東芝製タービンで高効率運転を実現した米地熱発電所
タービンの劣化対策で点検間隔を延長 【2010/12/10号】 |
世界の地熱発電容量は現在、約1万MWだが、このうち約80%は東芝、三菱重工業、富士電機システムズが納入したプラントで発電されている。
開発が最も進んでいるのは米国市場で、2008年の段階で設備容量は約3,000MWと世界最大。
さらに米カリフォルニア州のガイザース地熱発電所は、このうちほぼ半分の1,400MWを占めており、世界最大の地熱発電所となっている。
このガイザース地熱発電向けには3社のプラントメーカーがプラントを納入しているが、最大シェアを持つのが東芝。
同発電所の設備容量の大半を占める1,390MW、17基の発電設備を納入した実績を持つ。
地熱特有の課題として腐食性ガスによる設備の劣化などが挙げられるが、東芝の技術により、同発電所では高効率な運転が行われている。 |
高品質と効率を両立するABB GIS工場
モジュール生産方式でニーズ多様化にも対応 【2010/11/25号】 |
ドイツといえば、歴史のある工業国家というイメージがまず浮かぶ。 名工と言われるような職人が、熟練した技術で高品質の製品を作り出す。
これが、一般に持たれているドイツのイメージの一つだろう。 それでも最近の技術には、品質とともに効率によるコストの低減が求められる。
つまり品質と効率というトレードオフの関係にある要素の両立が求められる。
ABB GIS (ガス絶縁スイッチギア) 工場では、原材料から最終製品までを一貫して生産しているが、この工場で品質と効率を両立する生産が行われている。 |
ベントレー、「Be Inspired 2010」 アムステルダムで開催
インフラ・オーナーのサプライチェーンに照準 【2010/11/10号】 |
今回の 「Be Inspired 2010」 は、「インフラストラクチャーとともにビジネスを展開するベントレー・システムズ」
を強く印象づけるイベントだった。 19日の初日に行われた、CEOのグレッグ・ベントレー氏をはじめとする経営陣の発言、また2日目に発表された
「Infrastructure 500TOP owners Ranking」 は、インフラストラフチャーとベントレーのつながりを強くアピールした。
「Ranking500」 は、ベントレーが公表資料を基に弾きだした世界のインフラストラクチャー・オーナーのランキングだが、対象となったのは、企業と国や州などの公的機関だ。そこで弾き出された世界のインフラストラクチャーの価値は13兆ドル以上。 |
スチールプランテック、高効率の電炉ダストの処理プロセスを開発
台湾の電炉メーカー傘下の環境事業会社と共同で 【2010/10/25号】 |
スチールプランテックはこのほど、台湾の電炉メーカーのグループ企業、嘉徳技術開発 (KATEC) とともに、電炉ダストから亜鉛と鉄を回収する新たなプロセスを共同開発した。 新プロセスの名前は、「溶融還元式電炉ダスト処理プロセス (ESRF: Electric Smelting Reduction Furnace)」 で、電気エネルギーで溶融還元することで、電炉ダストに含まれる亜鉛などを効率的に回収できる。 新プロセスの第1号機は9月、台湾の桃園県で稼働したばかりだが、スチールプランテックには国内、韓国から問い合わせが寄せられている。 |
ごみ焼却プラント海外展開の最先端走る日立造船
中国で3連続受注、中長期では東南アジア、インドも視野 【2010/10/10号】 |
日立造船は、わが国の、ごみ焼却プラントのトップメーカーの1社だ。 国内で豊富な実績を持ち、海外にもいち早く打って出た。
国内市場が狭隘化するのに伴い、海外市場の重要度が高まるが、日立造船は国内メーカーでトップクラスの実績とノウハウを持つ。
特に2005年頃からは中国での売り込みを強化、その成果も上がり、今年は中国で3プロジェクトを連続受注した。
ごみ発電事業が活発化する中国では、ごみ焼却プラントの技術的信頼性が強く求められ、わが国プラントメーカーへの期待も高い。
