| 2019.1.8 
 
        
        
          | 
            
              
                | エマソン オートメーション ソリューションズ ラル・カルサンバイ執行社長 新テクノロジー提案で、EPCエンドユーザーをサポートするエマソン
 設備のライフサイクルを視野に入れたMACとしても役割
 |  
                | 
 
                  
                    
                      | インターネットにより、あらゆる物がつながるようになった今日、プラントの制御システムも新たな時代を迎えた。プラントの操業に伴い発生する事象については、すべてバーチャルな世界で確認でき、トラブルを未然に防ぎ、操業効率を向上できる。また、こうしたデジタルツイン環境を提供するうえで、制御システムベンダーには、MAC(メイン・オートメーション・コントラクター)として、システム全体を取りまとめる役割が求められる。テクノロジーの進化は制御システムベンダーに新たな要素を求めるように変わってきた。新たな時代への対応について、エマソン
                      オートメーションソリューションズのラル・カルサンバイ執行社長に聞いた。 |  
 
                  
                    
                      |  | Lal Karsanbhai(ラル・カルサンバイ)氏
 
 1995年国際プランナー担当、1999年企業計画担当部長、2002年レギュレータ事業部副社長、2008年フィッシャレギュレータ事業部社長、2002年計画担当副社長、2014年欧州・中東・アフリカのエマソン旧ネットワークパワー事業部社長、2018年エマソン・オートメーション・ソリューションズ執行役社長。
 |  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                  
                    
                      | ENN : | 最近のプロセスオートメーション市場をどのように御覧になっていますか。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | 2017年後半から、市場が回復し始めたと見ています。それもかなり大型の設備投資が具体化するようになりました。 
 地球温暖化防止のための温室効果ガス排出削減に向けた取組において、エネルギー会社にとって重要な成長領域である天然ガスは、最も汚染されていない化石燃料です。
 
 成長の源の一つは、天然ガスで大気汚染を減らし、高炭素エネルギー混合を再構築するための重要な政策選択とした中国政府です。インドや新興国からの需要も過去数年で急増しています。こうした動きに伴い、ガス、石油精製の案件が復活の動きに続くのが、石油化学関連のプロジェクトで、今、具体化に向けて動き始めています。
 
 新しいキャピタルプロジェクトが、新しい設計、エンジニアリング、プロジェクト管理のための新しいデジタル技術を模索する中、自動化市場は有望です。
 
 |  
 
                  
                    
                      | ENN : | こうした市場環境で何を重視されていますか。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | われわれが最も重視しているのは、お客様が既存のプラントのライフサイクル全体を通して、プロジェクトの早い段階で、適切にデジタル変換を導入できるよう支援することです。プロジェクトで3つの分野、すなわち、コストの低減、複雑性の軽減、後期の変更の許容を支援します。われわれは、EPCとエンドユーザーがプロジェクトの課題に取り組むことを支援する技術と専門知識を含むProject
                      Certaintyプログラムを展開しています。まず、新しい技術を利用して、エンジニアリング時間、建設資材、労力を自動化することにより作業を削減するなどがあります。次に、プロジェクトの複雑さを単純化し、軽減する方法を特定します。例えば、安全なクラウドエンジニアリングを使用してサプライヤーとの依存関係を切り離すなどです。3番目に、工期の変更に対応するために、新しいデジタル技術を適用することです。。 
 |  
 
 
 
                  
                    
                      | ENN : | 最近のプロジェクトは複雑化していますが、この状況でクラウド環境を活用して、効率化を図るのも重要だと思います。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | われわれは、クラウド技術を活用して、資本プロジェクトを変革し、エンジニアリングや設計段階で効率を向上させ、既存プラントの設備のメンテナンスを強化します。 
 現地でFAT(工場受入試験)を実施する代わりに、クラウドエンジニアリングサービスを使用することでプロセスを大幅に簡略化することができます。われわれのリモートバーチャルオフィス(RVO)機能は、世界中のお客様、EPC、エマソンのエンジニアリングセンター間でエンジニアリングとオンラインでの仮想試験を行うための手段としてクラウドを使用しています。お客様は、高価な旅費やハードウェア、ストレージ、サービスのコストをかけずにソフトウェアFATを実行できます。これにより、プロジェクト全体のスケジュールが短縮され、資本プロジェクトの実行コストが削減されます。デジタル技術のもう一つの利用方法は、クラウドベースのConnected
                      Servicesです。これにより、クラウド上で動作する分析ソフトウェアを使用して、お客様のプラント内の重要な設備を監視します。定期的なレポートを提供して、どの設備をオーバーホールあるいは交換する必要があるかをお知らせします。分析ソフトウェアが、設備の異常を検知した際には、通知を送信します。
 
