2017.12.22
ヘキサゴン・ジオスペーシャル アジア/大洋州責任者 グレース・ミカレフ 氏
地理情報サービスで防衛・地方自治などに貢献
年初からリアルタイム情報サービスの提供を開始 |
衛星、航空機、ドローンのほか、地上に設置したセンサーを活用して、地理情報を提供するヘキサゴン・ジオスペーシャル。世界各国で、防衛、地方自治体、産業向けにニーズに応じた情報提供を行っている。昨年には、リアルタイム情報を収集できるルシアッド社を買収。今年から、リアルタイムの情報提供も可能になり、サービスレベルを向上させた。日本にも、防衛、地方自治などに様々なビジネスがあると見ており、今後、事業展開を加速する。アジア・大洋州の責任者、グレース・ミカレフ氏に事業展開について聞いた。
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Grace Micallef(グレース・ミカレフ)氏
モナッシュ大学でコンピュータの学位、メルボルン大学でMBA取得。ITとジオスペーシャル分野において、国際営業と事業開発の仕事に18年間従事した経験がある。この間、複数のフォーチュン500カンパニーの仕事において責任ある立場にあり、事業を成長に導いた。現在は、ヘキサゴン・ジオスペーシャルのエグゼクティブ・ダイレクターとして、アジア大洋州の営業とマーケティングのトップとして活躍している。 |
ENN : |
ヘキサゴン・ジオスペーシャルの概要を教えてください。 |
ミカレフ : |
ヘキサゴンは、創立45年の会社で、5大陸46カ国で事業を展開しています。グループ全体では、全世界に1万5,000人の従業員がいて、売上高は31億ドルです。
グループの全従業員のうち、ヘキサゴン・ジオスペーシャルには300人の従業員がいます。本社は米国のアトランタにあります。事業の特徴は、常に技術革新を行っており、売上高の12%をR&Dに投資していることです。
当社のお客様は約1,000社、政府、ローカルガバメントのほか、環境関連企業、電力会社などのユーティリティ、パブリックセクター、オイル&ガス関連企業に加え、防衛関連です。こうしたお客様に地球環境から受ける影響や環境変化の経過に関する情報を提供しています。
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ENN : |
従業員数は300人ということですが、どのような職種の方がいるのですか。 |
ミカレフ : |
従業員は主に、営業とプリセールスです。また、R&Dの担当者が、マーケットのニーズに合わせて、製品を改善し、ニーズに応えられるように開発しています。
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ENN : |
地球の状況はどのように把握するのですか。 |
ミカレフ : |
衛星、航空機、ドローンなどを活用して撮影したり、地上に設置したセンサーを活用して自動で情報を収集する方法にも対応しています。様々な手段で情報を収集して、一つのマップとして平面で撮影することもあれば、3次元で撮ることもあります。こうして集めた情報を分析するソリューションを提供しています。
例えば、電力会社は電力網を活用して電気を送電します。その際に、どこに電線を通せば良いのか、検討する必要があります。地震があって、地形が変わってしまった場合には、衛星・航空機・ドローンで上空から撮影して、それを1枚のソースで状況を把握して、どうすれば復旧できるか、迅速に判断できるようにします。マニュアルでこれを行うのは、たいへんなことなので、様々なソースから情報を集め、それらを統合して情報提供します。
地球上で起こった様々な変化を常に、監視して、自動的に情報収集するのが基本です。
例えば、北海道の3カ月前と現在の状況を比較することも可能です。この場合、自動的に変化を把握して、違法投棄、違法建築などについても調べることができます。
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ENN : |
インフラ関連では、どのようなソリューションがありますか。 |
ミカレフ : |
スキャナーでポイントクラウドを取得して、それを詳しく分析するのも、われわれの仕事の一つです。
例えば農業であれば、様々な地域で種を蒔いたとします。その後、肥料をやって、耕作するという変化が分かるようにします。
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ENN : |
産業分野では、どのようなソリューションを提供されていますか。 |
ミカレフ: |
鉄道会社の例では、レールを敷設する時に、あるルートで敷設した場合には、天候の変化、降雪がどのくらいあるか、雪崩は起きないか、地滑りはないか、などについて、一つのシステムですべて見えるようにします。それを見たうえで、どのようにレールを敷設した方が安全か、などについて知ることができます。これらの情報を提供することが、安全の確保や遅延の発生の防止になりますから、結果的にカスタマーサービスにつながります。
また最近では、鉄道車両がGPSを搭載していますから、万一、列車が故障を起こした場合、どこの場所で起きたか、瞬時に把握でき、修理にも対応できます。
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ENN : |
APAC(アジア大洋州)では、どのような事業を展開されているのですか。 |
ミカレフ : |
アジア地域の中でも、オーストラリアでは、ローカルガバメントにソリューションを提供していますが、アジア地域の新興国向けには、地図を作成するソリューションの提供などを行っています。
また、われわれが注力し、サービスを提供している分野に防衛があります。「基地がどこにあるか」「オペレーションをどのようにしているか」「どういうアセットを所有しているか」などを衛星・航空機などを使った撮影により把握します。防衛はインテリジェンス(国家の情報機関)が利用しています。
さらに、リモートセンシング学会では、農業をはじめ、地滑りや環境変化について、われわれのソフトを利用していただいて、分析しています。
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ENN : |
日本市場をどのように御覧になっていますか。 |
ミカレフ : |
日本市場については、大きなポテンシャルがあります。
防衛のほか、ローカルガバメント向けには、アセットマネジメント、スマートシティの管理などに、われわれのソリューションが適しており、ビジネスチャンスがあると見ています。
最近、ルシアッドという会社を買収しました。ルシアッドは、リアルタイムで、現在のわれわれのソリューションによる情報を把握できます。そこには、大きな可能性があると思います。今年の初めから、このソリューションを提供しますが、日本のお客様にも利用していただきたいと思います。
われわれのソリューションはCレベル(CEO・COOなど、企業の経営者)には理解しにくい部分がありますが、スマートシティでは、それを視覚化してトップにも分かりやすい情報提供ができます。
地球上のサーフェスから写真を撮影して、様々な情報を与えて分析するというサービスは、世界各地で好評を得ています。このサービスを同じように日本でも提供していきます。
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ENN : |
ヘキサゴンPPM(旧インターグラフPPM)は3次元CADなどのエンジニアリングIT関連のソフトウェアを扱っていますが、協業することはありますか。 |
ミカレフ: |
ヘキサゴンPPMは、エンジニアリングデータによりオイル&ガス分野における井戸の状況を把握しますが、われわれのソリューションでは、そのデータに地図情報などを加えて提供できます。協業により、お客様の求めるサービスを提供できます。
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