ENGINEERING IT ONLINE



    IT ONLINE トップページ / ENN-net / 購読・サンプルのお問い合わせ / バナー広告について


 2020.11.5
パンデミックでより加速したデジタル化
オイル&ガス・プロセス分野では、資産管理ソリューションが好調

パンデミックでも減少しなかったユーザー数

     
アン-マリー・ウォルタース氏 ケン・アダムソン氏

 「パンデミックが発生する以前は、デジタル化はすべての大企業の最優先課題だったが、中小企業でもデジタル化に目を向けるようになった」 ベントレーのグローバルマーケティングダイレクターで、オイル&ガス、プロセス・発電部門を管掌する、アン-マリー・ウォルタース氏は、パンデミックがデジタル化をさらに加速した状況を実感している。

 さらに「パンデミックで原油価格が下落しても、オイル&ガス業界では、管理ソリューションやプロジェクトコラボレーションツールの使用が減退することは無かった」と付け加える。

 つまり、世界のオイル&ガスやプロセス・発電業界は、原油価格が下がり、事業環境が悪化しても資産を効率よく活用するためのソリューションには積極的に投資した。このため、ベントレーのユーザー数はオイル&ガス業界で減少することは無かった。

 世界のオイル&ガス業界はパンデミックに直面して、そこで取り組んだのは、プラントなどの資産の延命化だ。延命化を目的に、資産を効率よく活用することに業界全体が注力。このため、ベントレーの資産管理ソリューションなどのニーズが高まった。「資産のライフサイクルに渡って、私たちが目にする変化を追跡および管理することは非常に重要なことだ」とアン-マリーは指摘する。

 特に、現実の機器や設備の稼働状況、環境方法などをリアルタイムで収集する一方、仮想空間上にデジタル情報を用いてシミュレーションを実施することで、故障予測などを可能にするデジタルツインは、現在のベントレーのコアテクノロジーである。

 デジタルツイン技術を活用することで、プラントの設備はより的確に把握でき、効率の良い資産管理が可能になる。パンデミックで将来の見通しが困難になり、資産の延命化が重視されれば、デジタルツイン技術の活用される機会も増える。


シェルが深海開発でベントレーのソリューションを採用

 このベントレーのデジタルツイン技術を活用したプラットフォームを最近、採用したのがシェル・ディープウォーター・プロジェクトだ。

 シェル・ディープウォーター・プロジェクトは、システムの選択から設備の引き渡しまで、統合されたワークフローとデータプラットフォームをベントレーと共同で開発して、プロジェクトのプロセスを合理化、最初の石油生産までの時間を大幅に短縮した。シェル・ディープウォーター・プロジェクトのプロジェクトマネジャーは「このプラットフォームには、ベントレーのオープンでスケーラブルな、Azureクラウドベースのプラットフォームを活用した。これにより、エンジニアリングデータの可視性と透明性を提供するプラットフォームが、競争力のあるプロジェクトを実現するための重要な推進力になった」と語った。

 ベントレーのチーフプロダクトオフィサーであるニコラス・クミンズ氏は「ベントレーのiTwinプラットフォームは、サプライチェーンおよびプロジェクトのエコシステム全体でプロジェクトデータへの整合性がある安全で視覚的なアクセスを提供するのに適している」と語った。

 シェルがベントレーのiTwinプラットフォームを選択したことで、デジタルツインへのオープンなアプローチが検証され、プラットフォームが大規模で動的なエンジニアリングのユースケースに拡張できることが強調された。


シーメンスエナジーとの協業で新たな資産管理ソリューションを開発

 ベントレーは2016年にシーメンスと提携し、現在ではシーメンスがベントレーの株式14%保有している。提携関係は現在、シーメンスエナジーに引き継がれているが、今回のYII2020期間中に、両社が共同開発したオイル&ガス事業者向け資産パフォーマンス管理ソリューション(APM4O&Gソリューション)が発表された。

 「APM4O&Gソリューション」は、ベントレーの資産パフォーマンス管理ソフトウェア「AssetWise」とシーメンスエナジーの機器・装置の操業データなどの専門知識を統合して、オペレータが保守作業と計画を改善できるようにしたソリューションだ。予測分析に基づく、条件ベースの戦略を採用して、コンプレッサーステーションとガス処理プラントのほか、洋上で稼働するFPSOなど、様々な設備の資産のメンテナンスをサポートできる。

 ベントレーとシーメンスエナジーはデジタル技術を活用したソリューション「PlantSight」を共同開発しているが、ベントレーのバイスプレジデントでプラントを担当しているケン・アダムソン氏は「すべてのエンジニアリング情報を一貫性と正確性を備えてまとめてデジタルツインを作成する『PlantSight』は、効率的な資産管理を実現できる」と強調する。

 ベントレーとシーメンスエナジーのコラボレーションでプラントの資産管理はより効率よく的確に行うことができそうだ。



㈱重化学工業通信社
 

このホームページに関するご意見・ご感想をお寄せ下さい。
   E-mailでのお問い合わせ
掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権は 株式会社 重化学工業通信社 に帰属します。
Copyright 2002~2020 The Heavy & Chemical Industries News Agency, all rights reserved.