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 2023.2.25
 ヘキサゴンALI・VP Fabio Yadaシニア・バイス・プレジデントに聞く
 EPCからO&Mまで、ポートフォリオを拡大したヘキサゴンALI
 プラントのライフサイクルを対象にした最適ソリューションの提供を目指す

昨年3月に、「ヘキサゴンPPM(プロセス・パワー・マリン)」から「ヘキサゴンALI(アセット・ライフサイクル・インテリジェンス)」に事業名を変更した。

一昨年10月に「InforEAM」を買収して、従来のEPCに加え、O&Mソリューションがポートフォリオに加わった。事業ポートフォリオは拡大し、ヘキサゴンALIは、従来のITのみならず、OT(オペレーショナル・テクノロジー)にまでをカバーするようになった。

ヘキサゴンALIのアジア・太平洋のトップであるである、FabioYadaシニア・バイス・プレジデントにヘキサゴンALIの事業戦略について聞いた。

    Fabio Yada 氏
   (ファビオ ヤダ)


















ENN 昨年3月に、「HEXAGON PPM(プロセス・パワー・マリン)」から、「HEXAGON ALI(ヘキサゴン・アセット・ライフサイクル・インテリジェンス)」に社名変更されました。その理由を聞かせてください。

Yada 当社が合併を繰り返すのに伴い、事業が多角化しました。現在では、プラントの設計のみならず、EAM(エンタープライズ・アセット・マネジメント)をはじめ、プラントのライフサイクルが対象になりました。

特に一昨年10月には、EAMシステムとして実績が豊富な「Infor EAM」を買収し、「HEXAGON EAM」としてプラントのライフサイクルに本格的に取り組む体制が整い、社名変更に踏み切りました。


EPCからO&Mまで拡大したポートフォリオ


ENN 社名変更に伴い、事業戦略も変わったのですか。

Yada 以前は、プロジェクト・フェーズである設計から工事にまでフォーカスしていましたが、プロジェクト投資に対して、単に、CAPEXの考え方で取り組むのには、リスクを伴います。従来のポートフォリオに加え、施設の運用からメンテナンスまでを対象にすることで、プラントの生産性を向上し、安全を確保することを重視しています。

もちろん、従来のコアソリューションであるEPCへの事業を継続しますが、新しい方向として、O&Mに取り組む方針です。

ENN OT(オペレーショナル・テクノロジー)についてはこれまで、どのように対応してきましたか。

Yada 2020年11月に、ヒューストンに本社を置くPASグローバルを買収しました。

PASグローバルは、製造、石油・ガス、ユーティリティなどの設備集約型産業におけるサイバー脅威を防止し、検出・修正し、プロセスの安全性リスクの軽減を図り、意思決定のための信頼性の高いデータを提供するOTのインテグリティソリューションの大手プロバイダーです。

ENN OTの生産性を向上させるのに、サイバーセキュリティへの対応だけでは不十分と思いますが。

Yada 施設のライフサイクル全体を通じて、効率的で安全な操業を実現するには、「Hexagon SDX」があります。このソリューションでは、あらゆるデータを扱うことができます。データを元にした、経営における意思決定を支援します。

競合する他社も、M&Aにより、施設のライフサイクルを対象としたソリューションで事業を展開していますが、最終的には、顧客のニーズに沿って、どのようなデータを統合するかが重要です。

当社の理想は、顧客が100%当社製品を導入してくれることですが、現実は異なり、様々な製品を組み合わせています。このため、閉鎖的なソリューションではうまく行かないと考えています。

ENN 最近、顧客はどのように変化していますか。

Yada 世界各国の複数のプラントに責任を負っている方もいらっしゃいます。そうしたお客様に対して、当社は全社に渡って、標準化を支援しています。顧客の企業規模の拡大に伴い、支援できる会社として、認識されています。

もう一つ、大きな変化と思うのが、ユーザーがプラントの寿命を延長しようとしています。日本でも、原子力発電プラントの延命化が検討されていますが、延命化に伴い、メンテナンスの必要性が再認識されるわけですから、ここにビジネスチャンスがあると見ています。

