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 2023.2.25
PlantStream
ベテラン配管エンジニアのノウハウもソフトに反映
千代田とスタートアップ企業 Arent が共同開発

2020年8月、千代田化工建設とスタートアップのArentの合弁企業として設立されたPlantStream社。

千代田の持つプラントエンジニアリング経験、プラント空間設計の基本思想と、Arentが持つ、CAD技術、最適化技術と融合させながら、空間設計の効率化を目的としたシステムの開発が進められてきた。

そこで開発されてきた、オートルーティングによる配管設計だが、従来、2次元CADで行われてきた概念設計の3次元化を実現した。その成果が高く評価され、これまでに「PlantStream」を導入した企業は15社、トライアルで導入を検討している企業は30社に及ぶ。

導入した企業は、EPCコントラクターばかりではなく、オーナーオペレーターも少なくない。また最近では、海外企業の導入も始まっており、海外売上比率は15~20%に及んでいる。


短時間で3次元の概念設計を可能に

PlantStreamはオートルーティング機能を提供するが、その機能は完全な自動設計機能ではない。

いくつかの選択肢を用意して、それをエンジニアに選択させる。従来は、エンジニアが白地に絵を描いてきた配管設計だが、そのルートの選択肢を提供する。エンジニアは、選択肢から選択して、設計を行う。

自動設計とは言えないかもしれないが、選択肢が提示され、選択だけで済むのであれば、それだけでも格段に効率が向上する。

このオートルーティング機能が現在、活用されているのが、初期設計だ。

従来、初期設計は、2次元のツールで対応されてきた。しかし、2次元では、3次元に比べ、プラントの実態が正確に把握できない。そのため、設計を固めることもできなければ、見積の精度を向上させることもできなかった。

この点、PlantStreamで3次元による初期設計を行えば、初期設計をフィックスして、ある程度の見積ができる。その見積額により、ある程度、投資額が決まり、設備投資のための判断材料にすることが可能だ。

PlantStreamによる業務改革

EPCコントラクターのみならず、オーナーオペレーターにも評価された理由は、ここにある。このため、国内の有力石油化学メーカーも導入しており、迅速に3次元の初期設計ができる点は、ユーザーからも高く評価されている。

PlantStreamで作成された概念設計を、現在、普及している一般の3次元CADに落とし込み、基本設計から詳細設計へと展開すれば、設計の効率も向上する。

現時点において、PlantStreamはEPCの上流側で効率を向上する機能を担っているが、3次元で早期に概念設計を取得でき、それをEPCに展開すれば、2次元の概念設計での対応に比べ、格段に生産性を向上できる。

また最近は、医薬品プラントなど、短期間で投資決定を求められるケースもあり、PlantStreamのオートルーティングによる概念設計へのニーズも高まっている。


期待される減少する配管エンジニアの代替としての役割

そもそも、千代田がArentとPlantStreamの開発に着手したのは、配管エンジニアの確保が難しくなり、そのノウハウをソフトウェアに落とし込む必要があったからだ。

配管エンジニアの採用が困難になったのは、日本だけではなく、世界的な問題でもある。実際、PlantStreamの営業担当者も、「営業活動中に配管エンジニアの採用が難しいという話には、国内外で接する機会が、予想以上に多い」と言う。

この問題に対処する目的で、千代田で長年に渡り、配管設計に取り組んできたエンジニアのノウハウをソフトウェアに落とし込み、PlantStreamを開発してきた。

これにより、概念設計のオートルーティングをソフトウェアが代替できるようになったが、今後は、オートルーティングの対応領域を拡大する必要がある。

概念設計のみならず、基本設計、詳細設計へと領域が拡大すれば、本格的なオートルーティングが実現される。

また現在は、PlantStreamで作成された概念設計は、アヴィバの「PDMS」や「E3D」などの一部の3次元CADでは展開できる。しかし、すべての3次元CADに対応できるわけではない。

今後は、様々な3次元CADへの対応を可能しながら、オートルーティングの領域を拡大する必要がある。

オートルーティングは始まったばかりだが、世界的に減少する配管エンジニアの代替として、今後も期待が高まるのは間違いない。




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