2019.11.5
エネルギーとスマートインフラ部門で進む、ベントレーとシーメンス
の協業 |
ベントレー・システムズと独シーメンスが業務提携契約を締結したのは2016年。その後、2018年8月には、シーメンスがベントレーの株式の9%を取得し、資本・業務提携契約が締結された。それから1年強が経過、提携により、新たな製品・サービスが徐々に生み出されている。
来年4月予定のシーメンス、分社化も提携関係に影響無し |
ベントレーとシーメンスの協業分野は、発電プラントなどのエネルギーと「スマート・インフラストラクチャ」の主に2分野。
エネルギー分野では、資本・業務提携後、ベントレーの「AssetWise」とシーメンスの持つ発電プラント分野における操業データを統合して、「AssetWise
for PowerPlant」の提供が始まった。予知保全を提供するソリューションで、電力会社へ積極的に売込中だ。
シーメンスは来年4月、エネルギー部門を分社すると同時に、風力発電プラント子会社のシーメンスガメサ・リニューアブルエナジーを統合して、シーメンス・エナジーとして再スタートを切る。この分社化は、ベントレーとシーメンスの提携に影響があるのか。
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マーク・ビアギ 氏 |
これについて、ベントレーのインダストリー・ソリューション部門のダイレクターである、マーク・ビアギ氏は「シーメンス・エナジーに分社化されるが、親会社はあくまでもシーメンス。従来通りに提携関係を継続できる」と、分社化に伴う影響は無いことを強調する。
一方、「スマート・インフラストラクチャ」部門では、ベントレーの持つ、配管網や電力網などのネットワーク管理のソリューションとシーメンスの持つマッピング管理を行うシステムにさらに、ベントレーのシミュレーション機能も統合した製品を開発し、これも電力会社向けに売り込んでいる。
またこの分野では、シーメンスの持つウォークインサイド機能を持つプラントライフサイクル統合管理ソリューション「COMOS」とベントレーの「OpenPlant」の機能はすでに統合された。統合により、「COMOS」の「P&ID」「インストルメンテーション」の両機能を持つ、強力な製品も開発されている。
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ジーンバプティスト・
モンニエール 氏 |
またモビリティ分野では、ベントレーの鉄道・設計・解析ソフトである「OpenRail」とシーメンスのシミュレーションソフトウェアを統合したソリューションを開発中だ。「製品の統合により、鉄道分野でデジタルツインを提供できるようになる」と、戦略パートナーとしてニアバイスプレジデントを務める、ジーン-バプティスト・モンニエール氏は言う。
両社の今後の提携関係について、モンニエール氏は、「日本にも、大手のEPC企業は存在するが、現在、EPC企業は従来のCAPEX(投資)からOPEXへと事業の対象を変更してきている。当社にはAPM(アセット・パフォーマンス・マネジメント)分野に関するソフトウェアがある。このソフトウェアを活用することで、効率よく、設備を維持管理できる。この点で、当社にもチャンスがあるし、シーメンスとの協業がより大きな意味を持つようになるだろう」と語った。
シーメンスはプラント関連機器メーカーとして、様々な操業データを持つ。このデータをベントレーのソリューションに取り込むことで、まだまだ新しい製品が登場しそうだ。
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