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ベントレー・システムズ
バイスプレジデント&アジア・ノース代表 クリストファー・リュウ氏
「施設のライフサイクルに渡る、ソリューションで、
迅速かつ低コストの実現を目指します」
2016.4.18
ベントレー・システムズは最近、デジタル画像から3次元モデルを作成する、リアリティ・モデリングに力を入れている。これを実現するソリューション「Context Capture」は、複数のデジタルカメラの画像から3次元モデルを作成できる画期的なソリューションだ。このソリューションを施設の建設のみならず、ライフサイクルに活用すれば、建設から施設のメンテナンスに至るまで、効率化できる。
このソリューションの普及に今、力を入れるベントレー・システムズだが、北アジア地域(中国・日本・韓国・香港・台湾)でも、その方針に変わりはない。今年1月に同地域の代表に就任したクリストファー・リュウ氏に今後の事業展開について聞いた。
Christpher Liew(クリストファー・リュウ)氏
オラクル社、アセアン地域のエリア・ゼネラル・マネジャーとしてテクノロジーソリューションセールスの営業とマーケティングの責任者を務めた後、ベントレー・システムズ入社。
東南アジア・南アジア地域のテクノロジーソリューションセールスの営業とマーケティングの責任者を務めた後、バイスプレジデント・リージョナルエグゼクティブ(北アジア)として、中国・日本・韓国の営業を統括。
バイスプレジデント、リージョナルエグゼクティブ(北アジア)
マレーシア科学大学コンピュータサイエンス専攻・理学士
施設のライフサイクルをカバー
ENN
:
ベントレー・システムズの北アジア地域(中国・日本・韓国・香港・台湾)の責任者に就任されました。ベントレーにとっても、重要地域の責任者として、この地域をどのように御覧になっていますか。
クリストファー
:
地域の中には、GDPだけで見れば、成長している地域と低成長に転じた国がありますが、当社のビジネスはこの地域で非常に成長しています。
当社のお客様には、エンジニアリングやコンサルティング企業などがありますが、国内だけではなく、国際的なビジネスを展開されています。例えば、新幹線の輸出については日本と中国、原子力発電所の輸出については、韓国、中国、日本の企業が取り組んでいます。
また、この地域の政府系機関のビジネスにも注目しています。日本政府も発展途上国の成長を支援していますし、中国や韓国が政府開発援助を行っています。このほか、世界銀行も東南アジア支援に乗り出していますから、援助資金に伴うプロジェクトには、積極的に関わって行きたいと考えています。
ENN
:
エンジニアリングIT技術も最近、かなり進化しています。
クリストファー
:
エンジニアリングITも技術的に進んでいますが、それに伴い、設備のオーナー側の要求も変化しています。
EPCコントラクターは、設計・調達・建設を行いますが、最近は、建設の自動化という動きも出てきています。しかも、「安く・速く」というニーズも高まっています。これらを実現するには、データフローが重要になります。
こうした動きに伴い、標準化も必要になってきます。設計・建設期間は5年程度かもしれませんが、その施設の運用期間は50年以上に及ぶこともあります。ですから、これからの新技術は、施設の設計から建設・O&Mまでのライフサイクルを、いかに組み込むかが重要になってきます。
ENN
:
こうした需要に、ベントレーでは、どのように対応されているのですか。
クリストファー
:
一つには、「Context Capture」というソリューションがあります。この技術は簡単で、写真を撮影して、それをコンバートして3次元化するものです。
従来であれば、飛行機やドローンを使って、ポイントクラウド(点群)データを取得して、それから3次元モデルを作成していました。このためには、何度も飛行機を飛ばしたり、テラバイトクラスの大容量を持つ点群データを処理する必要がありました。これを行うには、長い時間と多額のコストがかかります。
「Context Capture」の場合、ドローンにデジタルカメラを装着して、飛ばして、数カットの写真を撮影すれば済みます。そうして得られた写真を「Context Capture」でデータを統合させて一致させることで、3次元モデルを作成できます。
例えば、大きな川にかかっている長いスパンの橋があるとします。従来の検査方法では、エンジニア数人を集めて、チェック箇所とスケジュールを決めて、目視検査します。この方法では、時間もコストもかかります。しかし、「Context Capture」で3次元モデルを作成して、そのモデルで検査を行えば、時間もコストも大幅に削減できます。橋だけではなく、化学プラント、鉄道など、近づくのが難しい施設の検査にも活用できます。
