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ベントレー・システムズ ダイレクタ Anne-Marie Walters 氏
「CONNECT Edition」で実現される機能間連携
プロジェクト大型化・複雑化の中で生み出される生産性向上
2015.7.25
ベントレー・システムズは5月、新ソリューションとして「CONNECT Edition」をリリースした。これまで、構造・配管・計装などの機能別に専門性を持って進められてきた。ここでは、情報をシェアすることはあっても、互いにつながりながら仕事を進めることはなかった。
このほどリリースされた「CONNECT Edition」では、相互に連携しながら仕事ができる環境が提供される。ベントレーでプロセス・資源分野担当インダストリ・マーケティング・ダイレクタを務める、Anne-Marie Walters氏に新ソリューションのリリースについて、狙いなどを聞いた。
Anne-Marie Walters
(アンマリー・ウォルタース)氏
システムベンダー、システムインテグレータ、石油化学産業のオーナーオペレータにおけるマーケティングとエンジニアリングの経歴を持つケミカルエンジニア。特に、施設運用における、エンジニアリング情報の価値の確立と、EPCやオーナーオペレータが直面する課題に関する情報技術に取り組んでいる。
現在、グローバル・インダストリ・プロセス、オフショア、天然資源分野を担当するベントレー・システムズのインダストリ・マーケティング・ダイレクタ。
ENN
:
昨年1 1 月に発表された「CONNECT Edition」が5月に本格的にリリースされました。その狙いから聞かせてください。
Anne-Marie
:
以前は、プロジェクトのためにデリバリーされるデータは、図面を納めるだけで済んでいましたが、最近はアセットに関するデータのデリバリーへとシフトしています。「CONNECT Edition」の狙いは、ライブなデータをデリバリーするためのソフト環境を提供することにあります。
ここでいう「環境」には、3つあります。コモン・モデリング・エンバイロメント、コモン・データ・エンバイロメント、コモン・パフォーマンス・エンバイロメントの3つです。ここでいう「コモン」の意味は、ライブなデータを案件の進行時から、どのようにハンドリングするということです。これらの目的にために、「CONNECT Edition」を開発しました。
プロジェクトの大型化・複雑化に対応する相互連携を実現
ENN
:
昨年秋に発表されて、リリースは今年になったわけですね。
Anne-Marie
:
「CONNECT Edition」のリリースには、2段階があります。当初は、プラットフォーム製品である基幹ソフトの「MicroStation」、プロジェクトのエンジニアリングコンテンツ管理とプロジェクトコラボレーション用ソフトウェアの「ProjectWise」、プロジェクトレビューと解析ソフトウェアである「Navigator」です。
これら3つのソフトについては、今年、リリースしました。これら製品のアプリケーションソフトについては、来年になります。今年11月にロンドンで開催される、イベント「The Year in Infrastructure 2015」で発表されるかもしれません。
ENN
:
「CONNECT Edition」を開発された背景には、近年のプロジェクトの大型化・複雑化といった状況もあるのではないでしょうか。
Anne-Marie
:
その通りです。プロジェクトの大型化・複雑化に加え、データの完全性が求められるようになってきました。こうした状況に対応するため、ベントレー・システムズでは、マネージド・サービスを、クラウドでデータ管理し、「Project Wise」をベースにしたデータ管理サービスを提供しています。プロジェクトが大型化・複雑化するのに伴い、「データが正しい」と言えるような環境を整備することがより求められています。こうしたニーズに対応しました。
ENN
:
プロジェクトが大型化・複雑化する中で、どのようにプロジェクトを進めるべきなのでしょうか。
Anne-Marie
:
あるお客様は「現在の、プロジェクトが大型化・複雑化するのに伴い、互いにやりとりしながら進める必要がある」と指摘されます。「Navigator」でコミュニケーションを取り、「MicroStation」ではDGNファイルによる、やり取りが可能です。
こうしたデータのやり取りを「ProjectWise」や資産のライフサイクルに関する情報管理ソフト「AssetWise」で、やり取りをすることで、「プロジェクトはやりやすくなった」という声があります。ここでいう「やり取り」とは、「シェア」とは異なります。アプリケーションが接続しながら、動いていくことをイメージしてください。
「シェア」は、データを取り出し、どこかで共有することですが、「CONNECT Edition」のコンセプトは「接続すること」です。データと人をつなぐ環境で、コミュニケーションすると同時にコラボレーションすることです。かつては、自分の仕事に集中していれば済む時代でしたが、今の若い世代は簡単につながることを経験しています。
以前は、構造屋、計装屋などの専門職が集中して仕事をしたうえで、互いにコミュニケーションを取りながら仕事を進めてきましたが、若い世代は日常的にコラボレーションしています。
ENN
:
ベントレーは以前から、「Interoperability(相互互換性)」を重視した開発を行ってきました。以前からコラボレーションを重視されていたのではないでしょうか。
Anne-Marie
:
「Interoperability」は技術として提供してきましたが、今回の「CONNECT Edition」では、アプリケーションもつながるような環境を提供することを目的としました。
例えば、プラント建設プロジェクトを計画する場合、当社の「i-model」を活用すれば、インターグラフのSmartPlant、アヴィバのPDMS、当社のOpen Plantなど、データのソースにとらわれることなく、計画が立案できます。
ベントレーには「Construction Work Package Server」というソリューションがありますが、これを使えば、データのフォーマットを問わずに建設の工事管理ができます。石油メジャーの中には、このソリューションを活用して、メリットを出しています。
ENN
:
コントラクターからオーナーオペレータにエンジニアリングデータを提供するデータ・ハンドオーバーには、どのように取り組まれていますか。
Anne-Marie
:
データ・ハンドオーバーは非常に重要なものだと理解しています。ソリューションでは、ハンドオーバーされるデータが常に最新で、完全で、関連情報とつながっていることが求められます。
そのためのプラットフォームとして「ProjectWise Engineering Content Management」というソリューションがあります。これにより、資産の完全な情報をハンドオーバーできます。これにより、オーナー側で必要なこと、変更時にどのようなインパクトがあるかが分かるデータが提供されます。
人口増加地域のインフラ案件にフォーカス
ENN
:
昨年後半から原油価格が値下がりして、産油国のプロジェクトが停滞気味です。この状況から、わが国のコントラクターも海外プロジェクトの受注に苦労していますが、市場環境をどのように御覧になっていますか。
Anne-Marie
:
現在、工事中の案件はそのまま進むでしょうし、未着工の案件でもそれほど多くはキャンセルにならないと楽観的に見ています。また北米のシェールガス関連ですが、この分野もビジネスとしては、それほど進んでいるわけではありません。
ですから、原油価格が値下がりしてもビジネスへの影響はそれほど大きくはありません。原油価格は現在の水準よりも下がらないという見通しもありますから、今後、プロジェクトのキャンセルが相次ぐようなことはないと思います。
ENN
:
ベントレーはインフラストラクチャにフォーカスした事業を展開されていますが、市場環境をどのように御覧になっていますか。
Anne-Marie
:
インフラストラクチャでは、人口が増加している地域にフォーカスしています。中東やアジア地域に注目していますが、中国、インドに力を入れるとともに、アフリカ地域に注目しています。
これらの地域には、新設もありますが、既設を改造するプロジェクトもあり、これにフォーカスしたいと考えています。こうしたプロジェクトには、ベントレーの「AssetWise」やAPM(Asset Performance Manager)というパフォーマンスマネジメントのソリューションを提供します。今年、買収したソリューションに「Amulet」がありますが、このソリューションはパフォーマンスを最適化するエンジンとして提供できます。
ENN
:
ありがとうございました。
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