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 2021.3.8
アヴィバが示した「持続的成長に不可欠なデジタル」
「AVEVA WORLD DIGITAL」をオンラインで開催

 時代の進化とともに、企業には、環境、人権などへの配慮が求められる。これらを十分に配慮したうえで、企業は持続的成長を目指すが、これを実現するうえでデジタルが大きな役割を果たす。アヴィバは1月27 日、国連グローバル・コンパクトネットワークに加盟、人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10 原則を順守する意思を表示した。この10 原則の維持を遵守するうえで、デジタルはどのような役割を果たすか、「AVEVA WORLD DIGITAL」のプレスイベントとして行われたパネルディスカッションでは、企業の持続的成長とデジタルの関係が明示された。

 1 月26日から28日の3日間、「AVEVA WORLD DIGITAL」が開催された。

 毎年、「AVEVA WORLD SUMMIT」として開催されてきたイベントは、2020年の当初は、スペインのバルセロナで開催される予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年は年3回、「AVEVA WORLD DIGITAL」として、オンラインで開催された。

 その3回目のイベントが1月に開催された。会期中の1月27日には、アヴィバが国連グローバル・コンパクトネットワークに加盟したことが発表された。この発表により、アヴィバは160カ国以上に1万2,000を超える企業と3,500の非ビジネス署名者がいる、69のネットワークに加わった。国連グローバル・コンパクトは、企業に対し、人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則を順守し、実践するように要請しているが、アヴィバには新たな社会的な要請が求められるようになった。

 こうした中での開催となった「AVEVA WORLD DIGITAL」だが、今回のプレスイベントで行われたパネルディスカッションでは、持続可能な経済成長において、デジタルがどのような役割を果たすかがテーマになった。

デジタルデバイドの解消に力を入れる国連

 パネルディスカッションに登壇したのは、国連開発計画(UNDP)のCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)であるロバート・オップ氏、アヴィバCEOのクレイグ・ヘイマン氏、シュナイダー・エレクトリックのCSSO(Chief StrategySustainability Officer:最高戦略責任者および持続可能性責任者)であるオリビエ・ブルーム氏、持続可能な企業の成長に関するコンサルティングを行うVerdantix社のCEOで創業者のデービッド・メトカルフェ氏、そしてマレーシア国営石油会社ペトロナスの事業のデジタル化を推進するNervCentreのプラカシュ・クマール・カルナカラン氏の5名。

         
UNDP CDO
ロバート・オップ 氏
  アヴィバCEO
クレイグ・ヘイマン 氏
シュナイダー・エレクトリック
CSSO オリヴィエ・ブルーム 氏

     
Verdntix CEO
デービッド・メトカルフェ 氏
   ペトロナス Head of NervCentre
プラカシュ・クマール・カルナカラン 氏

 これら5名が持続可能な成長において、デジタルの果たす役割について、ディスカッションを行った。モデレーターはUNDPのロバート・オップ氏が務めた。

 そこで、オップ氏は、「Covid-19」の拡大をきっかけに、世界的にデジタル化が進んだ状況を捉え、「政府がサービスに移行したため、多くの人々にチャンスが開かれた」と指摘したうえで、それだけに「デジタルデバイド(情報格差)を是正する必要性が高まった」と指摘した。

 同時に、「持続可能な開発を実現するには、誰も置き去りにしないことが必要。そのためにもデジタルアプローチを活用して、デジタルデバイドを解消する必要がある」と強調した。

 そして国連では「誰も置き去りにしないようにするための全体的な取組において、セクターを超えて、積極的に取り組んでいる」と国連のデジタルデバイド解消への取組について、力説した。

