千代田システムテクノロジーズ 取締役社長 中曽根 裕幸 氏
経営統合でシナジー効果、今後はエネルギーマネジメントシステムに力
電気・計装とITの融合で新境地を開く 2015.2.10 |
2012年10月に、千代田計装とITエンジニアリングの両社の統合により設立された千代田システムテクノロジーズ (CST)。 設立から2年4カ月を経て、社内の融合も進み、徐々にシナジー効果も生まれている。
この時期に、前社長の髙山 巧氏からバトンを受け継いだ新社長の中曽根 裕幸氏。 一気に15歳若返ったが、今後は若い力がCSTを牽引する。
千代田グループにとっても、CST、千代田工商、千代田テクノエースの3子会社の強化は重要課題。 この中でCSTの新社長に就任したばかりの中曽根氏に意気込みを語ってもらった。 |
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中曽根 裕幸 (なかそね ひろゆき) 氏
昭和38年4月14日生まれ、長野県出身 昭和61年、早稲田大学理工学部電気工学科卒業とともに千代田化工建設入社。 電気部、電気システム設計センター、電気制御設計本部を経て、平成24年千代田システムテクノロジーズ取締役常務執行役員エネルギー・社会インフラ事業本部長、平成26年4月取締役副社長執行役員エネルギー・社会インフラ事業本部長、平成26年10月取締役社長。 |
ENN : |
2012年10月に、千代田計装とITエンジニアリングが統合されて、千代田システムテクノロジーズ (CST) となって2年4カ月が経ちました。 昨年10月に社長に就任されて、どのような印象をお持ちですか。 |
中曽根 : |
当社には、
①旧千代田計装をベースにした制御・計装・電気のEPCと工事
②旧ITエンジニアリングをベースにしたITソリューション
③2012年10月の統合時に発足した、エネルギー社会インフラ事業本部
の3本の柱があります。
統合された当初は、異なる歴史・文化を持ち、違う仕事をやってきた2社が一緒に仕事をやることに対して、難しさを感じていました。 しかし最近になって、お互いに一緒にやっていくことの意義を理解し合うようになりました。
例えば、同じお客様には、連携しながらアプローチするようになりました。 少しずつではありますが、融合が進んでいます。 こうした中で今後は、シナジーが出せるビジネスの部分を増やして行きたいと考えています。 |
ENN : |
どのような部分でシナジーが発揮されていますか。 |
中曽根 : |
例えば、スマートメンテナンスというサービスメニューがあるのですが、旧千代田計装は石油・石油化学のお客様の工場を対象に、改造工事など、お客様にメンテナンス工事を提供してきました。 この機能に、ITシステムを活かした、新しいサービスを提供することで、スマートメンテナンスのサービスが始まりました。 |
ENN : |
エネルギー・社会インフラ事業では、再生可能エネルギーに取り組まれています。 ただ、再生エネルギー関連設備は、技術的に単純なものが多く、エンジニアリング企業にとって、相応しい仕事と思えないのですが。 |
中曽根 : |
再生可能エネルギーの設備を建設で見るか、価値として捉えるかで見方が変わってきます。 CSTであれば、制御システム、電気、IT、メンテナンスを得意としていますから、最適制御という形でソリューションを提供できます。
もう一つ、エネルギーセキュリティの面から考えても、再生可能エネルギーは必要です。 これまで、石油・ガスが重要なエネルギー源としての役割を担ってきましたが、長期的に考えれば、エネルギーセキュリティの面で再生可能性エネルギーの役割は大きい。
また環境配慮の点では、CO2排出削減のためにも必要です。 |
ENN : |
社会の仕組み全体で考えれば、再生可能エネルギーが重要で、その一端を担うということですね。 |
中曽根 : |
私自身、電気のエンジニアなのですが、技術的にも、再生可能エネルギーで発電された電気を系統にどのように取り込むべきかを重視しています。 |
ENN : |
2016年度から電力システム改革が始まります。電力会社のみならず、様々な企業による発電が可能になりますが、ここにもビジネスチャンスが期待できます。 |
中曽根 : |
