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J-SYS「PLANTIA」が重視した「連携」
6業種向けにテンプレートを用意
                  2015.12.25

「PLANTIA」は、日揮情報システム(J-SYS)が提供する、わが国で最も普及している設備管理システムだ。初バージョンをリリースしてから、すでに30 年以上が経過し、ソフトウェアとしては、すでに成熟期を迎えている。
そしてJ-SYSが目下、取り組むのが、業種別テンプレートの開発だ。すでに、6業種向けにテンプレートが用意されているが、このテンプレートの作成のために、他社製ソフトとの連携も行われている。今まさに、J-SYSは「PLANTIA」において「連携」を重視した戦略を展開している。

日揮情報システム(J-SYS)が提供する、わが国で最も普及した設備管理システム「PLANTIA」。すでに、発売されてから30年以上を経過したが、最近は2013年のバージョン4.2を最後に、バージョンアップは行われていない。

バージョンアップが行われない理由は、開発に手詰まり感があるわけではない。すでに設備管理システムとして成熟していること、また顧客が増加し幅広い分野のニーズに応えるためには、バージョンアップよりも、分野ごとのテンプレートの拡充が必要になったためだ。

つまり、システムとしての機能向上以上に、ユーザに対して、きめ細かく対応する必要性が高まり、それに応えることが求められるようになったのだ。

顧客層の拡大とともに、広がりを見せた顧客ニーズだが、これに伴い開発された、テンプレートは、「プロセス産業」「エネルギー産業」「メンテナンスサービス業」「水・環境」「組立製造業」「医薬品・食品製造業」の6種類。

「PLANTIA」が最初にターゲットとしたのは、プロセス産業だが、現在では、加工・組立産業まで、幅広いユーザを持つようになった。この幅広いユーザに応えるためには、従来にないきめ細かさが必要になり、テンプレートの開発となったのは想像に難くない。


各テンプレートで重視された「連携」

プロセス産業向けテンプレートは、
 ① 専門保全の進捗が運転部門に伝わらない
 ② 運転の自主保全情報が保全部門と共有されない
 ③ マネジメント層に現場の状況をタイムリーに報告できない
といった課題に対応した。そこで取られた対応が、プラントの運転管理システム「j5」(j5社製)と操業情報管理システム「PI System」(OSI Soft社製)だ。

導入により、機器台帳の共通化が図られ、装置視点のデータ分析の実現、また運転と保全の業務プロセス連携による部門間の情報共有も実現された。この連携により装置のリスク・コストを下げ、信頼性を向上するという理想に近づいた。


エネルギー産業向けソリューションで目的とされたのは、「設備保全管理業務におけるPDCAサイクルの実現による課題解決」。PDCAサイクルとは、「PLAN(計画)」「DO(実施)」「CHECK(確認)」「ACTION(見直し)」の頭文字を取ったものだが、確実にPDCAサイクルを回すために、J-SYSは、提携する米インフォアの提供する「Infor EAM」、設備保全計画の最適化支援システム「meridium」との連携によるソリューションの提供、「InforEAM」と「PLANTIA」の連携により、データ整備/登録支援、社内適用促進、KPI(数値計画と目標管理)構築支援を、それぞれ行う。

また「meridium」との連携により、保全データ分析コンサルテーションによる設備保全計画の最適化支援が行われる。具体的には、「RAM(信頼性・稼働率・保守性分析)」「RCM(信頼性中心保全分析)」「RBI(リスク基準型検査)」が行われる。


メンテナンスサービス業向けソリューションは、プラントメーカー向けに提供されるが、受動型から戦略的メンテナンスビジネスを実現するためのソリューションが提供される。サービスとして、メンテナンスを提供している企業の課題は、
 ① アフターサービスの利益率を高めたい
 ② 突発のメンテナンス要求が多く、人や部品の手配が大変
 ③ 販売担当の営業とメンテナンス担当をつなぐ仕組みがない というもの。

こうした課題へのソリューションとして、「PLANTIA」を導入すると、
 ① 提案型メンテナンスの実施で技術員の負荷を平準化
 ② 障害傾向分析と補修部品在庫管理による利益率改善
 ③ 顧客との接点の情報を活用し、更新・リピートビジネスへの展開が可能になる
などが上がる。


水・環境向けソリューションでは
 ① 長寿命化・延命化(老朽化対策)
 ② 技術の伝承(技術者育成・高齢化)
 ③ ビッグデータ(データ分析)
 ④ ライフサイクルコスト低減
 ⑤ 再生可能エネルギー
 ⑥ 業務の標準化
 ⑦ 海外進出
 ⑧ コンソーシアム
 ⑨ 予防保全などをキーワードにしたソリューションを提供する。

これらを実現するために、「PLANTIA」を中心に他社ソフトである「WATERS」(管路管理システム)、「Luca」(プロジェクト向け図書管理支援アプリケーション)、「i-Reporter」(現場向け記帳・報告・閲覧ソリューション)と連携する。

「水・環境」向けテンプレートの概念図 
環 境 事 業 

上 下 水 事 業 


自動車・自動車部品業などの組立製造業向けソリューションでは、保全情報の活用による予防保全を実現し、生産性向上を図る。

このソリューションでは、日々の故障対応や点検の作業記録から、故障データや保全履歴情報を速やかに共有し、蓄積された保全に関わるデータは原因別や設備の種類別など、多面的な視点で分析を行う。この分析のうえで、分析された情報を基に計画的な保全を行い、設備停止の回避を実現する。

同時に、保全管理業務の効率化を図るために
 ① タブレット・AR(拡張現実)などの活用による現場での入力支援
 ② 入力項目の最適化・二重入力の廃止
 ③ 設備の保全に関わる多様な業務で複合的に関連する情報を瞬時に把握 により、保全管理業務の効率化を図る。


医薬品・食品製造業向けには、製造設備の信頼性向上を実現する保全PDCAサイクルの確立を支援する。具体的には、機器台帳を中心にあらゆる情報を集約する仕組みを実現する。ここで提供されるサービスは、「システム化検討支援サービス」「保全管理分析サービス」「システム導入・運用支援サービス」「コンピュータ化システムバリデーション支援サービス」の
4つのサービスが提供される。

これらにより
 ① 設備保全関連情報の一元管理によるコストの見える化
 ② 設備稼働データ、故障データなどの実績に基づいた予防・予知保全
 ③ 日常点検・稼働監視システムからの情報による状態監視保全
 ④ 保全業務の標準化と効率化・保全費の最適化
 ⑤ KPI(分析レポート)に基づく定量的な管理の実現 が実際に提供される。



「連携」の時代を迎えた「PLANTIA」

J-SYSは、ユーザの拡大とそれに伴うニーズの多様化に対応するため、テンプレートによりきめ細かな対応を始めた。そこで重視されているのは、他のソリューションとの連携だ。

すでに、J-SYSは、設備資産管理システム「infor EAM」を持つインフォア、設備保全計画を支援する「meridium」と提携しているが、この他にも、プラント運転管理システム「j5」、操業情報管理システム「PI System」との連携を強化している。

「PLANTIA」は、最初のバージョンがリリースされて30年以上を経過しているが、その間、設備管理システムのニーズも高まるとともに、対象領域を広げて来た。そうした経緯を経ての、連携を重視したソリューションの提供とである。

もちろん、「PLANTIA」は、SaaSにも対応している。これにより、自社サーバのほか、サーバ不要のクラウド環境での提供も可能になった。ソフトウェアの進化とは、ソフトそのものだけで行われるものではない。様々な関連ソフトとの連携より実現される物もある。

「PLANTIA」は新時代に対応する「連携」の時代を迎えた














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