日立造船はそんな期待を担う一社である。 |
カタールで巨大プロジェクトを相次ぎ完工する千代田
カタールガスU社向け超大型LNGプラント2トレーンを完工 【2010/9/25号】 |
千代田化工建設は今年初め、世界最大の年産780万トンのLNGプラントをカタールのラスラファンに完工した。 このプロジェクトと平行して、千代田はカタールガスV、カタールガスWプロジェクトに加え、大型ガス処理プラントの建設も進めてきた。 最盛期となった2008年5月には、千代田関連プロジェクトでサイトには7万5,000人のワーカーがひしめいた。 この超巨大プロジェクトを千代田は安全重視を貫いて進めてきた。 超大型プロジェクトの完工は千代田化工のみならず、わが国エンジニアリング業界においても大きな意味を持つ。 |
汚泥再資源化で差別化図るアタカ大機
コンポスト・助燃剤化・リン回収技術の3技術で対応 【2010/9/10号】 |
昨年3月、アタカ大機は秋田県仙北市に 「汚泥再処理センター」 を完工した。
この施設は、し尿からリンを回収でき、循環型社会の創成が求められる最近のトレンドにマッチしたものとなった。
し尿処理設備のトップメーカーであるアタカ大機は今、再資源化技術による差別化に力を入れているが、リンを回収する
「HAPシステム」 はアタカ大機が独自に開発した。 このほかにも、コンポスト化、助燃剤化に対応できるが、し尿の再資源化では幅広い技術を所有する。
2009年度、受注額5億円以上のし尿処理設備7基を受注したアタカ大機だが、たゆまぬ技術開発で一歩先を突き進む。 |
インフォマティクス、3次元建機シミュレータ 「NaviCrane」 (Ver.2) を市場投入
工事シミュレーションが可能、建設生産性の向上も実現 【2010/7/25号】 |
建築・土木・空間におけるITソリューションを提供するインフォマティクスはこのほど、3次元建機シミュレータ
「NaviCrane」 (Ver.2) を発売した。 「NaviCrane」 (Ver.1) は、2008年11月に発売されたが、現場工事における建機利用の様々なシミュレーションが可能で、現場工事に入る前にパソコン上で施行シミュレーションできる。
プラント建設プロジェクトにおいても、現場工事の全体のコストに占める割合はけっして小さくはなく、その生産性は収益へも大きく影響する。
その現場工事の生産性を向上する上でも 「NaviCrane」 の果たす役割は大きい。
現場工事のシミュレーションがパソコン上で可能ならば、スムーズな工事計画の立案にも対応できる。 |
「共創」 により実現した夢の技術 「Castrip」
IHIが米ニューコアに薄鋼板ストリップキャスター2号機納入 【2010/7/10号】 |
IHIはこのほど、米国の電炉メーカー、ニューコア社にストリップキャスター
「Castrip」 の2号機を納入した。 ストリップキャスターは、溶鋼から厚さ2o以下の薄鋼板を直接生産する
「夢の技術」 といわれる設備だ。 100年以上前に発明された技術だが、長年に渡り実用機が無かった。
特に1990年からは、世界各地の製鉄メーカーやプラントメーカーが開発に着手したが、技術的な課題を克服できず、その多くが開発を断念した。
そうした中で、IHIは、電炉メーカーである豪BSLと米ニューコア社と開発を継続、2002年に1号機をニューコア社で稼働した。
その2号機がこのほど稼働、この実績を機会にIHIは 「Castrip」 の売り込みにドライブをかける。 |
CB&I ルーマス〜TEC JV、シンガポールにエチレンプラント完工
シェル向けコストリインバース契約に対応 【2010/6/25号】 |
去る5月4日、CB&I ルーマスと東洋エンジニアリングのジョイントベンチャーがシンガポールで建設してきたエチレンプラントが完工、竣工式が行われた。
総額20億ドルを投じて、年産80万トンのエチレンプラントを建設するプロジェクトだが、JVはコストリインバース契約で受注した。
