2019.5.10
トリンブル、「Tekla Structures 2019」でユーザビリティを向上
ユーザからの要望も開発に反映、図面の新機能も充実 |
トリンブルの「Tekla Structures」は、誰もが認める3次元の構造設計ソフトのデファクトスタンダードだ。このほど発表された最新バージョン「Tekla
Structures2019」では、モデリングのユーザインタフェースやモデルビューが改善され、複雑な構造物がより正確にモデリングできるようになった。またユーザの要望も開発に反映しており、その完成度はより高まった。
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トリンブルが提供する構造設計用3次元CAD「Tekla Structures」。その新バージョンである「Tekla Structures 2019」の新機能が、4月16日に東京、19日に大阪で開催された「テクラ・ユーザーデイ2019」で紹介された。
トリンブルでは現在、世界の建設市場は年率4%のペースで増加しこれに伴い、同社の事業展開も順調に推移している。中でも「Tekla Structures」の2018年の売上高は一昨年に続いて二桁成長となった。特に、アフリカ、南米地域で伸長した。
構造設計ソフトのデファクトスタンダードと呼ばれる「Tekla Structures」だが、新バージョン「Tekla Structures 2019」モデリングの新機能の特徴は、①ユーザインタフェースやモデルビューの改善によるユーザビリティの向上、②補助線や基準線の機能改善と折れ板の新機能による複雑な構造物のより正確にモデリング、の主に2点だが、ユーザからの要望も開発に反映されており、拡張ツール、カスタムコンポーネントの新規開発および既存ツールの改善が行われた。
「モデリングの新機能」では、ユーザインタフェースが改善された。
まず、クイック起動で検索結果が表示されるようになった。同時にリボンやメニューなどが場所毎に表示される。また不要なアイコンを非表示に設定できるようになり、必要なアイコンだけを表示できる。
さらに、サイドパネルが改善され、補助線、基準線、カット、仕上げ材、角処理、点がプロパティパネルに対応するようになったのに加え、サイドパネルの表示を切り替えにするか、上下に並べて表示するかの設定も可能になった。
「モデルビューの改善」では、部材モデルの表示において「選択対象」「選択対象のメイン部材」「すべてのメイン部材」の設定が追加されだ。また、モデルオブジェクトの検索機能が強化され、名前、プロファイル、材質、部材/製品マークによる検索、GUIDによる検索が可能になった。
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モデルビューの改善 |
さらに、コンテキストツールバーを使用したビューの表示切替も可能だ。
「基準線の改善」では、扇型基準線(円弧の基準線)の作成が可能になり、プロパティパネルでの基準線の色や、ラベルのフォントサイズと色の変更に対応した。
「補助線の改善」では、円弧、連続曲線による新しい補助線に対応できるようになったほか、ユーザの要望に応え、プロパティパネルでの線種の変更ができるようにした。
「折れ板の新機能」では、円錐折れ板の作成と単独折れ板の作成に対応した。
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折れ板の新機能 |
拡張ツールについても、ユーザからの要望に応えた新機能が実装された。
「建て方符号ツール」では、製品頭マークに対して、基準線の通り名や階名が含まれた情報を自動で入力できるようになり、既存の建て方符号ツールの置き換えとして新規に開発された。また「節」と「階」の情報をモデルから自動取得でき、製品種別の判定も可能。さらにマーク書式に「カスタムマーク」の指定が可能で、マークの書き込み先の指定もできる。
「JpHスプライス」は、JPスプライスからH形鋼専用として分離し、SCSS設定をExcelリンクとして公開、ウェブスプライスプレートの蝶番にも対応している。
「大梁3断面(Ver.1.5)」では、部材タイプを指定する設定の追加により、作成する梁をBH部材として配置できる。また分割の有無と分割位置のオフセットの追加により、中央梁の分割が可能になった。
「Export to Revit Geometry」機能により、「Tekla Structures」のモデル形状を「Autodesk Revit」形式のファイルとしてエクスポートできる。「3D.dwg」「3D.dgn」と同様に、モデルの形状・位置の調整が可能だ。「Tekla
Structures」部材形状(柱・梁・壁・床・基礎)をエクスポートできる。
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新しいカスタムコンポーネント |
このほか、RC構造の新機能としては、「日本環境プレキャスト図面設定」として、全体座標系に従った正面・上面・断面図などの自動作成に対応した。
「コンクリート部材、上面の指定」では、打設面指定とそれに合わせた図面ビューの自動作図機能により、プレキャストコンクリートの上面の指定に対応できるようになった。
「日本環境の変更点」では、起動時に日本環境を選択した際の設定を更新できる。ここでは、①鉄骨構造用設定、②RC構造用設定、③統合設定、を更新できる。また以前のシステム・フォルダに保存されていたファイルの保存場所を変更できる。
「Tekla Structures 2019」図面の新機能の特徴では、①図面や帳票などのアプトプットの統合管理環境の実現、②より柔軟で高機能な図面編集機能による生産性の向上、③図面編集~保存履歴の高度な管理機能の提供、が実現された。
「ドキュメント管理」では、図面リストがドキュメント管理にリニューアルされた。図面を含め。モデルから出力されたレポートなどの情報管理、表示順序の入れ替え、表示項目のカスタマイズに対応した。
「ドキュメント管理の特徴」は、図面やレポートなどの出力物の統合管理に対応している。この機能に伴い、①「Tekla Structures」で作成した図面、②
PDFやDXF/DWG形式で印刷、エクスポートした図面、③ 各種レポート、④DSTV形式やDXF変換されたNCデータ、のドキュメント管理が可能だ。
「図面エディタ」機能も拡充された。
より柔軟で高機能な図面編集環境において、部材マークやテキストに関連するコマンドを【注記】タブに集約し、【図面】【注記】【寸法】【表示】の4タブに整理した。
「図面内容管理の機能強化」では、図面とリスト間の双方向で活用できるようになり、リスト~モデル間の双方向で確認可能になった。また新しいオブジェクトカテゴリと市ストのカスタマイズ機能により、ジョイントマーク、隣接鉄筋の管理をサポートでき、リストにユーザ定義情報などの表示項目のカスタマイズが可能になった。
「図面の部分複製」では、一般図上で、指定したオブジェクトに関連付けられた寸法などのオブジェクトを、その図面上の類似オブジェクトに複製する機能が付加された。
「図面エディタ」では、RTFファイルの挿入が可能にあり、寸法・マーク位置の調整、同一部材マークの統合機能、GUIDによる検索、ドラッグ&ドロップ操作のサポート、図面オブジェくそのアソシエート先の指定、が新機能として付加された。
「図面管理」では、図面のバージョン管理、モデルオブジェクトと図面間の検索、そして検索機能が強化された。
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