米インターグラフ、BIM市場に参入
データマネジメント分野で 2015.8.3 |
プラント系のエンジニアリングITの有力企業である米インターグラフは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)市場に本格的に参入することを明らかにした。これまで建設分野には積極的に参入していなかったが、すでに市場に投入しているソリューションの中には、建設プロジェクトでも活用できるものがあると判断。本格的に参入する。
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インターグラフPP&M(プロセス・パワー&マリン) サリンジャーCEO |
BIMは建設関連のITとして、近年、建設業界では注目されている。しかし、その多くは3次元モデルを作成する「モデリング」としての機能だ。インターグラフはプラント設計の3次元モデルでは豊富な実績があるが、建設分野ではモデリングの領域は狙わない。ターゲットとしているのは建設プロジェクトに伴う、データ管理の分野だ。
データ管理について、インターグラフは資機材管理の「SmartPlant Materials」、建設管理の「SmartPlant Construction」、プロジェクトデータ管理の「Smart Plant Foundation」の3種類のソリューションで対応が可能だ。これらソリューションを建設業界で活用し、BIM市場に参入を果たす考えだ。
プラントエンジニアリングでは多くの実績を持つインターグラフだが、昨年後半からの原油価格の値下がりに伴い、オイル&ガス分野のプロジェクトが相次いで棚上げされたり、延期される状況にある。このため、ポートフォリオを拡大しながら、オイル&ガス分野における仕事量の減少を補う計画だ。BIM市場への参入はこうした事業戦略の一環として位置づけられる。
わが国でBIMは「ビルデイング・インフォメーション・モデリング」だが、インターグラフが狙うのは、「ビルディング・インフォメーション・マネジメント」の分野。3次元でモデルを作成するためのCAD分野には、オートデスクなどの有力CADベンダーがいるが、建設業用のデータマネジメント分野には、有力ベンダーは少ない。インターグラフもこの分野に商機があると判断したもよう。
ただ、わが国の総合建設の仕事の進め方では下請け構造が複雑で、マネジメントが困難な可能性もある。こうした複雑な下請け構造は建設業の生産性の悪化につながっている可能性もある。こうした建設業の悪しき慣習を修正するためにも、インターグラフの活躍の場が提供される可能性もある。わが国の建設業界にとっては、インターグラフの参入は業界全体への革命になる可能性もある。
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