 そのうえで、パネラーに「デジタルは持続可能なビジネスモデルを再考する機会、それについての考えを聞かせてほしい」と質問を投げた。


企業の持続的成長を実現するデジタル

 最初にパネラーとして登壇したのは、アヴィバCEOのクレイグ・ヘイマン氏だ。

 ヘイマン氏は「当社は約50年の歴史があるが、過去3年間で規模は3倍になった。持続可能性への意識が高まったのは、約12~18カ月前だが、このきっかけとなったのは顧客の意識の変化だ。当社の顧客の中には、食品、医薬品などのメーカーのほか、エネルギーを供給する企業もある。中でもエネルギーを供給する電力業界は大きく変わった。50~60年前に石炭から原油に移行し、現在では14.9%のエネルギーが再生可能エネルギーから供給されており、化石燃料は43%で、ゼロカーボンへの意識が高まっている」と前置きしたうえで、「再生可能エネルギーは断続的だが、その断続的なエネルギーをデジタルで管理することで持続性が生まれる」と語り、再生可能エネルギーの弱点をデジタルが補ったことを強調した。

 次いで登壇した、シュナイダー・エレクトリックのオリビエ・ブルーム氏は「企業の持続可能性と進歩を考えた時、テクノロジーとデジタルがいかに貢献するかを考えるべきだが、デジタルは企業をより持続可能なものにするための最良の機会を与えるだろう」と指摘したうえで、「デジタルはシステム全体に影響を与えるものであるため、顧客がエネルギー消費を測定して、より多くの再生可能エネルギーを活用できるようにして、この実用的な例を示すのに役立つリソースアドバイザーを構築できる」と語り、デジタルが、再生可能エネルギーが持続的成長を遂げるのをサポートすることを強調している。

 技術関連の調査会社である、Verdantix社のCEOである、デービッド・マトカルフ氏は「ニューサウスウェールズマイニングは、炭鉱ロビーのグループだ。ここでは膨大な数を雇用しているが、炭鉱の仕事を減速することで雇用への影響を軽減している。実際に、企業の透明性と連携しており、科学に基づいた目標を設定しているため、それについて前向きに連携している」と指摘した。つまり、デジタルを駆使することで、ニューサウスウェールズマイニング社は、炭鉱という環境への悪影響がある産業を展開しながら、環境への影響を低減しながら雇用への影響を最小限に食い止めている状況を紹介した。

 そして、アヴィバの顧客であるマレーシア国営石油でデジタル化を推進するNervCenterのプラカシュ氏のプレゼンテーションは非常に興味深いものになった。。


ペトロナスが実践する持続的成長とデジタルの関係

 プラカシュ氏は「ペトロナスは、マレーシアの国営石油で、20カ国以上に探鉱および生産会社があり、世界で4番目に大きいLNGの生産会社である」と会社を紹介したが、「現在は新エネルギーの開発に力を入れており、最近は、大手の太陽光発電会社を買収し、水素に移行し始めている」と語った。

 その理由は「進歩的なエネルギーとそのためのソリューションは、持続可能な未来のために、人生を豊かにするパートナーになりうるからだ」と言う。

 またペトロナスの事業のデジタル化を推進するNervCentreが登場したことの意義についても語った。

 「NervCentreが登場した時、気候変動の責任者がエンジニア自身で、気候変動を最小限に抑えるための数学的モデルを考え出した。そして、それは温室効果ガスの排出量を確認することだった。さらに現在は、フレアスタックの燃焼についてのモニタリングも行っている。フレアスタックは大きな問題で、温室効果が大きいため、これを排除するための研究を行っている。そしてさらに、CO2を回収して分離するCCS(カーボン・キャプチャ・ストレージ)プロジェクトも検討している。そして、私たちは再生可能エネルギーセクターのより大きなスケールアップを検討している」と語った。

 ただ、プラカシュ氏は「これらをすべて行うには、エンジニアリングを根本的に再考する必要がある。しかし、エンジニアリングとデジタルを実際に統合することは、思ったほど簡単ではないことに気付いた。これら二つのグループをまとめるには、少し手間がかかる。しかし、それらの融合は、非常に興味深い。私たちが今日存在できるのは、持続可能性を実現しているからだ」と、環境を重視した企業の意識が重要あることを強調した。

 そしてパネルディスカッション最後に、クレイグ・ヘイマン氏は「われわれの生活には、エネルギーを必要とするが、そのエネルギーは持続可能でクリーンに製造される必要がある。アヴィバはそれを実現するための施設をエンジニアリングするためのソリューションを提供する必要がある」と締めくくった。



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