2021.6.30
ＰＴＣ、ＡＲによる品質検査ソフト「Vuforia Instruct」を発売
機械設計３ＤＣＡＤデータの活用で手順作成・検査・分析を効率化 |
ＰＴＣは、拡張現実（ＡＲ）開発プラットフォーム「Vuforia（ヴューフォリア）」の新製品として、３ＤＣＡＤデータを活用して製造現場の品質検査や記録作業を効率化する「Vuforia
instruct（ヴューフォリア・インストラクト）」を６月21日にリリースした。
検査担当者はタブレット端末を利用して、検査対象にＡＲを重ね合わせながら作業指示を確認し、検査結果の報告までを端末１つで完結することができる。また、本製品はＰＴＣ社製のCreoのほか、ダッソーシステムズのCATIAやSOLIDWORKSで作成した３ＤＣＡＤデータをサポートしている。
製品品質の専門メディアであるクオリティ・ダイジェストの調査によると、製造業企業が品質問題で費やすコストは売上高の５～30％に達すると言われており、アバディーンの調査でも設備不良による計画外のダウンタイムによる損失は、１時間あたり25万ドル、年間で200万ドル以上になる可能性があるとしている。さらに、クオリティ・マガジンの調べでは、製造業企業の67％が品質検査に紙の手順書やチェックリストを使用しているとの調査結果もある。
紙の手順書やチェックリストは情報を探し辛いうえ、情報が古く不正確な場合もあり、継続的な改善を阻む壁となっている。また、紙の場合、報告に手間がかかる点や検査担当者の気付き、ノウハウを蓄積することが難しい点においても課題が残っている。
正しく品質検査ができなければ、製品の手戻りや廃棄によって高コスト体質となってしまい、さらに、不具合によるリコールとなればブランドの評判や市場での地位、顧客満足度、収益を損なう恐れがある。
こうした品質検査の課題を乗り越えるため、ＰＴＣは、３ＤＣＡＤデータを活用したＡＲの作業指示を簡単に作成・配信・拡張できる、ＳａａＳ（Software as a Service）ベースの新製品「Vuforia Instruct」を発売した。
「Vuforia instruct」は、検査担当者のトレーニングや仕入れ部品の品質検査、生産部材の検査、出荷前の最終検査のほか、日常のメンテナンスやオーバーホールといった、製品ライフサイクルで実施する、すべての検査で利用できるように開発された。
| Vuforia Instructを構成するモジュール |
「Vuforia instruct」はライセンス名称となっており、①Vuforia editor（ヴューフォリア・エディター）、②Vuforia
vantage（ヴューフォリア・ヴァンテージ）、③Vuforia insights（ヴューフォリア・インサイツ）という３つのソフトウェア・モジュールで構成されている。
①Vuforia editorは、検査手順を作成・編集する機能となっており、３ＤＣＡＤデータのほかにもテキストやビデオ、写真を取り込むことができる。
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Vuforia vantageの利用例 |
②Vuforia vantageは、タブレット端末に検査手順を表示するとともに、３ＤＣＡＤデータと実際の検査対象をＡＲで重ね合わせることにより、品質検査をアシストする機能となっている。タブレット端末に表示されたポイント・オブ・インタレスト・マーカーの指示に従うことで、製品のどこをどのように検査するかが明確になる。また、検査の合否判定や検査結果の提出までタブレット１つで完結することができる。
③Vuforia insightsは、検査作業の所要時間や特定の検査での傾向を分析する機能となっている。検査結果はブラウザから確認することが可能で、ＣＳＶの出力や外部へのデータ取り込みもできることから、検査手順の改善につなげることができる。
「Vuforia editor」と「Vuforia insights」は、ＰＴＣが展開する「PTC Atlas プラットフォーム」上で提供し、同じプラットフォームで機能する既存のソフトウェアと連携することができる。また、「Vuforia vantage」はAppストアから無償ダウンロードして利用可能となっている。
「Vuforia Instruct」に対応する３ＤＣＡＤには、ＰＴＣのCreoのほか、ダッソー・システムズのCATIAやSOLIDWORKSなどが含まれてる。
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