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 2023.10.06
 【レイズネクスト】
  施工と設計分野および保全分野でデジタル機能強化
  「エンジニアリング」と「メンテナンス」を両輪に展開

2019年7月に、メンテナンスを主体とした旧新興プランテックとエンジニアリング主体の旧JXエンジニアリングとの合併により発足したレイズネクスト。同社は、エンジニアリングとメンテナンスを両輪に事業を展開し、業務効率の向上を目的としたデジタル化が着々と進められている。

まず全社的なデジタル化を進める「デジタル戦略部」が設置されている。ここでは、ERPの構築・導入展開、ITインフラ整備など、全社的なデジタル化が推進されている。

すでにERPの構築は終わり、その導入展開が始まっている。目下の課題はデータを用いて意志決定を行う仕組み作りだ。デジタル戦略部は「現場のデータをタイムリーに吸い上げ、そのデータを社員や経営が活用・分析し、意志決定に繋げられるような仕組みを構築したい。また、この仕組みによってデータ活用する文化を社内に根づかせたい」と言う。

デジタル戦略部は、企業として、事業インフラのデジタル化を担当しており、組織単位で各事業部や本部のデジタル化がそれぞれ行われている。


自社開発の施工管理ソフトをバージョンアップ

工務本部は、工事の工程管理を確実かつスムーズに実施するためのシステムを担当している。

すでに、工程情報共有化ツール「SPIRIT」、施工情報データベース「S-TORAGE」、そして位置情報共有システム「SKY-Ai」の3種類の自社開発システムを運用している。

「SPIRIT」は、工事の進捗を一括管理できるクラウドシステムだ。社内のみならず、協力会社など社外からもアクセスできる。工事進捗管理、翌日工事予定管理、工事予定承認、掲示板・体調管理などの各機能が搭載されている。各工事現場の工程管理において、重要なツールとして活用されている。

 工事情報共有化ツールSPIRIT

「S-TORAGE」は、工事情報を一括管理するシステムだ。機器仕様や施工情報などを一括共有することで、書類作成の手間や二重管理を防ぎ、計画・引継・報告書作成などの業務を効率化できる。機器仕様管理、図面登録、施工履歴管理などの機能を持ち、年度単位で、施工や機器を工事ごとに情報を蓄積し、蓄積された情報は次回以降の工事にも活用できる。

「SKY-Ai」は、工事作業、クレーン作業、足場架設、通行止めなどの位置情報を一元管理できる。ブラウザベースで情報が管理されているため、社員のみならず、施主、協力会社など、工事関係者が情報にアクセスできる。工事情報を「見える化」することで、現場工事を効率化している。

これら一連の自社開発によるシステムを活用しているレイズネクストだが、現在、工務本部の生産技術部が中心となって各システムの機能向上に取り組んでいる。

例えば、「SPIRIT」では、計画と実績との差を見ることができるので、KPI(重要業績評価指標)を設定することにより、工事パフォーマンスの確認を行い、問題点を洗い出せば、次の定修でパフォーマンスを改善につなげることができる。

また社内のみならず、協力業者の要員のスキルをデータとして取り込めば、プロジェクトに関わっている要員の経験値を数値化して、工事パフォーマンスを予想することもできる。


EPC強化を目的に新たにソフトウェアを導入

エンジニアリング本部は現在、自社で受注したEPC案件のほか、専業大手やゼネコンが元請けとして受注した案件のサブコンとして、プロジェクトを遂行している。

ここで取り組まれているのが、EPCの生産性向上だ。現在重視しているのが、各部署が3D設計を行い、モデルを統合する効率的な設計・施工だ。

これまで、レイズネクストが手掛けるのは、配管工事が主体となる案件が多かった。しかし顧客が多様化するのに伴い、配管レビュー時に、配管以外の他設備のモデルの正確性を求められるケースが増えている。そこで、エンジニアリング本部では、新たにオートデスク社のソフトウェアを導入する。

オートデスク社は、配管設計では「Plant3D」、建屋設計「Revit」、機械設計「Inventor」といったソフトウェアをラインナップしているが、これらのフォーマットは同じ拡張子「DWG」だ。各データは同じ拡張子で活用できれば、データ互換が容易で、生産性も向上できる。同時に、各ソフトウェアはカスタマイズ性も良く、低価格に設定されている。この点を評価して導入を決めた。

また、千代田化工建設とスタートアップのアレント社が共同開発した、自律型CADシステム「PlantStream」を導入した。今後、FSや見積に活用する方針だが、EPCを強化するうえで上流のエンジニアリング力も強化する狙いがある。

エンジニアリングとメンテナンスを両輪に成長を目指すレイズネクストだが、最先端技術の導入を行い、設計-施工-保全のシームレスなデータ利用を目指し、デジタルを活用しながら、DXによるいっそうの業務効率化と施工能力の強化を図る方針だ。



㈱重化学工業通信社
 

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