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 2018.10.10
プラント運転管理を高効率で実現するj5
「j5 IndustraForm」では、運転データの共有が可能

 プラントの運転管理に特化したシステム「j5」。業務分析による適切な業務フローの構築をシステムに落とし込み、適切で高度なプラント運転管理ができる。また「j5IndustraForm」を活用すれば、運転管理データの共有も可能で、適切な判断を共有することも可能だ。9月14 日に開催されたワークショップにも150 名近い、プラントのオペレーションの関係者が集まった。

 去る9月14日、東京コンファレンスセンター・品川で、「j5JapanWorkshop 2018」が
開催された。
 
ワークショップの「パネルディスカッション」

 j5は、イギリス王室属領であるマン島に本社を置き、南アフリカのケープタウンに開発部門を持つ。プラントの生産管理に特化したソリューションを提供する企業だが、そのソリューションは全世界で500サイト、国内では60サイト、6,000人のユーザを持つ。

運転管理システムに特化

 j5ジャパンのサービスは、生産現場の運転管理高度化コンサルテーションサービスから始まる。

 コンサルテーションは、経験豊富なコンサルタントが運転部門の日常業務を詳細かつ客観的に分析し、運転管理の課題を洗い出すとともに、顧客と合意した高度化目標を達成するための提案を行うもの。

 コンサルテーションは、現状調査と現状調査分析の二つのフェーズで構成される。

 現状調査フェーズでは、①目的の明確化、②現状ヒアリング資料作成、を行い、現状調査分析フェーズでは、①現状の整理・課題の整理、②あるべき姿の整理、③ギャップ・問題の明確化、④問題解決の目標の設定、⑤問題解決の設定、を行う。

 こうしたコンサルテーションによる業務分析はこれまで、29事業所72課で実績がある。

 分析は朝からj5ジャパンのコンサルタントが業務を把握し、ヒアリングの内容をホワイトボードで整理して、課題を洗い出す。

 この業務分析は顧客からも評判が良い。これまでに「業務分析により、二つの会議を統合して一つにできた」「社内の運転部門の比較ができた」などの感想が上っており、顧客からの評判は良い。

 こうしたコンサルテーションを経て浮かび上がった、問題解決事項の決定プロセスを経て、運転管理システムに落とし込む。

モバイル対応も可能

 j5のソリューションは、製造業の運転現場に求められる多様な業務に対処する包括的な運転管理システムだが、もともとは、運転ログや申し送り帳といった運転管理領域の機能に特化していた。しかし近年、新たな領域の要求にも応え、30を超える運転管理・設備管理とHSE(衛星・安全・環境)アプリケーションを提供している。

 j5は運転管理を中心に、共通のプラットフォーム(j5フレームワーク)上に各種アプリケーションを構築できる構造になっている。プラットフォームは、ユーザインタフェース、役割管理、ワークフローなどの機能を共通化し、ユーザに統一した使い勝手の良い作業環境を提供する。また、他システムと連携するj5コネクタを用意しており、プロセスヒストリアン、LIMS、CMMSなどの主要MESコンポーネントとの連携が可能だ。


山九とINPEXが導入事例を発表

 今回のワークショップで、山九と国際石油開発(INPEX)の報告は興味深かった。

 山九は、物流・機工の2事業で展開されている。業務管理を行うためにj5を導入。システムを活用して、ダッシュボードで状況を「見える化」した。これにより、どこで何が起きているか、を把握できるようにした。これにより、各支店の状況も含め社内業務の把握が可能にあり、物流・機工の各事業における品質向上が実現された。

 国際石油開発帝石(INPEX)は、直江津のLNG受入基地にj5を導入した。

 INPEXでは、システム構築時に、業務プロセスの見直しを行った。こうしてできあがったシステムにより、当日作業を自動表示させることで、同時並行作業を回避した。また作業許可システムに構内地図を利用して、作業を行うことで1日の作業の終了時に、残り火が無いかなどを確認するようにした。直江津のLNG受入基地は停止することが許されない設備で、設備の与えられた一連の要求を満たすようにシステムを構築した。


「j5IndustraForm」で情報共有

 またワークショップでは、j5インターナナショナルのニコラス・ハーレイCEOが、新技術である、デジタル・トランスフォーメーションについて説明した。

 ニコラスは「デジタル化には新しい乗り物を用意する必要がある」と前置きしたうえで、その乗り物に「j5 IndustraForm」があると説明。これまで、オペレーションデータはセクセルのスプレッドシートに記録され、データ化されてきたが、これではヒストリアルデータが完全に保存できないという問題があった。またこれらのデータには、複数のユーザが同時にアクセスできないなどの問題もあった。

 こうした問題を解決する目的で「j5 IndustraForm」が開発されたが、ウエブブラウザ上で使用でき、スぺレッドシートも活用できるが、ワークフローの指示を出すこともできる。

 また最近は、ヘキサゴンPPM(日本インターグラフ)のSmartPlant 3Dのデータも扱えるようになっており、「j5 IndustraForm」上でCADの属性データについても確認できる。

 「j5 IndustraForm」は、プラントの運転管理データを共有しながら、運転効率をより向上できる。


J5インターナショナル CEO、ニコラス・ハーレイ氏に聞く
「故障予知」にAIを活用

 
ニコラス・ハーレーCEO
 ENN:このところ、原油価格も比較的に高水準で推移しています。ビジネスの状況はいかがですか。

 ニコラス:米国で事業が立ち上がり、事業を拡張できましたし、新しい技術も導入できました。当社にとっては、非常に良い1年を過ごしました。

 ENN:申し送り機能があるなど、運転管理システムとしては、幅広い分野で活用できるのではないでしょうか。

 ニコラス:オイル&ガス分野のみならず、LNG、電力・ユーティリティ、交通、マイニング、物流、水処理設備など、「申し送り」が必要な設備には広がりを見せています。

 ENN:AIが技術的に進化して、急速に普及しています。今後、どのように活用されますか。

 ニコラス:モバイル端末が若い世代に普及して、誰もが持つようになっています。また現場のデータ収集も色々な所で行われています。そのデータをAIに集め、ディープラーニングを活用して、新しいソリューションを開発する計画があります。

 ENN:どういった活用が可能だと考えていますか。

 ニコラス:熱交換器の表面熱の温度差によって、いつ、どのように故障するかについて、AI技術を使ったソリューションを開発しようと考えています。

 また最近はGPSを活用して、プラントの構内で人の位置を把握することもできます。この機能は非常に重要で、今後、活用したいと考えています。

 ENN:3次元CAD「SmartPlant」を扱うヘキサゴンPPMと提携されていますが、他のベンダーと提携する予定はありますか。

 ニコラス:ヘキサゴンPPMとは親密な関係にありますが、シュナイダー・エレクトリック(アヴィバ)、アクセンチュア、IBMとは良好な関係にありますから、今後、協業の可能性はあります。

 ENN:ありがとうございました。



㈱重化学工業通信社
 

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