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 2023.5.25
 【AVEVA】
  プラントのライフサイクルに渡る業務を支援する「AVEVA PI System」
  世界で2万社以上が導入、効率向上で数多くの実績

 AVEVAの設備データ統合管理システム「AVEVA PI System」は、プラントの設計・建設・運転といったライフサイクルの最適化を支援するシステムだ。プラント内の特定機器の状態や保全履歴を把握し、状態から異常が検知できれば、いち早く対応して、トラブルの発生を未然に防ぐこともできる。また、稼働履歴は蓄積され、設備管理にも利用される。さらに最近では、GIS(地理情報システム)などと連携して、洋上風力発電プラントの最適保全の提案を行うなど、幅広いニーズに対応できる。すでに世界で2万社以上が導入したシステムだが、豊富な実績に裏付けられた高い信頼性で、プラントの稼働の最適化を実現している。

AVEVAの提供する設備データ統合管理システム「AVEVA PI System」は、プラントの設計・建設・建設後の運転・運転の最適化といった、プラントのライフサイクル全般にわたって、様々な業務を支援できる。

「AVEVA PI System」は、AVEVAが2021年4月に経営統合したOSIsoft社が開発したソフトで、これまでに2万社以上のユーザーに納入されている。システムを導入しているのは、エンジニアリング、石油、化学、食品、飲料、製薬、インフラ、造船、鉄鋼、エネルギー、電力、製造、上下水道など多岐にわたる。

システムは世界の有力石油・ガス企業の85%、電力・ユーティリティ企業の1,000社以上が導入している信頼性の高いシステムだ。これらの実績を背景に、AVEVAは「この分野でのグローバルナンバーワンになる」ことを目標に、事業に取り組んでいる。

 AVEVA PI Systemの概念図

これまでに導入したユーザーは、設備の健全性を維持するためのコストの大幅な削減、エネルギー効率の改善、プロセスの最適化、無事故操業期間の延長など、様々な成果を上げている。

これら一連の効率を向上した事例は、脱炭素化につながるもので、地球資源を効率的に活用するものでもある。


リアルタイムの閲覧・分析が可能

「AVEVA PI System」は、プラントの現状、過去の運転履歴を管理するシステムで、プラントの運転に関するデータプラットフォームである。

特定イベント・事象が発生した場合、メールやポップアップで自動通知を行い、特定のイベントの事象の履歴を残す。データの関係性を明確化して、データの整理を行い、リアルタイムデータの蓄積が可能だ。さらに演算・分析機能も装備されている。

これらの機能により、プラント内の特定機器の状態や履歴が分かる。例えば、「ポンプ1号機」であれば、流量、圧力、製造会社、最終保全日、ポンプ効率などが分かる。これらのうち、ポンプ効率は、稼働状況から演算・分析機能により算出される。

また、ユーザーによっては、すでにEAM(企業資産管理)システムを活用して、ワークフローや資金を管理しているケースもあるが、EAMシステムとの連携も可能だ。

これらのデータを利用して、プロジェクトアナリティクスのアプリケーションと連携できれば、装置の不具合の予兆を知らせることもできる。

AVEVAは、「PI Vision」を用意しているが、これはリアルタイムデータを可視化できるダッシュボードだ。

 「PI Vision」のディスプレイ

ドラッグ&ドロップ操作で自由にマイダッシュボードを作成でき、個人が見たいデータを見たいカットで閲覧・分析できる。

秒単位での画面リフレッシュが可能で、スマホ、タブレット、PCなど、ブラウザでの閲覧・分析が可能だ。加えて、ポンプ・タービン・配管などのシンボルを用意しているため、P&ID系統図の作成が可能だ。


設備管理を効率化する仕組みを装備

「AVEVA PI System」のユーザーは、石油・ガス、電力、製薬、化学、製造関連など、多岐にわたる。これら産業が使っている設備の特徴は、その製造状況を目視できないことだ。配管の中の流量、設備内の圧力、温度をセンシングして、そこから得られたデータ情報から、プラントの状態を把握するのである。

「AVEVA PI System」は、あらゆるデジタル情報の取得が可能だが、プラントでは、主にDCS(分散型制御システム)、PLC、SCADAシステムやセンサー情報からのデータを取得している。

こうして取得したデータだが、データのモデル化の連携は、AIが自動的に行う。

例えば、ある装置産業が1,000台のポンプを稼働していた場合、1台目のポンプのチェックポイントを人間が定義づければ、それを他のポンプにも展開できる。

また、AIを活用して、マシンラーニングによるデータ分析で、パターン認識を行いながら、健全性を見ていくこともできる。その延長線上で、「どのような情報があれば、ポンプの設備管理がやりやすくなるか」という問題に直面すれば、エンジニアリングデータの中からその解を導くこともできる。


洋上風力発電プラントでも実績

石油・ガス、電力などの業界で多くの使用実績がある「AVEVA PI System」だが、再生可能エネルギー分野において注目度の高い洋上風力発電プラントでも、見逃せない使用事例がある。

洋上風力発電プラントは、何百基というプラントが洋上で稼働している。稼働している場所は、非常に危険な洋上である。

その洋上で稼働するプラントの部品の交換には危険を伴うため、危険を回避しながら部品を交換できなければならない。そこで、最適ルートによるメンテナンス計画が立案される必要がある。

「今日点検しなければならない」とか、交換しなければならない風車の特定という点で、「AVEVA PI System」が役立つ。

実際、「AVEVA PI System」とGISが連携して、最適ルートが提案される。洋上であれば、船が航行する時に座礁する可能性もあるので、海面の高さに関するデータとも連携してルートが割り出される。

また、メンテナンスのスケジュール管理にEAM(企業資産管理)システムを活用しているケースでは、「AVEVA PI System」、GIS、EAMがトライアングルで連携して使われている事例もある。

さらに最近では、プラントの運転の省人化や無人化を実現するために、「AVEVA PI System」が効果的に活用されているケースも多い。


設備の停止を未然に防ぐ、予知保全が可能

「AVEVA PI System」の大きな特徴は、CBM(状態基準メンテナンス)を可能にすることだ。

例えば、ある電力会社は「AVEVA PI System」を活用することで、変電所の稼働の異変を検知し、トラブルの発生を未然に防ぐことができた。その電力会社が「AVEVA PI System」を活用して語った感想は「トラブルを起こさないので、何も起こっていないように見えるけれども、それが一番大事だ」というもの。

異変を告知してくれれば、保全担当者の業務もスムーズに進む。事故が発生すれば、スムーズな業務の遂行は難しくなるが、トラブルの発生を未然に防ぐことに「AVEVA PI System」の大きな価値がある。

また「AVEVA PI System」は主に、DCSやセンサー類からデータを取得しているが、自社で保有する、カメラのモニタリングにより、異常を検知するシステムも保有しており、こうしたシステムからもデータを取得できる。

さらに「AVEVA PI System」は、データを一カ所に置いて、そこからデータを参照している。

データをクラウド上に置くことも考えられるが、AVEVAは「クラウドにデータを置くことは、二重にデータを持つことになる。このため、どちらのデータが正しいか分かりにくくなる」という。一カ所にデータを置くことで、常に正確なデータを導くという考えだ。

「AVEVA PI System」は1980年に設立されたOSI Soft社が開発したシステムだが、ユーザーに提供されて、すでに40年が経過している。

その間、数多くのユーザーから支持されてきた。その実績が生み出すソリューションは、「設備統合データ管理システム」における財産だ。




㈱重化学工業通信社
 

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