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 ベントレー・システムズ
 インダストリ・マーケティング・ディレクタ Anne-Marie Walters 氏

 「ITとOTを有機的につなぐ、ETがプラントのパフォーマンスの
  向上につながります」
                  2016.8.18

あらゆるものがインターネットでつながる「IoT」(インターネット・オブ・シングス)に世界的に注目が集まっている。こうした中、ベントレーシステムズは、IT(インフォメーション・テクノロジー)とOT(オペレーショナル・テクノロジー)をつなぐET(エンジニアリング・テクノロジー)というコンセプトを打ち出した。
この仕組みはまさしく設計段階で作られた情報をオペレーション段階に役立てるもので、「IoT」の時代に相応しいコンセプトと言える。この取組をリードするベントレーシステムズのインダストリー・マーケティング・ディレクタ(プロセス・資源分野担当)であるAnne-Marie Walters氏に聞いた。

Anne-Marie Walters
(アンマリー・ウォルタース)氏
システムベンダー、システムインテグレータ、石油化学産業のオーナーオペレータにおけるマーケティングとエンジニアリングの経歴を持つケミカルエンジニア。特に、施設運用における、エンジニアリング情報の価値の確立と、EPCやオーナーオペレータが直面する課題に関する情報技術に取り組んでいる。

現在、グローバル・インダストリ・プロセス、オフショア、天然資源分野を担当するベントレー・システムズのインダストリ・マーケティング・ディレクタ。


ITとOTをつなぐET


ENN クラウド環境で、様々なソリューションを使うと、その機能が向上するように思います。設備管理においても、これまでに無かったようなソリューションが実現されているのではないでしょうか。

Anne-Marie 従来、ITとOT(オペレーショナル・テクノロジー)があり、ITを構成する要素としてIoTがありました。

現在、ベントレーで取り組んでいるのは、より良いパフォーマンスのために、ITとOTをつなぐ、ET(エンジニアリング・テクノロジー)という新しいコンセプトです。

ETについて、医者と患者の関係で説明してみましょう。医者であれば、患者のDNA情報を知っておく必要があります。患者の症状をIT情報とすれば、DNA情報はOT情報と言えます。患者の症状とDNA情報を有機的につなぐことにより、より質の高い診断ができます。この有機的につなぐことがETです。

またエンジニアリングの段階で作られた情報は、オペレーションのために必要な情報です。そこで求められるのが、エンジニアリングの段階で作られた情報をオペレーションの段階で使うための仕組みです。そこで、ITとOTを密接につなげる必要がありますが、この役割を担うのがETです。

ENN これらの機能が、設備保全に活用されようとしているのですか。

Anne-Marie 設備保全では、予知が重要なのですが、予知のためには、情報が必要です。

そこで、リスクに基づいた保全計画を立てる必要がありますが、そのためのソリューションがベントレーのETには備えられています。ITもOTも設備管理のためのインフラとして捉えられますが、そこに設備管理に必要なエンジニアリングを埋め込むというイメージでお考えください。

具体的には、予知保全を行うためのソリューションとして、ベントレーでは、「AssetWise」「Amulet」「AssetWise APM」などのソリューションが用意されています。

APM(アセット・パフォーマンス・マネジャー)には、運転情報を拾い、その傾向からグラフを作成し、運転状況のモニタリングを行う役割があります。

「Amulet」には、予知保全のためのエンジンの役割があって、集積した情報と経験値から将来を予測します。これを実現するために、「こういうことを実践したらどうでしょうか?」というようなことを行います。

また設備管理では、設備周りの配管などの解析情報、エンジニアリング情報、さらには3Dのエンジニアリングモデルが役に立ちます。たしかに、以前からEAM(企業資産管理)システムなどがあり、台帳レベルの管理は可能でした。

しかしエンジニアリングまで突っ込んだものではありませんでした。そこで、ベントレーとしては、モデルを有効に活用した設備管理を提案しています。

ENN その提案とは、どのような物なのですか。

Anne-Marie ベントレーには、写真をリアルタイムで処理して、それをモニタリングして、モデルを作成して、リアルタイムで合成できる「Context Capture」というソリューションがあります。「ContextCapture」で得られたモデルから、エンジニアが異変に気付けば、オペレータにアドバイスすることもできます。リアルタイムの運用を可能にすることで、従来には無い設備管理が可能になります。

ENN 「Context Capture」は、街の景観やインフラ施設をモデル化するのに有効ですが、プラントに活用できれば、リアルタイムに3Dモデルを獲得できますから、稼働状況を知るうえで有効な情報が得られますね。

Anne-Marie エンジニアがリアルタイムの3Dモデルの情報を得ることで、的確な設備管理をサポートできます。


「Context Capture」を使えばデジタルカメラの画像から3Dモデルを作成できる


シェルとグローバルアグリーメント


ENN ベントレーは6月に、シェルと「ProjectWise Construct SIM」に関してグローバルアグリーメントを締結しました。

Anne-Marie 「ProjectWise Construct SIM」をシェルが使う大きな理由は、プラント建設において、EPCコントラクターのフォローのためです。そして、プラントの建設期間中と建設が終わった時のデータハンドオーバーの二つの局面において、導入の意味があります。

プロジェクトに伴う、ワークプロセスは「ProjectWise Construct SIM」にはWBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャ)により、プラント建設、資機材の搬入などの個別のワークにより構成されますが、それぞれのワークに何人かける必要があるか、いつまでに実施するかといった一連の管理が必要になります。こうしたプロジェクトの構成要素を把握するうえで、ソリューションが大きな役割を果たします。

プラント建設中においては、ソリューションを活用することで、プロジェクトで何が起きているかが分かりやすくなります。「何が起きているか」が分かりやすくなれば、その対処方法についての判断が容易になります。早い時期に問題が把握できれば、プロジェクトをスケジュール通りに終わらせるのに役に立ちます。

また、今回のシェルとのアグリーメントの中には、プラントの引き渡し時のデータハンドオーバーのデータコネクション、データ回収などのスコープも含まれています。さらにEPCコントラクターに対して、アドバンスト・ワーク・パッケージ(AWP)のエデュケーションプログラムも提供されます。

一連のソリューションはクラウド環境で提供されますが、ベントレーはクラウド環境でのシステムの運営から、ソリューションの提供に加え、教育まで、トータルに対応します。

ENN プロジェクトマネジメントシステム(PMS)には、スケジュール管理に強い「Primavera」やコスト管理を行う「Prism」もありますが、「ProjectWise Construct SIM」の違いはどういった点にあるのですか。

Anne-Marie データを入れて、ワークパッケージでまとめられる点です。プロジェクトすべてではなく、個々の工事のワークパッケージの進捗などを管理します。ソリューションに使われているAWPは、米国の建設産業委の生産性を研究する公益法人CII(コンストラクション・インダストリー・インスティチュート)が考案したもので、工事データをワークパッケージにまとめている点が特徴です。

シェルは、「ProjectWise Construct SIM」を、世界初のFLNGプラント建設プロジェクトである、プレリュードプロジェクトに採用し、効果を確認できたので、今後、グローバルに展開する目的で、今回のグローバルアグリーメントが締結されました。

今後、シェルによって、ProjectWise Construct SIM」の活用がより活発になるはずです。

ENN ありがとうございました。






















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