2023.2.25
ヘキサゴンALI
IT活用でユーザーの声を反映するシステムを構築
AIで点群データから機器を認識、ブラウンフィールド
プロジェクトに活用 |
ヘキサゴンALIは今、エンジニアリングの生産性の向上を目的に、プラントの改造などのブラウンフィールド案件を対象としたAI活用の開発に取り組んでいる。
この開発は、対象となっているプラントの部分を3次元レーザースキャナーでデータを取得し、スキャナーで得られた点群データを活用して、機器を認識させるものだ。ポンプやタンクを、点群データからそれぞれ認識する。
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AIによる点群の認識 |
その機器を自動認識するために、インテリジェントP&IDを活用する。その理由は、P&ID図面があれば、フローを理解できるからだ。フロー上に、機器を自動で認識させることで、ブラウンフィールド案件の設計を効率的に進めることができる。
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インテリジェントP&ID |
ヘキサゴンALIでは、かつてはオートルーティングによる自動設計の開発に取り組んだが、現時点ではユーザーを納得させるまでのレベルを達成するのは困難と判断。
最近の開発では、ブラウンフィールドを対象とした機器の認識に取り組んでいる。
「またヘキサゴンALIでは最近、SaaS(Software as a Service)を活用したプロジェクトセットアップへの対応を始めた。
ユーザーの話を聞くと、設計を始めるとき、意外にそのセットアップに時間とコストがかかっていることが分かった。そこでプロジェクトセットアップが簡単にできる仕組みとして、SaaSを提供した。
それまで、プロジェクトをすぐに始めなければならない時に、IT部門に言うと、2~3日かかった。そこで、クラウド上にSaaSの仕組みを立ち上げ、プロジェクトを早期に立ち上げる仕組みを用意した。
これにより、プロジェクトは迅速に立ち上がり、ユーザーからも「非常に効率化できた」という声が寄せられるようになった。
ヘキサゴンALIでは、3 次元CADの「Smart3D」の新たな開発による生産性の向上
には取り組まれていないが、エンジニアリングの業務フローの革新が実現されている。
プロジェクトが2~3件同時に走っていても、IT部門へ大きな負荷はかからないが、5~10件が走るようになれば、かかる負荷も大きい。その負荷を軽減するためのSaaSの導入はグローバルレベルでユーザーに喜ばれた。
ヘキサゴンALIだが、開発テーマの選定には、ユーザーの意見を重視している。従来、ユーザーの声は、営業担当者など、社員がユーザーと接することによって、集められてきた。
しかし今年から、ユーザーの声を集めるシステムが導入された。そのシステムは、ユーザーが「こんな機能が欲しい」「この機能は、使いやすく改善してほしい」とシステムに意見を登録し、その意見に賛成するユーザーがいれば、登録した意見に投票するのだ。
ユーザーが登録した意見に、どんどん投票されれば、その投票数が増えて、ユーザー企業30社が投票するようなことがあれば、開発側が高いプライオリティを設定して、開発テーマに選定する。
従来は、なんとなくユーザーの声を開発に反映していたが、ユーザーの意見を定量的に把握できるシステムが構築されている。
こうしたシステムが稼働しても、問題なのが日本のユーザー向けの開発だ。その理由は、日本人が、国際社会の一般的な習慣とは異なる習慣を持つためだ。
例えば、ヘキサゴンALIには、日本市場向けの3次元CAD「EyeCAD」がある。「EyeCAD」は設計図面を出力して、使用するのが一般的だ。
しかし海外では、3次元データをモデルとして活用するため、設計図面を出力しないのが一般的だ。こうした国際社会とは異なる日本ユーザー向けの開発は従来通りに、ユーザーに対してアンテナを張り巡らし、意見をヒアリングするしかない。
日本には、世界と異なる習慣による、独特な業務フローがあるが、その特殊な状況に対応するには、そこには、やはり日本独自の取組が必要になる。 |
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