プロジェクトの実行予算は顧客が持ち、プロジェクトマネージャーは顧客の承認を得ながらプロジェクトを進める。
ランプサムターンキーの市場で育ってきた、わが国のエンジニアリング企業にとっては馴染みの薄い契約形態だが、JVはこれをしっかりと遂行。
同時に安全・品質管理においても成果を上げ、3,900万時間の無事故・無災害を実現した。 |
富士電機、ニュージーランドで世界最大の地熱発電所完工
2件目のターンキーもスムーズに進行 【2010/6/10号】 |
このほど、ニュージランドで地熱発電では世界最大規模となる、ナ・アワ・プルア地熱発電所が完工した。
プロジェクトをターンキーで受注したのは、地熱発電プラントでは世界トップクラスの実績を持つ富士電機システムズだ。
ニュージーランドにおける富士電機の地熱発電所納入実績は、1988年のオハキ、1997年のポイピピ、2008年のカウェラウに続き4件目。
工事込みのターンキー契約はカウェラウ地熱発電所が初で、今回は2件目になる。
同国でのターンキープロジェクトの実績が浅く、現地事情に不慣れな部分もあったが、カウェラウ地熱発電所のプロジェクトでパートナーとして起用した現地建設会社との信頼関係が、プロジェクトを成功に導いた。 |
マレーシアでGE製GTCC稼働
同国最大規模のIPPに 【2010/5/25号】 |
米ゼネラル・エレクトリック (GE) のフレーム6FAガスタービンがこのほど、マレーシアのランヒル・パワートロンU発電所で運転を開始した。
このガスタービンは、Fクラス・ガスタービンの中型モデルとして位置づけられ、世界30カ国において延べ250万時間を超える運転実績がある。
昨年は100号機目の出荷も果たした人気機種だ。GEはマレーシアでガスタービントップシェアを誇る。
こうした実績が顧客の信頼につながり、プロジェクトを成功に導いた。 |
三菱重工業、メキシコでパシフィコ発電所を完工
新型インフルを乗り越え、3月21日に 【2010/5/10号】 |
去る3月21日、メキシコでパシフィコ石炭焚き超臨界圧石炭火力発電所が完工し、発電機器の製作および据付工事を担当した三菱重工業により、メキシコ電力庁に引き渡された。
メキシコの発電プラント市場で高いシェアを持つ三菱重工。 今回のプロジェクトでは工期中、新型インフルエンザの流行による工事中断という大きな壁にぶつかったが、実績に裏打ちされた現地ノウハウの活用と再開後24時間体制で日本と現地が一体になりプロジェクト遂行業務に当たり、納期通りに引き渡しを終えた。 |
清水建設、病院PFIで実績
ハード・ソフトでの提案で、病院PFIに一石 【2010/4/25号】 |
清水建設は3月、東京都府中市に新たな病院施設を完工した。 2006年に東京都からPFI
(Private Finance Initiative) 方式で受注したプロジェクトで、清水とパナソニック電工が出資する特別目的会社
(SPC) の多摩医療PFI は、今後15年に渡り、施設の維持管理・運営・機器や薬剤の調達といったサービスを提供する。
新病院には、清水がこれまでの病院建設の実績で蓄積した知見が、ハード・ソフトの両面で反映されている。
診療機能の高度化、病院運営サービスの効率化を狙うと同時に、患者の快適性追求を図った。 |
新興プランテック、トレーニングセンターを竣工
危険の体感と技能教育を重視、人材育成のための最適施設が誕生 【2010/4/10号】 |
ベテラン技術者が流出する 「2007年問題」 が産業界の懸念材料として浮かび上がってから久しいが、メンテナンス工事も例外ではない。
特にメンテナンス工事では現場の実作業を行う人材のスキルが大きな役割を果たす。
このため技能継承は、とりわけ大きな意味を持つ。 こうした問題に対処する目的もあって、プラントのメンテナンス工事を手掛ける新興プランテックはこのほど横浜市磯子の本社・工場に人材育成のためのトレーニングセンターを建設、去る3月31日に竣工式が行われた。
プラントの稼働を支えるメンテナンスだが、そのための人材教育にとっては頼もしい施設が誕生した。 |
