j5 Japan 取締役社長 大坂 宏 氏
プラント運転管理ソフト「j5」が急成長
世界500 サイトで導入、今年第2四半期にはメジャーバージョンアップ
2015.3.25 |
マン島に本社を持ち、開発拠点を南アフリカのケープタウンに持つ「j5」。 同社が開発したプラント運転管理システム「j5」が急成長している。 この5年間の平均売上増加率は35%、この2年間では60%という高率で売上高が伸びている。
昨年には、日本にも日本法人 j5 Japanが設立され、その後に開催されたワークショップには、120名が参加した。 わが国でもすでに、オイル&ガス会社が導入しており、今後も市場を拡大する気配だ。
j5 Japanの取締役社長である大坂 宏氏に、好調の要因について語ってもらった。
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大坂 宏 (おおさか ひろし) 氏
1956年、秋田県生まれ。 1979年新潟大学工学部化学工学科を卒業。 石油精製エンジンニア、産業用リアルタイムシステム構築システムエンジニアを経て、1992年にプロセスエンジニアリングとシステムエンジニアリングを融合させたエンジニアリング・サービスを提供する大坂システム計画を創業。
2014年には、j5の日本代理店j5 Japanを設立。 |
ENN : |
海外で開発された、パッケージソフトウェアが日本で売れた例はあまりありませんが、「j5」は順調にユーザ数を増やしています。「j5」はどのようなソフトウェアなのでしょうか。 |
大 坂 : |
海外のパッケージですから、たしかに日本企業が導入することに難しさはあります。 しかし、当社の開発者はプラントの運転管理については、30年近い経験があり、この豊富な経験をベースにして開発されたのが、「j5」です。
最初にリリースされたのが1985年ですから、商品としては、すでに成熟しています。 主に、プロセス産業の運転管理に使われています。
技術的な特徴は、拡張可能な「j5」のフレームワーク上に様々な運転管理とHSEのアプリケーションを統合できることです。 このため、シンプルで使い勝手が良い点が受け入れられてきたと思います。
このシステムを基盤として、海外案件の経験をリファインして、ソフトに反映させています。 こうしてお客様とプラクティスを作って、ユーザに提供していることが、高評価をいただいている理由です。 |
ENN : |
世界では、どのようなプラントで稼働しているのですか。 |
大 坂 : |
全世界で異なる約10の産業分野、約500サイトで稼働していますが、主にオイル&ガスと、発電プラント向けに多くの納入実績があります。 地域的に導入業種が異なりますが、北米ではオイル&ガスと電力の両方、豪州では電力に使われた実績が多くあります。
最近では、プラントの新設が多い中東のオイル&ガスのプラント向けが増加しています。
プラントの新設、改造・増強のいずれにも対応でき、この点も導入実績が増加している一因です。 |
ENN : |
「j5」を日本に導入しようと考えた理由は何ですか。 |
大 坂 : |
私自身、石油会社、エンジニアリング企業、ソフトのプログラマーを経験してきました。 つまり、プラントのエンドユーザ、コントラクター、ソフトウェアベンダーとして勤務した経験があります。
その経験を持った目で、「j5」のパッケージを見た時に、ピンときました。 当時、日本には、この種のオペレーション管理ソフトは、個別の小さなパッケージがある程度で、インテグレートされたものは無かった。 そこで、手応えを感じ
ました。
手応えを感じたので、南アフリカのケープタウンにある「j5」のオフィスを訪ねたのですが、小さな会社ですが、エンジニアは高学歴で技術オリエンテッドな会社という印象を持ちました。
そこで会社を視察させていただいて、「商品コンセプトは日本市場に合う」という印象を持ちました。 |
ENN : |
グローバルな販売ネットワークは、どのようになっていますか。 |
大 坂 : |
この2年間で、「j5 インターナショナル」「j5 ノースアメリカ」「j5 オーストラリア」「j5 シンガポール」「j5 EMEA(ヨーロッパ・ミドルイースト・アフリカ)」「j5
Japan」の6拠点を設立し、グローバルに対応しています。 |
大 坂 : |
過去5年間の平均で年率35%、2年間では年率60%売上が増加しています。 |
大 坂 : |
2010年からの5年間で、天然ガス、石油精製を中心に約50サイトで導入されました。 約5,000人の方が生産現場で使用されています。 |
ENN : |
導入のポイントは、どのようなところにありますか。 |
大 坂 : |
ユーザの業務フローが適正化されていないと、導入しても意味がありませんから、業務フロー改善をユーザの方々にお願いします。 そのうえで、お客様に、作業指示、運転ログ、申し送り帳といった運転管理のアプリケーションの導入をお奨めしています。
最近では、モバイルを使った巡回点検やHSEソリューションの導入実績も増えています。 |
ENN : |
j5 Japanは昨年、設立されていますが、これまでの活動実績はいかがですか。 |
大 坂 : |
昨年9月に第一回目のワークショップを開催し、120名が参加され、「j5」の関心は相当に高いという印象を持ちました。 |
ENN : |
日本での販売体制はどのようになっていますか。 |
大 坂 : |
現在、ダイセック、千代田システムテクノロジーズ、日揮情報システム、三菱化学エンジニアリングの4社にシステムインテグレーターをお願いしていますが、システムインテグレーターは今後も増やしていきたいと考えています。 |
ENN : |
今後の事業展開については、いかがですか。 |
大 坂 : |
グローバルでは、これまでに対応ができていない、中国、ヨーロッパやアジア・大洋州諸国へのアプローチを強化します。 このために、グローバル・パートナーである、シュナイダーエレクトリック、IBM、アクセンチュアなどとの関係を強化し、プラントの新設および改造・増強の双方に対応します。 |
ENN : |
製品のバージョンアップについては、いかがですか。 |
大 坂 : |
今年、第2四半期には、メジャーバージョンアップを行う「j5 2015」をリリースします。 バージョンアップにより、エンドユーザが容易に組み込み可能なソフトウェア構成が可能になり、ユーザインタフェースの大幅な改良により使いやすくなります。
同時に、運転・保全・HSEに関する新たなパッケージを製品として投入します。
また、グローバルスタンダードに準拠した製品開発にも引き続き、取り組みます。 |
ENN : |
日本国内での事業展開についてはいかがですか。 |
大 坂 : |
国内では引き続き、グローバル・パートナーや複数のシステムインテグレーターと市場の掘り起こしを行います。
これまでオイル&ガスを中心に実績を上げてきましたが、今後は下流の石油化学・化学分野やディスクリート系にも市場を拡大し、従来の運転管理中心から、保全、HSE分野にも展開します。 j5 Japanとしては、日本を取り巻くアジア諸国にアプローチします。 |
大 坂 : |
基本的には、業務プロセス、ワークフロー、業務の可視化、目標管理といったマネジメントシステムのシステム化を進めます。
運転管理では、モバイル環境での巡回点検やSOP(標準運転要領)の分野に注力します。
保全分野では、CMMS(コンピュータを活用したメンテナンス管理システム)との連携、作業許可などの拡充を図ります。
HSEとしては、事故管理、ヒヤリハット管理、変更管理、コンプライアンス管理などが対象となります。 |
ENN : |
昨年、j5 Japanを設立し、滑り出し好調ですが、当面の事業目標はいかがですか。 |
大 坂 : |
目標は、サイト数の増加とともに、アプリケーション数の増加で、お客様にバリューを提供し、売上高の50%増です。 |
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