ENN
:
メンテナンスに活用できますね。
クリストファー
:
ドローンを飛ばして、デジタルカメラで撮影するだけで、ひびわれや腐食を目視検査できますから、予防保全にも活用できます。
土地をデジタルカメラで撮影して、「Context Capture」でモデル化すると、3次元の街並みを撮影できます。それを3次元のデジタル・マッピングの上に置くと、正確に場所を把握することができます。
日本では、アジア航測さんが「Context Capture」を活用して、実際の災害の修復をどうするか、検討された事例があります。
またベントレーの「LumenRT」という新しいソフトを活用すると、太陽の動きで日照を確認できます。日照効果を事前に分かれば、建物の建設の前に、シミュレーションしてデザインを決めることができます。この機能により、オーナー側も事前に日照について、具体的な情報を取得できます。これはオーナーにとってもありがたいことですが、設計者も提案の質を向上させることができます。そうすれば、コンペに勝てる可能性も高まります。
今後はグリーンエネルギーに注力
ENN
:
今後、どのような市場に注目されていますか。
クリストファー
:
日本では、グリーンエネルギーの動向に注目しています。グリーンエネルギーには、原子力発電所のほか、風力や水力発電があります。これらは石炭火力発電に比べ、高い成長率で市場が拡大しています。
EPCコントラクターが海外でウィンドファームを建設したり、洋上風力発電プラントを建設するプロジェクトが計画されています。洋上で建設する時には、ベントレーのオフショアの解析ソフト「SACS」や「MOSES」といったソリューションが有効に活用できます。中国では、これらのソリューションが水力発電所の建設に使われた事例が実際にあります。
今後、5年ほどを見た場合、グリーンエネルギー産業は非常に重要です。グローバルで見ても、非常に重要な産業になると思います。
グリーンエネルギーだけではなく、省エネニーズにも対応する必要があると思います。ここまで含めると、省エネ化された建物・施設が含まれますし、交通・トランスポーテーションにも注目しています。この中には、橋・鉄道・高速鉄道・地下鉄などもあります。交通・トランスポーテーションのプロジェクトでは、設計・建設・運営のライフサイクルをカバーできます。
ベントレーは現在も建設が進められている、ロンドンの東西を結ぶ、鉄道路線建設プロジェクト「クロスレイル」で、ソリューションを提供した実績がありますが、グリーンエネルギーと並んで、交通・トランスポーテーションの分野には期待しています。これらのプロジェクトでは、施設のライフサイクルに渡るソリューションを提供できます。
また、これらのプロジェクトにおいて、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)が採用されるケースも増加すると見られます。PPPは、民間事業者の資金やノウハウを活用して、社会資本を整備し、公共サービスの充実を進める手法ですが、今後、エンジニアリング企業などの参入がより活発化すると思います。これに伴い、民間が公共施設を建設して運営します。建設からライフサイクルに渡る運用まで、ベントレーにはソリューションがあります。この点を強みにしていきたいですね。
ENN
:
日本の市場をどのように御覧になっていますか。
クリストファー
:
日本企業が今、必要なことは、新技術を採用して、グローバルにビジネスを展開することです。PPPなど、これから公共セクターに民間が入り込むなど、ビジネスが複雑化することが予想されます。その複雑さを解消するうえでも、ベントレーのソリューションが役に立つと思います。
ベントレーのソリューションを活用して、グローバルに展開すること。これが重要になってきます。
ENN
:
2008年に、当時のプリマベラ社がオラクル社に買収されました。買収の前後で、特別な変化はありましたか。
クリストファー
:
プリマベラ社は、企業文化を変えることなく、事業を継続できていることは、非常に喜ばしいことだと思います。また、オラクル社はプリマベラ社の買収後も、いくつかのソリューションを買収しました。
オラクル社がすでに持っている機能や買収により獲得したソリューションと統合することにより、Primavera自体の能力を拡充できました。現在の市場からの要求を満たすための資産をオラクル社から得ることができたのは、非常に大きいと思います。
ENN
:
ありがとうございました。
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