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 オートデスク、プラント設計関連製品をバージョンアップ
 「AutoCAD Plant 3D」「Autodesk Plant Design Suite」を
 機能アップ
                                    2015.6.15

 オートデスクは毎年、基幹CADソフト「AutoCAD」をバージョンアップしているが、それに伴い、各アプリケーションの機能アップも行われる。今年もプラント設計関連では、「AutoCAD Plant 3D」「Autodesk Plant Design Suite」がバージョンアップした。「AutoCAD Plant 3D」では、ビュワー「Navisworks」を活用した、各フォーマットのデータ統合が実現されるなど、機能が充実した。

 オートデスクは、基幹CADソフトである「AutoCAD」をバージョンアップにするのに伴い、アプリケーションソフトのバージョンアップも行っている。プラント設計用の「Auto CAD Plant 3D」「Autodesk Plant Design Suite」は、いずれも2016年バージョンにバージョンアップされた。


ビュワー「Navisworks」を活用して全CADフォーマットに対応

 今回の「AutoCAD Plant 3D 2016」のバージョンアップでは、汎用のビュワーである「Navisworks」を活用した、複数のソフトのデータ統合、点群データ処理の向上、そしてコラボレーションおよびデータ管理ソフト「Autodesk Vault」を活用した遠隔地同士のデータ交換の向上だ。

 「Navisworks」は汎用タイプのビュワー・ソフトで、ほとんどの3次元CADのデータフォーマットに対応している。このため、プラント・エンジニアリング業界でも、最も多く活用されているビュワーだ。

 今回の「AutoCAD Plant 3D 2016」に伴うバージョンアップでは、「Navisworks」が取り込んだデータを「AutoCAD Plant 3D 2016」でモデル化することが可能になった。「Navisworks」はほとんどのCADフォーマットに対応できるビュワーであるため、「AutoCAD Plant 3D 2016」では、ほとんどのCADのモデル化に対応できる。ここでは、異なるデータの統合も可能で、フォーマットに関係なく3次元モデルの統合ができる。

 近年、プラント・エンジニアリング向けCADを扱っているベンダーでは、インターグラフが「SmartPlant Foundation」、アヴィバが「AvevaNET」、ベントレー・システムズが「I-model」により、モデルのデータ統合を可能にしているが、オートデスクは汎用ビュワー・ソフト「Navisworks」で、異なるフォーマット同士のる3次元CADデータの統合を可能にした。

 わが国のプラント・エンジニアリングのユーザの多くは、「Navisworks」を保有しており、これらユーザは「AutoCAD Plant 3D 2016」を購入すれば、複数のモデルを統合できるようになる。

 この機能により、データの互換性が向上し、生産性も上がるはずだ。


点群データ処理も改善

 「AutoCAD Plant 3D 2016」では、「Reality Capture(ReCAP)」と呼ばれる点群データの処理機能も改善された。

 レーザスキャニングによる3次元の点群データの利用は、近年、ますます用途が広がっている。車載スキャナーによる移動計測、ドローン(無人飛行機)にスキャナーを搭載して特定の場所を上空から俯瞰しながらの計測など、用途は広がりを見せている。かつては、設計データを持たないプラントや設備を3次元で計測し、モデルを作成するた用途に活用されていたが、新たな測量方法として注目されている。

     ReCAPの機能向上も図られた
 レーザスキャニングによる3次元の点群データの利用は、近年、ますます用途が広がっている。車載スキャナーによる移動計測、ドローン(無人飛行機)にスキャナーを搭載して特定の場所を上空から俯瞰しながらの計測など、用途は広がりを見せている。
 かつては、設計データを持たないプラントや設備を3次元で計測し、モデルを作成する用途に活用されていたが、新たな測量方法として注目されている。


 「AutoCAD Plant 3D 2016」では、点群データを取り込む時に、単にモデルを作成するだけではなく、配管の中心線を明示できるようになった。この機能により、点群からのモデル作成がより簡単になった。

 幅広い用途を持つようになった3次元レーザスキャニング技術だが、データを持たないプラントを3次元レーザスキャナーでスキャンした、3次元モデルの作成は、従来からある用途だ。この用途をより容易に実現できるようになった。