ENN ポートフォリオが施設のライフサイクルに拡大したのに伴い、新たに社員を採用する必要があるのではないでしょうか。

Yada すべての産業でデジタル化が進んでおり、こうした企業と、当社は競合しなくてはなりません。特に、若手は、リモートと出社のハイブリッドな環境を求めていますから、柔軟な働き方に対応する必要があります。

またPASグローバルを買収したのに伴い、当社の社員やパートナー企業のスキルアップには力を入れています。

一方で、この内容は、当社のお客様にも今後、HEXAGONユニバーシティを通じて、提供します。自身のペースで学べるラーニング環境をから、提供する予定です。


CO2排出削減に、O&Mソリューションを活用


ENN 最近、世界的に脱炭素へのニーズが高まっていますが、この状況にはどのように対応されていますか。

Yada 脱炭素への対応は、10年単位で起こると見ています。その中で、当社の様々なソリューションが脱炭素化に貢献しています。

まず、プロジェクトにおいては、当社の製品を活用することで、材料の無駄を省くことができます。

また当社のO&Mソリューションを活用すれば、ユーザーの資産の活用期間を延長できます。このことが結果的に、CO2の排出削減につながります。

実際、スペインの太陽光発電システムでは、当社のソリューションを活用しながら、O&Mが行われています。

ENN デジタル化そのものが、脱炭素化につながるのではないでしょうか。

Yada デジタル化により、CO2の排出削減に取り組むユーザーは数多くいらっしゃいます。あるユーザーは、当社の「Smart Completions」を活用して、50%の仕事の削減を実現し、結果的にCO2の排出を削減されました。

「Smart Completions」は、設備情報を統合して、すべての機器、計器、配管、制御システムのIOポイントの設置、試験、性能を検証するソリューションです。

一方、UAEでは、「Hexagon EAM」を活用して、排水の収集と処理を担当しているユーザーが排水の100%の再利用に取り組まれています。

ENN プラントの運転の自動化へのニーズも高まっていますが。

Yada 当社では、「マニュファクチャリング・インテリジェンス」という事業分野があり、ロボットアームのセンサなどを提供しており、この事業で、自動化・無人化に対応しています。

また自動化の分野では、アクセンチュアと提携しています。アクセンチュアは、ビジネスプロセスの知識に強く、パートナーとして、様々な知見を吸収しています。

ENN パートナリングを事業戦略上、重視されていますか。

Yada デジタルソリューションを提供するのに伴い、様々な業界や産業と関わります。そして、その関わりは、これまでに吸収合併により、従来以上に拡大しています。

ヘキサゴンALIでは、アライアンスプログラムを推進していますが、グローバルレベルで、最善のパートナーはそこかを見出し、パートナーと一緒に、最適な経験を共有することを目指します。

パートナリングは双方にとって、効果があるものです。パートナーが、エンジニアリング、IT、製造業でも、一緒に取り組むことに価値があります。

ENN 日本市場をどのように位置付けていますか。

Yada アジア太平洋地域で、日本はトップに返り咲きました。

石油・ガス、化学などの既存の産業も重要ですが、当社が吸収合併で得たソリューションを日本はローカル化してうまく提供しています。

こうしたビジネスができる日本は、非常に重要な市場だと認識しています。これからも日本のビジネスを重視しながら取り組みます。

ENN ありがとうございました。



ヘキサゴンALIの、アジア太平洋州地域のビジネスオペレーションおよび戦略的方向性の責任者。

2010年にブラジルの海洋産業担当のマネジャーとしてヘキサゴンに入社。

このセグメントで実績を上げ、セールズマネジメントに昇進し、石油および石油化学産業のオーナーオペレーターの戦略的アカウントマネジメントを担当。

その後、セールスディレクターとして、ブラジルのチームを率い、様々な業界におけるプロジェクトのライフサイクルサポートを経験した。



Fabio Yada (ファビオ ヤダ) 氏





























㈱重化学工業通信社
 

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