プラント貿易アウトルック2020

 2020年度の海外プラントビジネスは、脱炭素化と新型コロナウイルスの感染拡大という二つの流れの中で展開された。脱炭素化の流れでは、すでに石炭火力発電プラントは公的な支援が難しくなっている。また新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、先行きの不透明感により、FID(最終投資決定)が先送りされる案件は少なくなかった。こうした中で、イラク・バスラ製油所近代化プロジェクトやカタール向けLNGプロジェクトを、わが国のエンジニアリング企業が受注した。またUAE向けごみ発電プラントを成約したのは、海外プラントビジネスの新しい動きとして注目される。

【総 論】
 2020年度、カタールとイラクで大型受注
 脱炭素化とコロナ禍で市場には異変、業界の課題は常温帯技術へのシフト

【国際協力銀行 執行役員・経営企画部長 根岸靖明氏】
 第3期中計で実施した北欧バルト三国向け投資支援で成果
 インフラ輸出では、気候変動と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組み

【日本貿易保険 営業二部長 浦田秀行氏】
 LEADイニシアティブの創設で柔軟な保険引受を実現
 今年度は新技術・スタートアップへの保険引受を検討

【千代田化工建設 常務執行役員・営業本部長 松井英夫氏】
 カタールで明け暮れた1年に大型LNGプロを受注
 今後もカタールを重視するものの、「カタール頼み」からは脱却

【東洋エンジニアリング 専務執行役員・プラントソリューション事業本部長 細井栄治氏】
 2020年度はコロナの影響もあり期待案件が期ずれ
 今期はすでに印でアンモニア設備を受注、ネシアMRTにも期待

【日揮グローバル エネルギーソリューションズ 執行役員・営業本部長 桜井宏司氏】
 4月に新組織エネルギーソリューションズを発足、グリーンエネルギーへの取組を本格化
 今期の注目市場は中東・ロシア、マレーシアのFLNGプロにも期待

【日揮グローバル ファシリティインフラストラクチャーソリューションズ
                     アソシエイトダイレクター 加嶋良輔氏】
 コロナ禍でも提案営業が結実した2020年度
 海外現地法人を活用した地産地消型ビジネスも積極展開

【日立造船 環境事業本部環境営業統括部環境海外営業部部長 饗庭 毅氏】
 今期は台湾の既存炉の改修・更新案件に期待
 コロナ禍で国産化が進んだ中国では、輸出限定案件が減少

【2020年度 主要受注プロジェクト一覧】(本誌調査)



 (Vol.491 2021年7月10日号より)



重化学工業通信社
ENN編集部