 前述した「Nevisworks」を活用したデータの取り込み機能を活用すれば、レーザースキャニングデータは複数のデータと統合することもできる。今後、新たな活用方法が開発されれば、より効率を向上させることが可能になりそうだ。


マルチロケーションでの設計にも対応

 「AutoCAD Plant 3D 2016」では、コラボレーションおよびデータ管理ソフト「Autodesk Vault」との統合についても改善された。この統合が改善されたことで、異なる拠点でのコラボレーションが容易になった。


  マルチロケーションによるエンジニアリングを
  可能にする「Autodesk Vault」
 近年、プロジェクトが大型化していると同時に、エンジニアリング企業の仕事は、グローバルにマルチロケーションで行われることも珍しいことでは無くなった。

 例えば、東京でラフに基本設計を行い、そのデータに基づいて、フィリピンで詳細設計が行われるようなことは、最近のエンジニアリング企業では日常的に行われている。こうしたエンジニアリング遂行をサポートするのが、「AutoCAD Plant 3D 2016」とコラボレーションおよびデータ管理ソフト「Autodesk Vault」の統合における機能アップだ。

 この機能により、マルチロケーションのエンジニアリング遂行が可能になり、エンジニアリングの生産性も向上するはずだ。



Suite 製品も構成製品を変更

 今回のバージョンアップに合わせて、「Autodesk Plant Design Suite 2016」も、その製品構成が変わった。「Autodesk Plant Design Suite 2016」には、「Standard」「Premium」「Ultimate」の3種類の各「Edition」が用意されている。

  Autodesk Plant Design Suite 2016 製品構成

 「Standard Edition」は、配管設計者やエンジニア向けのスイートで、汎用設計や作図機能で基本系統図(P&ID)作業を行うもので、AutoCADベースのソリューションが追及されている。

 より素早く、正確なプロセス設計ができ、使い慣れたツールで汎用的な設計作業も可能で、顧客やプロジェクトメンバーに設計意図を明確に伝達する。スイートを構成するのは、「Autodesk AutoCAD 2016」「AutoCAD P&ID 2016」「Autodesk Recap 2016」「Autodesk Showcase 2016」。

 「Premium Edition」は、配管設計者やエンジニア向けで、AutoCADをベースにした3次元配管モデリング、構造設計と解析・施工を踏まえたレビューなどの総合ソリューションが追及されている。プロジェクトメンバーを集めたプロジェクト全体のモデルの統合・レビューができ、配管図やアイソメ図を自動作成が可能で異なるCADデータを統合し、プロジェクトデータとしてレビューできる。

 「Premium Edition」には、「Standard Edition」に「AutoCAD Plant 3D 2016」「AutoCAD MEP 2016」「Autodesk Revit Structure 2016」「Autodesk 3ds Max Design 2016」「Autodesk Navisworks Simulate 2016」が同梱される。

 「Ultimate Edition」は、AutoCADベースの配管設計、構造設計と解析、機器やスキッドモデル設計、高度な衝突検知、プロジェクトの全体レビューなどの統合プラントソリューションが追及されている。これにより、機器とスキッドモデルとの連携が可能になり、設計の初期段階で干渉・衝突箇所を検知し、プロジェクトチーム間のコミュニケーションとコラボレーションを改善する。

 「Ultimete Edition」は、「Premium Edition」の「Autodesk Navisworks Simulate 2016」の代わりに「Autodesk Navisworks Manage 2016」、「Autodesk Inventor with Routed」がそれぞれ同梱される。

 「Autodesk Plant Design Suite 2016」で注目すべきは、「AutoCAD MEP」が「Premium Edition」と「Ultimate Edition」に同梱されたことだ。「AutoCAD MEP」は、建築設計における「機械・電気・配管」設計を行うソフトで、建築設備にも活用できるソリューションだ。

 BIMに力を入れるオートデスクだが、「Autodesk Plant Design Suite 2016」の同梱製品にもその考えが反映されたと言える。

















㈱重化学工業通信社
 

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