CSTは大きな会社ではありませんが、多様化の中でいろいろな切り口でビジネスが考えられます。 当社はEPCでも実績を積んできましたし、ITでも様々なソリューションが提供できます。 さらにメンテナンスに対応できれば、お客様と長期間に渡るお付き合いができます。 |
ENN : |
千代田グループでは、CST、千代田工商、千代田テクノエースの3つの子会社の強化を重視されています。その中で、CSTはどのような役割を担われるのですか。 |
中曽根 : |
千代田本社は大型プロジェクトが中心になりますが、CSTの特徴は、スピードと機動力を持っていることです。 中小案件にも対応していますが、EPC、O&Mといった、様々なビジネスモデルで対応しています。
お客様の声を聞いて、ビジネスを修正しながら展開できる点が強みです。 |
ENN : |
親会社である千代田本社や、千代田工商や千代田テクノエースといった、他のグループ企業との関係はいかがですか。 |
中曽根 : |
千代田グループとしては、その時々で最適なフォーメーションで対応するのが基本方針です。 案件の内容によって、必要に応じて、柔軟に取り組んでいます。 |
ENN : |
CST自体を強くするという点では、最近、千代田本社と同様に、SAP社のERPを導入されました。 |
中曽根 : |
システムを導入したからといって、すぐにビジネスに結び付くものではありません。 しかし、当社には、ITソリューション分野でグローバルスタンダードになっている、パッケージを扱っています。
その中には、PMS (プロジェクト・マネジメント・システム) の「Primavera」や医薬品向けの製造実行管理システム (MES) である「PAS-X」があります。 「Primavera」については、千代田グループでも導入して、プロジェクトの工程・リソース管理に使っています。
実際に使用した経験は、CSTのビジネスにも活かします。 |
ENN : |
「Primavera」は、PMSの世界的なデファクトスタンダードになっていると思います。 |
中曽根 : |
大型プロジェクトや組織で動かれているお客様にとっては、強力なツールになると思います。 |
ENN : |
世界的なデファクトスタンダードである「Primavera」や「PAS-X」を日本市場でいかに売るかも課題ですね。 |
中曽根 : |
CSTの市場は7~8割が日本国内です。 その中で、日本企業にとって、グローバル化は大命題になっています。 こうした状況に置かれた日本のお客様の中で、グローバルスタンダードなシステムの価値を認められるところがあれば、積極的にシステムを提供したい。 |
ENN : |
今後新規事業として、どのような分野に力を入れていかれますか。 |
中曽根 : |
CSTになり、エネルギー分野を一つの柱にしようとしています。 そこで、エネルギーマネジメントシステムに力を入れようと考えています。 現在のところ、導入支援コンサルティングにとどまっていますが、今後、本格的に展開します。 工場を対象に、エネルギー最適利用やその管理を提供し、グローバルで考えられるようなやり方をベースに支援したいと思います。
CSTはEPCにも対応できますし、現場や設備も分かっているうえに、ITソリューションも提供できます。 例えば、製薬業界でMESを導入される場合、エネルギーの最適化を提案して、新たな需要に結び付けることも考えたい。 |
ENN : |
千代田グループとしては、石油・石油化学関連の顧客に入っていきやすいのではないでしょうか。 |
中曽根 : |
もちろん、石油・石油化学業界は、最も重要なお客様です。 千代田本社にとっても重要なお客様ですが、本社がEPCでつながり、その後のお客様との関係は子会社である、われわれも受け継いできました。
このため、お客様のそばにいることができる。 これは今後も大事にしていきます。 |
ENN : |
海外での事業展開についてはいかがですか。 |
中曽根 : |
海外市場については、千代田本社の案件とCST独自の海外展開があります。 CSTとして、シンガポール、マレーシアなどに拠点がありますから、これら拠点も活用したいと思います。 |
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