 さらにクラウド技術を活用してプラントをデジタル化することにより、Connected Servicesによる設備の監視は、運用および保守のスケジュールとパフォーマンスを向上させることができます。
 
 こうしてデジタルプラントを完成させれば、例えば、ポンプ、コンプレッサなどの設備の状態は、データ分析を介して常に監視され、問題は、関係する要員に直ちに送信され、未解決の問題の是正処置が可能となります。これによりプラントの計画外停止を避けることができ、修理と保守が必要な設備のみが保全されることになります。オペレーション側で、計器などの診断にも使用できます。
 
 |  
 
 
 
                  
                    
                      | ENN : | デジタルツインについてはどのようにお考えですか。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | デジタルツイン技術は、われわれのPlantwebデジタル・エコシステムに含まれています。これは、プロジェクトと運用のパフォーマンスを向上させる組織、人材の技能向上に有用です。 
 最初の設計段階でデジタルツインを開発し、それをまずトレーニングに使用し、後にプラントの設計および運用段階で生産を最適化することで、プロジェクトとの継続的な運用による合理化が可能となります。
 
 業務上のパフォーマンスを向上させ、仮想現実を介して人材を教育するのに役立つデジタルツインのアプリケーションをいくつか紹介します。
 
 第1に、プロセスをシミュレーションし、最適な設定値を検証して生産量を最大化するか、エネルギーコストを最小限に抑えることができます。
 
 第2に、制御室のオペレータトレーニングでは、デジタルツインプロセスモデルを使用して、オペレータトレーニングシミュレータ(OTS)で高精度のプロセスシミュレーションを実行します。バーチャルリアリティ(VR)を使用したフィールドオペレータトレーニングは、プラントの3Dモデルから構築されたタンク、パイプラック、構造物を含む物理プラントと同じプロセスモデルの高精度デジタルツインを使用します。
 
 第3に、製造前にバーチャルリアリティ(VR)を使用してスキッドの設計レビューを行い、お客様に計量スキッドを体験していただき、作業を安全かつ容易に実行することができるようにします。製造後よりもこの段階で変更を加える方が簡単で低コストです。
 |  
 
                  
                    
                      | ENN : | 最近は、制御システムベンダーがMAC(メイン・オートメーション・コントラクター)として、制御システム全体を手掛けることも増えてきました。MACについては、どのようにお考えですか。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | MACでは、EPCはオートメーションパッケージ全体のシングルコントラクターとなります。MACを活用することにより、メーカーはすべての、あるいは、ほぼすべての機器を供給します。EPCは、機器やインフラストラクチャ、ソフトウェアがすべて統合されて動作することを保証します。すなわち、複雑性が低減され、不確実性が低減されます。 
 MACを活用すると、システム、インフラストラクチャ、および、ソフトウェアが同じメーカーのすべての機器と連動するように設計されているため、エンドユーザーはより優れたシステムの恩恵を受けることができます。例えば、ソフトウェアはすべて同じメーカーによって設計されているため、機器のようなハードウェアのすべての機能にアクセスするように設計されています。
 
 |  
 
 
 
                  
                    
                      | ENN : | 今後の市場環境については、どのように御覧になっていますか。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | 基本的には、楽観的に見ています。先進国になろうとしている国は、それまで上流への投資が中心でしたが、自国の中間層が増えることにより、ダウンストリームへの投資が増加すると見ています。この動きに伴い、電力を持つことが必要になります。クリーンコールへのデマンドも増加します。こうした動きは、われわれにとって、一つの波になって表れます。これら一連の状況を見れば、市場環境については楽観的に見ることができます。 
 |  
 
                  
                    
                      | ENN : | 今後、どのような分野に注力されますか。 |  
 
                  
                    
                      | ラル : | LNGプラント、天然ガスのサプライチェーン、井戸元、ターミナル、パイプラインなどの下流部門の新しい設備投資の見通しを見ると、われわれはこれらの新しい資本プロジェクトのデジタル化を支えるよう支援することに注力しています。すなわち、Project
                      CertaintyとPlantwebデジタル・エコシステムです。 
 クラウドエンジニアリングサービスとデジタルツインテクノロジーは、われわれのPlantwebデジタル・エコシステムの一部であり、デジタル変換を可能にするスケーラブルなソリューションのポートフォリオであり、コスト低減と出力向上で、より効率的にエネルギーと資材を活用しようとする組織にとって、ますます求められているソ
 リューションです。
 
 |  
 |  |  
 
 |  |