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 2023.5.25
 【Cognite】
  現場での使い勝手を重視したCDF
  IT・OT・ETのデータを一元化、オープン構造でカスタマイズが容易

 Cogniteは、ノルウェーのアーカーグループの企業として2016年に設立された。Cogniteの「Dataops」であるCFD(Cognite Data Fusion)は、あらゆる業務でサイロ化された産業データの利用を可能にするソリューションだ。DCS、PLC、SCADAシステムなどからのデータ入力は言うまでも無く、4足歩行ロボットの眼が見たメーターの数字まで入力できる。しかもオープンなAPI開発用のインタフェースが提供されているため、ITに関する知識が無いフィールドオペレーターでもカスタマイズできる。この使い勝手の良さが短期間での、Cogniteの成長を可能にした。


IT・OT・ETのデータを一元化

「Dataops」は、Cognite社がガートナーなどのリサーチ会社に対して、新たな市場としての価値訴求を行い、誕生した、新しいソフトウェアカテゴリーだ。

そのガートナーは、Dataopsについて「組織内のデータ管理者とデータ利用者のコミュニケーションや、両者間のデータフローの統合と自動化を改善することにフォーカスした、コラボレーティブ管理プラクティス」と定義している。

プラントのような生産設備を持つ企業であれば、工場のあらゆる設備に関わるIT系のシステムやOT系のシステムに加え、3次元CADなどのET(エンジニアリング・テクノロジー)のデータを一カ所に集約し、集約されたデータを、コンテキスト化して、事業活動に有用な形にすることには大きなメリットがある。

データを実際に活用する場合、様々な情報が予め整理されて関連付けられるような状態にしておくことで、データ活用を促進することができるが、これがまさしく「Dataops」のことだ。

Cogniteが提供する「Dataops」は、産業界が抱える様々な問題を解決して例えば、システムがサイロ化され、データが分断されており、DXに必要なデータを横断的に収集し活用することが困難な場合、「Dataops」の活用により、組織内の誰もが、必要なIT/OT/ETデータを自動的に関連付けしてすぐに活用できる。

また、ITエキスパートでは無いプラントの専門家やエンジニアが簡単に、業務に必要なデータを可視化するダッシュボードを容易に開発できるようになる。

さらに受け身的な運用やメンテナンス作業の非効率化やスケジュールの遅延が発生するような場合でも、「Dataops」の活用により、AIを活用したプロアクティブな作業ができ、予知保全が可能になる。


製造現場で使い勝手の良いソリューション

Cogniteが提供する産業用DataopsであるCognite Data Fusion(CDF)は、簡単にあらゆる業務でサイロ化された産業データの利用を可能にして、整備するための様々な機能を提供している。

CDFを活用することで、業界固有のセンサーデータ、3Dモデル、写真、フローチャート、P&ID図面を統合して活用できる。

また、データアクセスポイントを一元化することで、あらゆる人が活用できるようになり、迅速な情報収集や意思決定が可能になる。

例えば、対話型P&ID作成は、CADソフト、あるいは紙のP&ID図などをPDF化して、CDFに送信・処理すれば、CDFに取り込み済み装置タグを自動認識して、タグ付けできる。

 対話型P&ID作成の手順

これを専門家やエンジニアが確認して、抽出できないタグは、手動による関連づけが可能だ。紙の手描き図面は、パブリッククラウドのプロバイダーがクラウド上のサービスとして提供している物を利用できる。

そのうえで、タグID、装置名、P&IDから運転データを選択して、必要に応じてチャートで表示したり、また高度な関数をGUIから適用できる。こうした方法で、高度な分析に対話型P&IDを活用可能だ。

Cogniteのソリューションは、現場での使い勝手が非常に良いが、これはCogniteがノルウェーの産業投資会社で、石油・ガス、再生可能エネルギー、グリーンテクノロジーなどを手掛けるアーカーグループのグループ企業だからだ。

このため、ソリューションの開発をITエンジニアと製造現場の経験を持つドメインエキスパートが行っている。

Cogniteが単なるITエンジニアの集合ではない点が現場の使い勝手が良いソリューションの開発につながっている。こうした使い勝手の良さは、データの幅広い入力手段にもつながっている。


様々なデータ入力が可能

Dataopsのデータ入力は、DCS、PLC、SCADAシステムから収集ができるが、ロボットの活用も可能だ。

例えば、ロボットの眼が計器のメーターを読めば、その数字を入力できる。この機能があれば、ロボットを活用したプラントの点検やメンテナンスが可能になる。これができるのであれば、高度なスキルを持つエンジニアの貴重な時間が定期的・反復的な点検作業に浪費されることが無くなる。

実際、4足歩行ロボットの活用により、プラントの自動点検が行われ、省人化・省力化が進められているケースもある。

 4足歩行ロボットによるプラントの自動点検が可能

最近では、ドローンに搭載したカメラが撮影した画像から点群データを取得して、点群データから3Dモデルを作成して、デジタルツイン上にドローンの撮影したデータを組み合わせて、設備の不足や錆を見つけ出すという活用も進んでいる。

また、Cogniteでは、オープンなAPI開発用のインタフェースが用意されているため、ユーザーやそのパートナーが独自に作っている業務アプリケーションにより、データを活用する仕組みがある。

この仕組みを活用すれば、フィールドの点検員が持つタブレット上の情報活用のためのカスタマイズが容易になる。そのうえ、ITの知識が無くてもカスタマイズが可能だ。

こうした機能を活用すれば、ユーザーによるカスタマイズが容易になり、そのためのスピードも迅速化できる。

収集されたデータは、デジタルツインを構築し、クラウド上の仮想空間で活用される。クラウド上で、装置や機器のアセットに紐付くセンサーやドキュメント、図面など、複数のデータに対して、シンプルにアクセスして参照できる。

ユーザーがノーコードで開発できるため、プラントの専門家やエンジニアが簡単に素早くデータを利用できる環境が提供されている点が大きな特徴でもある。


ITエキスパートで無くてもカスタマイズが可能

様々なデータの収集・入力に対応できるCDFだが現在、ユーザーのニーズに対応したデータの出力方法の開発にも取り組まれている。

ダッシュボードに整理した形による出力は実現されているものの、ユーザーにとっては、エクセルでの出力を求めるケースもある。特にエクセルを使い慣れている日本人にとっては、エクセルによる出力はありがたい機能だ。

CDFは、EPCコントラクターから上がってきたエンジニアリングデータ、またオペレーションフェーズの時系列データや指示書などを一元的に活用できる。

しかもITエンジニアのような知識が無くても、活用できる。このため、ITの知識がほとんど無いフィールドエンジニアがCDFを活用することで、様々なデータ分析が可能だ。

オープンなAPI開発用のインタフェースが提供されているため、十分なITに関する知識が無くても、データを活用できる。

Cogniteはノルウェーのアーカーグループだが、実際、グループの洋上施設で働く若手エンジニアがCDFを活用して、独自の使用方法で生産性を向上させているケースもある。

Cogniteのオープンな構造は、ITに関する知見が乏しい人材にとっても、新たな活用方法が見出すことが可能だ。



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