた点群データによる3Dモデルも活用される。

これら3Dモデルを活用して、安全性や操作性、通行性、メンテナンス性、外観、干渉などの確認を行い、工事の後戻り・変更の無い設計を目指す。


検査・設備診断技術を活かしプラントの改造にも対応

TAKADAはプラント建設のみならず、プラント改造にも対応する。

この改造で活用されるのが、TAKADAがこれまでに培ってきたメンテナンスにおける診断技術や知見であり、TAKADAは様々な設備診断技術や材料診断・解析技術を保有している。

設備診断技術の中には、自社で開発した電流情報量診断システム「T-MCMA」や各種センサを用いた振動診断がある。

また金属材料破壊損傷データベースによる材料診断・解析、さらに配管肉厚モニタリングなどによる非破壊検査にも対応できる。

一連の設備診断技術の中でも、特に電流情報量診断システム「T-MCMA」は、TAKADAが独自に開発したシステムだ。モータ駆動電流で分かる回転機械の状態監視診断システムで、すでに、TAKADAの提供する「TMCLOUD」を活用した監視システムとして、実績を築いており、すでに1,200機超の精密診断の実績を持つ。

最近では、既存事業のプラントのみならず、トンネル内のジェットファンの診断に導入されるなど、対応分野を拡大している。

TAKADAは将来のメンテナンス市場の縮小に伴い、EPC分野への進出に本格的に取り組み始めた。この目的を達成するために、これまでに建設・メンテナンスの施工で培ったノウハウをデジタル化するとともに、診断事業での実績を活かしながら、EPC事業に有効に活用できるプラットフォームの確立を目指している。

今後、TAKADAのDXを活用したEPC事業展開が期待される。



㈱重化学工業通信社
 

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