太陽エネルギーに活路を見出すユーザー系エンジ
MECは発電システムなど多目的展開、SCECは薬液供給設備で海外狙う 【2010/3/25号】 |
このところ、ユーザー系エンジニアリングが親会社に吸収されるケースが目立っている。
メンテナンス部門が親会社に移管され、設備建設だけで生き抜くには特徴的なエンジニアリング技術をもつ必要がある。
そうした中で、太陽エネルギーに着眼しながら、活路を見出そうとしているのが三菱化学エンジニアリング
(MEC) と住友ケミカルエンジニアリング (SCEC) だ。 いずれも半導体製造設備向け薬液供給設備では豊富な実績を持つが、MECは三菱化学グループ企業として太陽光発電システムや
「コンテナ野菜工場」 に参入し、SCECは薬液供給設備で海外市場で実績を上げる。
厳しい局面にあるユーザー系エンジニアリングだが、太陽エネルギー関連が活路になろうとしている。 |
成長軌道に乗ったカワサキプラント中国現地合弁
セメント排熱発電設備から環境設備、セメント設備まで
【2010/3/10号】 |
カワサキプラントシステムズの中国現地合弁企業の業績が順調に伸びている。
セメント排熱発電設備、都市ゴミ・水処理設備、セメント製造設備など、これまでのプラントビジネスで培ってきた技術で展開しているのだが、2006年から本格化した現地合弁の売上高は、2009年には325億円に達した。
合弁設立以来、カワサキプラントは合弁会社に積極的に技術移転を行ってきたが、現地合弁が成長するのに伴い、合弁パートナーの持つ地元ベンダー、顧客などに関する情報を吸収し、合弁会社における製品開発、事業展開に反映している。 |
日揮、インドネシア・タングーLNGプラントを完工
ジャカルタ・オフィスでプロジェクトをコントロール 【2010/2/25号】 |
最近になって、韓国勢などの追い上げが激しいエンジニアリング業界。 こうした中で、わが国エンジニアリング企業は新興勢力といかに差別化するべきか。
こんな課題への一つの答が、昨年7月に竣工式を迎えたタングーLNGプラント建設プロジェクトの中にある。
日揮〜KBRを中心とするジョイントベンチャーが受注したプロジェクトだが、そのコントロールはインドネシアの首都ジャカルタに設置されたオペレーション・オフィスで行われた。
本来、横浜本社にあるEPC機能を可能な限りジャカルタに集め、サイトに近い場所で意思決定がなされた。
こうしたプロジェクトオペレーションは新たな試みだが、経験豊富な日揮ならではの取組でもあった。 |
新体制で土壌浄化事業を強化する清水建設
市場の回復に備え、事業の強化に注力 【2010/2/10号】 |
この1〜2年、低迷していた土壌浄化への投資に回復の兆しが見えてきた。
不動産市場の動向を調査している不動産経済研究所によると、首都圏のマンションの供給量は2010年には4万3,000戸に達し、前年を18.2%上回るという。
建設市場が回復すれば、それに伴い土壌浄化需要の増加も期待される。 そんな中、清水建設は体制の刷新、コスト競争力の強化を通じ、市場の回復に備えている。 |
TEC・トーヨー・タイが、タイのLLDPEプラント完工
花開いた 「Global Toyo」 体制 【2010/1/25号】 |
東洋エンジニアリング (TEC) とトーヨー・タイはこのほど、タイのPTTポリエチレン社向けにLLDPEプラントを完工した。
このプロジェクトには、トーヨー・タイのみならず、トーヨー・コリア、トーヨー・マレーシアといったTECのアジア地域のエンジニアリング拠点が参加。
このところ、TECが推進している 「GlobalToyo」 体制でプロジェクトを完工した。
このプロジェクトではTECのパートナーとして、トーヨー・タイも活躍した。
昨年6月にバンコク証券市場に上場したトーヨー・タイだが、自主独立路線で成長した海外エンジニアリング拠点の新しいモデルを提示している。 |
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